恐妻家2

    

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「うふふふ・・・それじゃ、遠慮なく頂くわね・・・」
俺の両手を地面に押しつけたまま、ドラゴンは腰を浮かせて体を揺らめかせた。
視界を塞ぐ巨竜の影に、否応無しに不安が膨れ上がっていく。
大きい・・・あまりに大きすぎる。
このドラゴンの巨大さに比べたら、あの雄のドラゴンでさえまるで子供のように見える。
むしろなぜこうまでサイズの違う雌雄がともに暮らしているのか疑問に思うほどだった。
ドラゴンの股間に咲いた真っ赤な花びらがグワッと花弁を広げ、恐怖に縮み上がった俺のペニスに狙いをつける。
「はあ・・・あ・・・」
息の詰まるような圧迫感が、その場を支配していた。
膣と呼ぶにはあまりに深く、また性器と呼ぶにはあまりに凶悪で、見る者を恐怖と絶望の淵に叩き込むような絶対的なドラゴンの秘所が、俺の目の前でグチュグチュと音を立てて蠢いている。
「うああ・・・や、やっぱり待って・・・」

喰 わ れ る

本能的に脳裏に刻みつけられたその言葉に、俺は首を振って拒絶を示していた。
だが、ドラゴンはそれを知ってか知らずかウットリと恍惚の表情を浮かべたままゆっくりと腰を下ろしてきた。
クチュ・・・クチュル・・・
「ひっ・・・!」
ドラゴンの持つもう1つの口にペニスが徐々に飲み込まれていく様を見せつけられながら、俺はじわじわとせり上がってくる快感に身を震わせた。
ヌチュ・・・クチャァ・・・
淫靡な膣でペニスを根元まで飲み込んだまま、ドラゴンが俺の顔を覗き込む。
「うふふ・・・どう?なかなか悪くないでしょ?」
「た、頼む・・・もう許してくれぇ・・・ひぃぃ・・・」
ただ入れているだけでペニスを舐めしゃぶられるような感覚にとらわれ、俺は早くも白旗を上げていた。
「あら、何を言ってるのよ。これからが本番でしょ?」
そう言いながら、たった1度だけドラゴンが前後に腰を揺り動かす。
ズリュッグシュルッ
「は・・・う・・・」
唐突に加えられた前後運動に体がついていけず、熱く蕩けた膣の中でペニスが肉襞に思いきり擦りまくられた。
だが悲鳴とも嬌声ともつかぬ声を上げようと呼吸を引きつけた直後、ドラゴンが鋭い視線で俺を睨みつける。
"騒げば食い殺すぞ・・・"
背筋の凍るようなメッセージをその視線から読み取り、俺は喉まで出かかった叫び声をゴクリと飲み込んだ。

「う・・・くぅ・・・」
「うふふふ・・・いい子ね。でも、これでも耐えられるかしら?」
愉快そうな笑みを浮かべながらドラゴンが地面に押しつけていた俺の手を離し、刃物のような鉤爪の先で俺の脇腹をつつーっと撫で上げる。
と同時に、再びドラゴンの巨大な腰が前後に激しく振り回された。しかも、今度は3度も。
「うぅっ!うぐぐぐ・・・む~~~~~~!!」
とても人間には耐えられぬ強烈な快感に、俺は悲鳴を上げぬように両手で口を強く押さえて悶え狂った。
一瞬にして股間にこみ上げてきた射精感を抑えきれず、ドシュッとドラゴンの膣の中に1度目の精を放つ。
「あら・・・うふふふ・・・予想通り、なかなかおいしいわよ・・・」
「も、もうやめて・・・おね・・・が・・・い・・・ああっ!」
楽しみの中断を主張する俺を戒めるかのように、ペニスがズリュッとしゃくり上げられる。
その快感に思わず小さな悲鳴を上げてしまい、俺は慌ててドラゴンの顔色をうかがった。
「うふふ・・・まだ始まったばかりよ?それに私に付き合ってくれなきゃどうなるかは、わかってるわね?」
「ひぃぃぃ・・・た、助けて・・・」
美しい声と顔に似合わぬ恐ろしげな牙をこれ見よがしに剥き出しながら、ドラゴンは俺のペニスを容赦なく貪り始めていた。

