森に走る閃光

    

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煌煌と照りつける太陽の下でも不気味なまでの薄暗さを保つ深い森。
包帯や消毒薬の入った薬袋を抱えながら、俺はその森の中を家に向かって急いでいた。
俺自身は元来丈夫な体に慎重な性格もあいまって、怪我をしたり病気を患ったりしたことなどはほとんどない。
だが子と親は対を成すというのか、母親はおっちょこちょいな所が多分にあるせいでいつも怪我や生傷が絶えず、そのお陰で俺は月に1度程度の割合で森を抜けた先にある隣町まで薬や包帯を買出しに行くのが仕事になっていた。
「ふう・・・村まではまだ遠いな・・・」
流石に道の悪い中を走り続けてきたせいか、足が重く感じる。
まあ特別急ぐこともないし、少しその辺で休んでいくのもいいだろう。
俺は薬のビンが割れないように袋をそっと地面に置くと、大きな木の根元に背中を預けて大きな息をついた。

ピカッ!
「な、なんだ?」
疲労が溢れ出てきたのか少し睡魔が押し寄せて来たその時、突然辺りがまるでフラッシュを焚いたように明るく光った。
何事かと思って辺りを見回すと、少し先に行ったところで美しい黄色い色の髪を伸ばした少女が地面に座り込んでいた。
遠すぎて状況はよくわからないが、どうやら左足に怪我をしているように見える。
俺は咄嗟に薬の袋を掴んで立ち上がると、怪我をした少女の元へと急いだ。
さっきの光の正体が気になるが、今はこちらのほうが先決だろう。
「大丈夫か?」
少女は突然かけられた声に少しビクッと身を強張らせたが、すぐに落ちついた。
黄色い髪を振りながらおどおどした様子で、少女が申し訳なさそうに声を絞り出す。
「あ、あの・・・足を怪我してしまって・・・そこの・・・洞窟まで運んでもらえます?」
そう言われて少女の指差した方向へ目を向けると、なるほど確かに岩肌にできた大きな洞窟がぽっかりと口を開けている。
「ああ、わかった」
俺は少し遠慮がちに少女の体を抱えると、ヨタヨタと歩きながら木の間を縫って洞窟にまで辿りついた。
そして少女を岩壁に寄りかからせ、足の傷に目を走らせる。
「さあ、ちょっと足を出して・・・」
俺はそう言いながら少女に傷ついた足を出させると、後ろに置いていた薬の袋に視線を移した。

ピカッ!
だがその瞬間、再び先程のフラッシュが今度は暗い洞窟内を照らし出した。
稲光でも光ったのかと空に目を向けたものの、木々の葉の間から見える空は美しい夕焼けに染まり始めている。
まあいい、とりあえず手当てを・・・
そう思いながら消毒薬を手に取って少女の方を振り向こうとした時、俺は体に何かフサフサした柔らかい物が巻きつけられたような感触があった。
驚いて自分の体を見回すと、短い体毛に覆われた太い尻尾が絡みついている。
そしてその尻尾の先では、あの少女の髪の色のような綺麗な黄色の体毛を纏った大きなドラゴンがニヤニヤと薄ら笑いを浮かべていた。

「な、なんだいった・・・うわあっ!」
突然の事態に驚きの声を上げようとした刹那、ドラゴンは俺の体を尻尾で引き倒すとその上にガバッとのしかかって来た。
「フフフフフ・・・馬鹿な奴だ・・・こうも容易く罠にかかってくれるとはな」
見れば、ドラゴンの左後ろ足にも少女にあったのと同じような傷がついている。
あの少女の正体は・・・このドラゴンだったのか・・・
「う・・・うう・・・ど、どうして・・・?」
「なに・・・見ての通りふとしたことで傷を負ってしまってな」
赤黒く光るドラゴンの眼に、獲物が手に入ったという歓喜の色が浮かんでいる。
「このままではロクに狩りもできぬから、獲物の方から捕まりにきてもらったというわけだ」
「お、俺を騙したのか?傷を餌に使って・・・」

