誕生2

    

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私の体を貫いている肉棒から放たれた煮え滾る粘液の刺激に、私は今まで押し隠していた本能が呼び覚まされていくのを感じた。
彼の肉棒を押し包んでいる器官にグッと力を入れ、物凄い力でそれをギュッと締め上げる。
「あぐぁっ!」
突然の反撃と強烈な刺激に驚いた彼が、私から肉棒を引き抜こうと反射的に腰を引く。
「だめ、逃がさないわ」
彼の腰に素早く桜色の尻尾を巻きつけて引き寄せると、私はさらに両手で彼のごわごわした肩を抱き締めた。
それでも抵抗しようとする彼を黙らせるように、再び最大の弱点である肉棒に圧搾を加える。
グシュッ
「ぐ・・・ま、待ってくれ・・・」
あっという間に逆転した形勢に、彼は半ば落ち着きを失って私に懇願した。
だが彼がそうであったように、私も自らの快楽を求める本能に歯止めを効かせることはできなかった。
ゴシュッ・・・グシッズリュッ・・・
「うあっ、うああああっ!」
快感といえる領域を遥かに逸脱した刺激に、彼が激しく身悶える。
膣の中に無防備な姿を晒した肉棒を擦り上げ揉み潰す度に、私自身も陶酔するような快感を味わうことができた。
ウットリを目を閉じながら、今度は弄ばれる立場になった彼の悲鳴を涼しく聞き流す。

「・・・なんということだ・・・」
降りしきる雨に白衣をびしょ濡れにしながら、僕は森の入り口で激し過ぎる行為に耽っている2匹のドラゴンを木の陰から覗き見ていた。
いや、行為に耽っているというよりも、雄の方が一方的に遊ばれていると言っていい。
どうやらここにきて、子孫を残そうとする本能と交尾そのものを楽しもうとする本能が雌のドラゴンに発現したらしい。同種の生物同士に限って言えば、往々にして雌の方が主導権を握ることが多い。
それは造られたドラゴンであっても、変わることはないようだった。
こうなってしまった以上、雄のドラゴンにはもう勝ち目はないだろう。
彼女が満足するか、それとも飽きてしまうか・・・あるいは雄のドラゴンが力尽きるまで、この光景が続けられるはずだった。
とにかく、このままではまずいことになりそうだ。
僕はどうすべきか深く考えもせず、ドラゴンたちに向かって近づいていった。

「なあ君たち・・・」
突然聞こえたその穏やかな声に、彼女の責めがピタリと止まった。
何度も何度も強烈な快感を味わわされて霞んだ視界の端に、私が打ち倒したあの男が映る。
姿は一見私達と似通っていたが、全身を覆っているのは水を弾く硬い鱗などではなく、たっぷりと雨を吸って重くなった真っ白な布のようなものだった。
その男が、どういう反応を示してよいのかわからずに固まっている私達にどんどん近づいてくる。
「な、なんだお前は?」
ようやく、喉の奥から声を絞り出す。快楽に焼かれた体がまだ火照っていて、心臓の鼓動はバクバクと早鐘のように鳴り続けていた。
「おいおい、君達を造った者に対してなんだはないだろう。おまけに力一杯殴ってくれちゃって・・・」
そう言いながら、私が腕を振り下ろした後頭部を痛そうにさする。
「造った・・・?・・・う・・・」
彼女もその言葉に反応したのか、無意識に捕えている私の肉棒を軽く締めつける。
「そうとも。君達はドラゴンなんだ。数千年の間、何人もの人間達が思い描いた、ドラゴンそのものなんだよ」
興奮したように、その男は両手を広げてまくしたてた。
「僕はそれを造ることに成功したんだ!」
つまり、私達は造られた命・・・目覚めた時からずっと不思議な虚無感を感じ続けていたのは、私達が自然に生まれ落ちた命ではないからだったというのか。