「ほ、ほんとに・・・助けてくれるのか?」
あまりの快楽にこのまま悶え死にそうな不安を抱え、俺は恐る恐るドラゴンに念を押した。
「さあどうかしら?あんまり早く気絶しちゃったりしたら、次に気がついたときは私のお腹の中かもね」
「そ、そんな・・・」
グチュッグチュッ
「はぁぅ・・・」
次の反論を封じ込めるかのように分厚い肉襞が翻り、俺のペニスをグリグリと擦り潰す。
半ば予想はしていたその責めに両手をグッと握り締めて堪えると、俺は半分涙を浮かべた顔でドラゴンの顔を見つめ返した。
最早どんな命乞いをしたとしても、このドラゴンは聞き入れてはくれないだろう。
俺が生き延びるためには、この美しくも残虐なドラゴンの暇潰しにひたすら耐え忍ぶよりほかにないのだ。
「うふふ・・・じゃあ覚悟を決めたところでそろそろ・・・本気で行くわよ」
ドラゴンがそう言うと、脇腹に触れていた太いドラゴンの腕がガッシリと地面を踏みしめた。
俺の上に完全に覆い被さるようにして、軽く腰が浮かされる。
「声を上げないように、せいぜいその口をしっかりと押さえていることね」
チラリと眠っている夫を一瞥した後、ドラゴンが淫靡な視線を俺に注いだ。

声を上げる間もなく、ドラゴンの腰がゆっくりと前後に動き始める。
ズチュッ・・・ヌチュッ・・・クチュッ、ゴシュッ、グリッズリュッドシュッ・・・
「ん、んん~・・・んぐ~~~~~~!」
言われた通りに必死で口を押さえながら、俺は次第に早くなっていくドラゴンの腰使いにバタバタと身を捩った。
巨大な膣に根元までガッチリと咥え込まれたペニスが俺の体ごと激しく前後左右に揺さぶられ、怒涛の快楽が電流のように何度も何度も体内を駆け巡る。
「うふふふ・・・いつまでもつかしらね・・・」

「ぬぐ~~!うう、うああ~~ぶぐっ・・・・・・」
耐え切れずに口を離して悲鳴を上げようとした直後、ドラゴンが俺の顔をその手でがっしりと押さえつけた。
「自分で押さえられないのなら、手伝ってあげるわ」
グシュグシュグシュグシュグシュッ・・・
恐ろしいほどの勢いでペニスが弄ばれ、振動と愛液と肉襞の輪舞に蹂躙される。
ビュビュ~~~!
「ん~~!ん~~~!!」
限界を超えた快楽に再び精を搾り取られ、それと同時に涙腺に貯め込まれていた涙がドバッと溢れ出した。
俺の顔を掴んだフサフサのドラゴンの手が、見る見るうちに涙に濡れていく。
「うふふ・・・うふふふふふふ・・・・・・」
成す術もなく精を捧げるだけの人形と化した俺を眺めながら、ドラゴンが冷たい笑みを浮かべた。
なおも容赦なく、ドラゴンが俺を嬲る腰に勢いをつける。
た、助けて・・・ああ・・・も、もうだめ・・・いやだ・・・食われるのは・・・い・・・やぁ・・・
ガクガクと振り続けられるドラゴンの膣にひたすらに犯され、俺は薄れゆく意識の中で死を予感した。

三度襲ってきた射精の快感に耐えられず、人間はかっと目を見開いたままガクリと気を失った。
余程あの脅しが効いたのか、あまりの死の恐怖に気絶した顔にも絶望の色がありありと浮かんでいる。
私は人間の頭を掴んでいた手を離すと、涙に濡れたその顔を清めるように一舐めして聞こえぬ耳に囁いた。
「うふふ・・・食べるなんて冗談よ・・・私のもとにきた以上、末永く可愛がってあげるわ・・・」
ぐったりと横たわった人間に尻尾を巻きつけ、元通りに子供達の眠る巣穴の底へゆっくりと降ろしてやる。
毎夜の楽しみができて、私は静かな笑みを湛えたまま再び寝床の上に寝そべった。

「じゃああなた、今日も子供達をお願いね」
翌朝、妻はいつも通りに朝早く起き出すと、眠ったフリをしていたワシに一言言い残して出掛けていった。
全く・・・いつもいつもワシに面倒ばかり押し付けおってからに・・・
だが、今日は昨日までとは違う。ワシの代わりに子供達の面倒を見てくれる、従順な人間がいるのだ。
妻が外に消えていったのを確認すると、ワシはのそりと起き上がって巣穴の底を覗き込んだ。
いつの間に服を脱いだのか、裸になった人間が寒さを凌ぐように2匹の子供達を両手に抱えて眠り込んでいる。
まあ、子供達に引っ掻かれてすでにボロ布のようになっていた服だ。どこかへ脱ぎ捨ててあるのかも知れぬ。
ワシが覗き込んだ気配に気付いたのか、声をかけようとする直前に人間が目を覚ました。
「ん・・・おはよう・・・」
相変わらず寒そうに子供を抱き抱えたまま、人間が呟く。
「ワシもこれから狩りに出掛けてくる。その間、子供達のことは頼んだぞ」
地面に転がったまま人間が頷いたのを確認すると、ワシはウキウキと洞窟の外へ出て行った。
「・・・うふふ、やっぱり出てきたわね・・・どうなるか見てなさいよ・・・」
その時、言いつけを破って出掛けたワシの姿を妻が遠くから覗いていたなど、ワシは夢にも思わなかった。

「キュウ・・・」
「キャウッキャウン」
眠気に再び眼を閉じようとした俺の耳に、起き出した仔竜達の甲高い泣き声が聞こえ始めた。
今日もまた、このやんちゃなドラゴン達の相手をしてやらなければならない。
だが仔竜達も俺の存在に慣れてきたのか、もう勢い余って腕に噛みついたりするようなことはなくなっていた。
それにしても、よくあの大きなドラゴンに食われずに済んだものだ。
いや、もしかしたらこれから毎晩、俺はあの恐ろしい暇潰しとやらにつき合わされるのかもしれない。
凶悪なドラゴンの牙を目の前に突きつけられては、所詮人間の俺に抗う術などありはしないのだから。
おとなしくなった仔竜の頭をサワサワと撫でながら、俺はいつまで生きていられるのか憂うようになっていった。

タタッという足音が、背後からワシの耳に届いた。
そちらを振り向くと、やや大きめの鹿が1頭、木の陰から飛び出したのが目に入る。
どうやら、今日最初の収穫になりそうだ。
ワシは逃げようとした人間を捕えた時のように木々の間を縫って素早く鹿に飛びかかると、その頭をガッと地面に強く叩きつけて首の骨を折った。
小さな断末魔を残して息絶えた鹿を見下ろし、ふうと一息つく。
だが次の瞬間背後から大きな赤紫色の腕が伸びてきて、ワシの仕留めた鹿を奪ってしまった。
「おのれ、なに・・・を・・・」
獲物を横取りされた怒りに思わず背後を振り向きながら不埒者を睨みつけ、そして恐怖に固まる。
あの大きな鹿をゴクンと丸呑みにしてしまった妻が、ニヤニヤと危険な笑みを浮かべながらワシを見下ろしていた。

なじるような妻の視線に耐えかね、ワシはサッと顔を背けて平静を装った。
「な、なんだお前か・・・こんな所で一体なにを・・・」
だがその瞬間大きな手がワシの顎をガシッと掴み、そのまま無理矢理妻の方へと顔を向けさせられる。
「ちゃんとこっちを向いて言ってよ。私が怖いのかしら?」
そう言ってワシの自尊心をズタズタに引き裂いてから、妻がスッと目を細める。
「それで・・・子供達の面倒はどうしたの?」
「う・・・い、いや、子供達が腹を空かせてそうだったのでな・・・何か食べ物を・・・」
「うふふ・・・嘘ばっかり。あの人間に代わりに面倒見てくれるように言ったんでしょ?」
全てを見透かしたように、妻がワシの顎をクイクイと指先で弄ぶ。
「な、なぜそれを・・・」
「あの人間をちょっと脅したら、素直に吐いてくれたわよ」
そう言うと、妻は怯えるワシの目をじっと睨みつけてきた。
「今すぐ戻りなさい。さもないと・・・あの人間より先にあなたを食べちゃうわよ」
「う、な、何だと?そんなこと・・・」
そう反論しかけた途端、妻は突然声に殺気を含ませてワシを一喝した。
「いいわね?」
「あぅ・・・わ、わかった・・・」
ようやくきつく掴まれていた顎を解放され、ワシは妻が目を光らせている中トボトボと洞窟に向かって歩いて行った。