皆まで言わずとも、ドラゴン達は自分の立場を理解したようだった。
己の複雑な存在価値を悟ったのか、それとも生きる目的を見失ったのか、ドラゴン達の顔に茫然自失という言葉がぴったりと当てはまる、唖然とした表情が浮かんだ。
「・・・なぜ、私達を造ったのだ?」
ようやく雌のドラゴンに拘束を解かれた雄が、ゆっくりと立ち上がりながらそう尋ねる。
「ドラゴンは人間の憧れなんだ。多くの人間がドラゴンを知ってる。なのに、今まで存在すらしていなかった」
「それで・・・?」
先を促す雄のドラゴンの言葉には、冷たい殺気のようなものが隠れていた。
「存在していてほしいものを造ろうとするのは当然だろ?君たちも僕が造ったんだから僕の言うことを・・・」
突然、雄のドラゴンがバッと僕に飛びかかってきた。2メートルを優に超えるその巨大な体で、あっという間に雨でグチャグチャにぬかるんだ土の上に押し倒される。
「黙れ!ドラゴンが人間の憧れだと?そのためだけに私達はこんな仮初めの命を与えられたというのか!」
怒りを燃やしながら、雄のドラゴンが迫る。自分で造ったということに慢心していたのか、不思議なことに僕は今この瞬間になるまで自分の命が危険に晒されているということを考えなかった。
殺されるかもしれない。そう思ったとたんに、雨よりも冷たい汗が背中を伝う。
「ぼ、僕を殺す気なのか・・・?」
人間の利己的な欲求のために命を弄ばれたドラゴンは、激しい憤りに荒い息をつきながらその問いに答えた。

「命までは取ろうとは言わないが、2度と私達の前に姿を見せるな」
ドラゴンはそういうと、僕の顔をギッと睨み付けた。今度姿を見せたら命の保証はしないということらしい。
雄のドラゴンは乱暴に僕から離れると、雌のドラゴンを伴って再び森に向かって歩いていった。
雨が木々の葉を叩くザーッという音が、とたんに大きくなった気がする。
僕は言葉もなく、よろよろとふらつく足をお互いに支えながら森の中に消えていくドラゴン達を見守っていた。
彼らはこれからどうするつもりなのだろう?
自然の中で生きる役割を与えられなかった命。そんな彼らに、一体どんな目的があるというのか。
だがそこまで考えて、僕はある1つの結論に達した。
そうだ・・・彼らの命が作り物ならば、本物の命を産み落とせばいいんだ。
子孫を残すこと、それがいつの世も全ての生物に与えられた至上命題じゃないか。
彼らを造った者として、僕はそれを見届ける義務がある。
白衣についた泥を払い落とすと、僕はこっそりとドラゴン達のあとを尾け始めた。
慎重に行かなくてはならない。今度彼らに見つかったらどうなるか、それはさっきのドラゴンの態度からも明らかだった。

紺色の空さえも見えない真っ暗な森の中で、彼は再び私を草むらの中に横たわらせた。
さっきの人間の言葉を信じるとすれば、私達はこの世界にたった2つしかない命を持っているということだ。
ドラゴンとしての命、そして・・・自然から生まれたものではない命。
目覚めて間もないとはいえ、私達はお互いに同じことを考えていた。
この世界に、造られた命なんて存在する必要はない。いや、存在していてはいけない。
でも、私達にはまだ1つだけできることがある。私達にしかできないこと。
それは、自然の命を持ったドラゴンを産むこと。

彼は今度は優しく私の上に覆い被さると、ゆっくりと肉棒と私の中に押し入れた。
「これが・・・私達の唯一の存在価値なのだな・・・」
「ええ・・・そうよ」
その返事に彼が一瞬悲しそうな表情を見せるが、すぐにいつもの顔に戻る。
「それなら、役割を果たそう」
そう言いながら、彼はゆっくりと前後に腰を振り始めた。
再び味わっためくるめく快楽の刺激に、闇に溶け込むような蒼い尻尾と、闇の中に浮かび上がるような桜色の尻尾がグルグルと螺旋を描くように絡み合う。
「そういえば、お互い名前を知らなかったな」
「名前なんて必要ないわ。私達は世界でも、そしてここでも、たったの2匹だけよ」
「誰も呼んでくれぬ名前などいらない、か」
固い鱗同士が擦れるゴツゴツという鈍い音と、クチュクチュといういやらしい水音が辺りに漏れる。
「う・・・そろそろいくぞ・・・」
「いいわ、いくらでも・・・」
ビュビュッという音とともに、私は彼の肉棒が放った命の種を受け入れた。

木々が避けて少し広くなった草むらの上で、2匹のドラゴン達はお互いに小声で睦言を呟きながら愛の行為に身を捧げていた。
とりあえず、子供を産むとしてもまだ先の話だろう。
「ふむ・・・もうしばらく後で様子を見にきたほうがよさそうだな・・・」
決して見つからないように今度は遠巻きにドラゴン達の様子をうかがいながらそう呟くと、僕は研究所に戻った。

2週間後、僕は再び彼らのいた場所へと行ってみた。まだ同じ場所にいるとは思えなかったが、意外にも2匹のドラゴン達は2週間前と全く同じようにして草むらの上に寝そべっていた。
だが、眠っているにしてはピクリとも動く気配がない。
10分程慎重にその様子をうかがった後、僕は意を決してドラゴン達に近づいた。
もし彼らが僕の存在に気付けば、今度こそ僕の命はないだろう。
だが、グッタリと足先まで脱力したドラゴン達の様子に、僕は心臓が高鳴るのを感じていた。

ガサガサと足音を立てても全く反応を示そうとしない彼らの顔を恐る恐る覗き込む。
「ああ・・・そんな・・・」
何かをやり遂げたというような満足そうな笑みを浮かべたまま、雌雄のドラゴンは息を引き取っていた。
やはり、長くは生きられない体だったのだ。
でもそれならば、なぜ彼らはこんなに満足そうな顔をしているのだろう?
ハッとして、慌てて辺りを見回す。そして、僕はようやくその理由を見つけた。
草むらから少し離れた木の根元に大きめの卵が4つ、綺麗に並べて産みつけられている。
「そうか・・・無事に卵を産むことができたんだな」
そう思って、僕は安堵の表情を浮かべた。その瞬間、僕の見ている前で卵にピシッとひびが入る。
パキッ・・・ペキペキッ・・・
次々と割れ落ちていく卵を、僕は固唾を飲んで見守っていた。
あのドラゴン達が生涯をかけて産んだ子供達。砕けた卵の中から、その中の1匹が顔を出す。
「おお・・・」
それは紛うことなき、ドラゴンの姿だった。
4本の手足でしっかりと地面を踏みしめ、雄譲りの細かな蒼い鱗が体中を覆っている。
細い尻尾をクイッと持ち上げると、その子供のドラゴンはキャウッと甲高い泣き声を上げた。
続いて他の3匹の子供も次々と卵の中から這い出してくる。
全身桜色のもいれば、蒼と桜が斑模様になっている子供もいた。

自然の摂理に適った遺伝の結果が、そこに現れていた。今ここに、ドラゴンという新たな生物が誕生したのだ。
彼らが長生きできるかどうかはわからないが、1度は神様の用意した命の門をくぐった子供達だ。
きっと、これからも力強く生きていけるだろう。
僕はそっとその場を離れると、再び研究所に戻った。
ドラゴンのアダムとイヴが壊していった扉が、今もそのままの形で残っている。
その傷跡を辿るようにしてドラゴンの研究室に入ると、僕はパソコンに表示したままだったドラゴンの研究報告書を閉じた。
山のように大量にあったドラゴンの研究結果を記録した書類を引っ張り出し、それをスチール製のテーブルの上に無造作に積み上げる。
そして白衣の胸元から取り出した1本のマッチを擦ると、僕はその火種を積み重なった紙束の上に放った。
僕の役目は終わったのだ。メラメラと真っ黒に変色しながら舞い上がる灰を見つめながら、僕は不思議な達成感と、そして寂しさに打ちひしがれていた。



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