うう・・・なぜだ・・・なぜワシには自由な時間が与えられぬのだ・・・?
子供達の面倒を見るのは妻の役目ではないか。なのにワシが逆らえぬのをいいことに・・・
それに、あの人間はワシがこれまで1度も寝かしつけられなかった子供達をしっかりと寝せていた。
妻にとって、子育てもロクにできぬワシなどもう必要ないのかも知れぬ。
いっそ、このままどこかへ消えてしまおうか・・・

深い葛藤に悩まされながらも、ワシはやはり洞窟へと足を向けていた。どうせ他に行くあてなどないのだ。
音を立てぬようにそっと巣穴の中を覗くと、人間が子供達と楽しそうに遊んでいる。
ワシが連れてきたはずなのに、いつのまにかこの人間はワシに取って代わろうとしていた。
この洞窟の中にですら、もうワシの居場所はなくなりつつあるのだ。
その事実に憤りを感じ、思わず人間の体に尻尾を巻きつけて上へと持ち上げる。
「うわっ!」
突然の事態に、人間が驚きの声を上げた。
「おのれ・・・お前のせいでワシは・・・ワシは・・・」
それが逆恨みであることは重々承知していたが、ワシは情けなさとやるせなさに人間を噛み殺そうと大きく口を開けた。
「うわ、わあああああ!」
何の予告もなしに向けられた殺意の牙に、人間が悲痛な叫び声を上げる。
それに反応して、子供達がキャンキャンと大声で喚き立て始めた。
「キャウキャウッ!」
「キュイッ!」
「キュキュウッ!」
それに驚いて巣穴を覗くと、子供達が必死で持ち上げられた人間の足を掴んで引っ張っている。
「何だ、この人間を殺すなというのか?」
そう問いかけると、5匹の子供達が一斉にコクコクと首を縦に振った。
「う、うぅ・・・うおおおおおおおおおおお!」
そのあまりの衝撃に、ワシは人間を穴の底へと降ろすと大声を上げて洞窟の外へと走り出していた。

「ふう・・・ふう・・・」
失意と悲しみに我を忘れて森の中を駆け抜け、大きな木の陰で荒い息をつく。
「う・・・ううぅ・・・」
自分の子供達までもに拒絶され、ワシはもう完全に行き場をなくしてしまっていた。
憔悴した顔で辺りを見回し、そばにあった大木に視線を止める。
これは・・・あの人間を捕えた時にワシが隠れていた木ではないか。
人間を襲った時に弾き飛ばされた大きな荷物が、いまだに道の向こうに落ちている。
ワシが人間に子供達の面倒を見させようなどという馬鹿なことさえ考えなければ、きっと今もワシはあの洞窟の中でゴロゴロと平和な時を過ごしていられたはずなのに・・・

そう、考えてみれば巣穴の中に卵を産み落とした時の妻の顔は、今まで見たことがないほど苦痛に歪んでいた。
産卵が終わった後も動くことができず空腹に喘ぐ妻のもとに、ワシが1日中獲物を運び続けたのだ。
そして今は妻がワシの代わりに狩りに出て、ワシのための獲物も獲ってきてくれている。
体が大きいせいかどことなく恐ろしく感じる妻ではあるが、きっと彼女には彼女なりにワシに対する恩返しのつもりでもあったのかも知れぬ。
なのにそんな妻の気も知らず・・・ワシはなんという愚かなことをしてしまったのだろう。
「うぅ・・・うぐぐ・・・ぐぐぐぐ・・・・・・」
大木のもとにガクリとくずおれながら、ワシは己の愚行を悔やんで日が暮れるまで泣いていた。

突然俺を食い殺そうとした雄のドラゴンは、結局夜になっても洞窟に戻ってくることはなかった。
一体、外で何があったというのだろう?
必死で俺の命を救ってくれた仔竜達を優しくあやしながら、徐々に夕闇に包まれて行く外の様子をうかがう。
ちょうど最後の仔竜を寝かしつけた時、ズシッズシッという重量感のある足音とともにあの大きなドラゴンが帰ってきた。
「夫は・・・帰ってきていないのね・・・」
キョロキョロと辺りを見回した後に平坦な声でそう呟き、ドラゴンが背に乗せていた4頭の猪を地面に落として食べ始める。
その食事の光景を見ないようにして巣穴の底に隠れていると、やがてバリバリという咀嚼音が聞こえなくなった。
何事かと思って穴の縁から顔を出すと、すでに食事を終えたドラゴンが寝床の上に丸まって目を閉じている。
だが地面の上には、まるで消えた夫の帰りを待つかのように手付かずのままの猪が1頭だけ残されていた。
あの恐ろしいドラゴンも、表面上はどうあれ夫の帰りを待っているのだろう。
残虐さばかりが目立っていた雌のドラゴンに、俺はその時初めて優しさの一端を垣間見た気がした。

辺りが静寂と闇に包まれると、ワシはようやく気の抜けた四肢に力を送り込んだ。
妻からも子供からも必要とされぬこの打ちひしがれた身を、一体どこで癒せばいいのだろう。
帰巣本能が働いているというべきか、歩き始めるとどうしても洞窟のある方向へと足を向けてしまう。
仕方ない・・・帰ろう。たとえ妻に食い殺されることになっても、もはやそれはそれで構わぬ。
朝から何も食べていない腹が空腹を訴え始めたが、ワシは獲物を探す気力もなくただただ洞窟を目指して歩き続けた。

妻も人間も子供達もみな寝静まったのか、闇の中に落ちた洞窟からは何の音も聞こえてはこなかった。
妻の気配を探りながら、恐る恐る洞窟の中へと足を踏み入れる。
そして、ワシは地面に無造作に残されていた1頭の猪を見つけた。
「こ、これは・・・」
手付かずのまま残されていた大きな獲物・・・
それが妻の残してくれたものだと悟り、ワシは猪を抱えたまま音を立てぬように洞窟の外へ出た。
そして手近にあった木の根元に身を預け、手にしていた猪を見つめる。
空腹のワシには、これ以上ない最高の贈り物だった。
まだ自分の居場所が残されていたことに、声を押し殺して再び涙を溢れさせる。
「あうぅ・・・うぐぐぐぐ・・・」
流れる涙にも構わず猪にかぶりつくと、ワシは満腹の腹を揺らしながら洞窟の中に戻って眠った。

翌朝目が覚めると、目の前で妻がワシの顔を覗き込んでいた。
一瞬ドキリとしたが、すぐに覚悟を固めて妻の目を覗き返す。
「すまぬな・・・ワシは・・・」
「いいのよ。あなたは子供達の面倒さえみててくれれば・・・それに、あの人間の様子もね」
それは、あの人間を逃がすなということなのだろう。
昨日までのワシなら、恐らく嫌な顔をして逃れる理由の1つでも考えたかも知れぬ。
だが、これがワシの仕事だというのなら、それを受け入れるとしよう。
「・・・わかった」
「じゃあ、お願いね」
妻はそう言うと、いつも通りどこかへと出掛けていった。
ほんの少し、妻に対する恐れが軽くなったような気がする。
ワシは昨日と同じように子供達を抱いて眠っている人間を覗き込むと、巣穴の上に半分首を突き出したまま蹲った。
そのゴソゴソという物音に、人間が目を覚ます。
人間はワシの顔を見るとビクッと身を縮めたが、抱いたままの子供を離そうとはしなかった。
「お、俺を食う気か?」
「いや、お前が逃げぬように見張っているだけだ。それがワシの仕事だからな」
その言葉を聞き、人間が少しだけ緊張を解いた。

「もしよければだが・・・」
「?」
巣穴を覗き込んだ雄のドラゴンが、言い難そうに顔を歪めて俺に尋ねてきた。
「どうすれば子供達に懐いてもらえるのか、ワシに教えてくれぬか?」
「へ?あ、あはははは・・・」
予想外のドラゴンの質問に、思わず心の底から笑ってしまう。
「な、何がおかしいのだ!?ワシはこれでも真剣なのだぞ!」
「・・・それなら、とりあえず1匹抱いてみなよ」
俺はそう言って、腕の中で眠っていた1匹の仔竜を穴の上へと押し上げ、ドラゴンに抱かせてみた。
「キュウ・・・」
「う・・・」
小さな寝言を漏らすように、ウトウトと眠ったままの仔竜が声を上げる。
その仔竜を抱きながら、雄のドラゴンが戸惑いを隠せぬ様子で俺に視線を向けた。
「こ、これでよいのか?」
「ああ。そうやって撫でてやれば、すぐに懐いてくれるよ。あんたの子だろ?」
「そ、そうか。ふふ・・・ふふふ・・・」
途端に笑みを浮かべて仔竜をあやし始めたドラゴンを眺めながら、俺は胸の内に明るい希望が芽吹いてきたのを感じていた。



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