尻尾に巻き取られて身動きも取れないまま、俺はドラゴンを睨みつけていた。
「フフフ・・・人間は道端の野犬にも身構えるほど臆病なくせに、好意的な同族にはすぐに気を許しおるからな」
ドラゴンはそこまで言うと、ニタッと笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
「それを利用しない手はなかろう?」
「あ・・・あ・・・」
そんな・・・こんなずる賢いドラゴンに、まんまと謀られるなんて・・・
「さて・・・」
ズシッという音とともに、相変わらず尻尾のとぐろの中でもがいていた俺の体にドラゴンの体重が預けられた。
「折角捕まえた間抜けな獲物だ、ただ食うだけではつまらんな・・・一体どうしてくれようか?」
完全に俺の抵抗を封じたまま、ドラゴンが首を傾げる。
その口の端からは、薄く黄みがかった大きな牙が何本も顔を覗かせていた。
「た、助けてくれ・・・」
俺はこれから何をされるにしろ、最後にはこのドラゴンに食われるのだ。
それを悟ってしまった途端、背筋にザワザワと寒気が這い上がってくる。
だが俺は命乞いなど何の役にも立たないこともまた、分かっていた。
こんな姦計を用いてまで捕えた獲物だ。まかり間違っても情けなどかけてくれるはずがない。
絶対的な捕食者に捕えられた恐怖とでもいうのだろうか、一種の恍惚感にも似た不思議な感覚が体中を支配している。
きっと蜘蛛の巣にかかった蝶が巣の主を目にした時、こんな冷たい恐怖に襲われるのだろう。
逃げることも抗うことも封じられ、ただただ成すがままに弄ばれていく・・・
だとすれば、俺はもはや人間ですらない。このドラゴンの糧となる、ただの生きた餌なのだ。

「フフフフ・・・」
無気味に笑いながら、ドラゴンがおもむろに長く伸びた鋭い爪を俺の目の前にかざす。
「な、何をする気なんだ・・・」
鈍く光るその爪の輝きに、体中がスッと冷えていくような気がした。
そして、刃物のような爪の切っ先が俺の首筋に当てられる。
「ひ、ひぃ・・・」
一瞬爪を突き刺されるのかと思ったが、ドラゴンはその爪で俺の服を切り裂き始めた。
じっくりと嬲るように上着が破られ、下着が裂かれていく。
尻尾の巻きついた体を器用にまさぐられ、俺はあっという間に成す術もなく裸にされてしまった。
露出した肌に、フサフサしたドラゴンの尻尾が妙に心地よい感触を与えてくる。
「うぅ・・・頼む・・・見逃してくれぇ・・・」
わずかながらも身を守っていた衣服を剥ぎ取られ、凶悪なドラゴンの前に無防備な姿を曝け出していることに不安が膨れ上がっていく。
だがドラゴンはそんなことにもお構いなしに裸になった俺の体を眺め回すと、やがてある1点に視線を止めた。
その視線の先には、尻尾の間から覗いていた恐怖に縮み上がった俺のペニスが横たわっていた。

「なんだこれは?」
ドラゴンはグイッと尻尾のとぐろを掻き分けると、その萎えに萎え切ったペニスを鋭い爪の先で突つき始めた。
「あうっ・・・そ、それは・・・やめ・・・あっ・・・」
クリクリと裏スジを爪先で掬い上げられ、その切ない快感に図らずもペニスが固くそそり立ってしまう。
「フフフ・・・これから私に食われるというのに、興奮しているのか?」
「なぁっ、ち、違う・・・そんなんじゃ・・・ああ!」
2本の指の爪先でペニスを摘み上げられ、俺は嬌声にも似た悲鳴を上げた。
「面白い・・・少し可愛がってやろう」
ドラゴンはそう言うと、フサフサの毛に覆われた柔らかな手で俺のペニスをギュッと握り締めた。
そして、巨大な舌で俺の股間を睾丸ごとベロリと舐め上げる。
「うあああっ!」
湿った舌に与えられたザリザリとした感触に、俺は尻尾の中で身を捩って悶えた。
だがその程度の身動ぎでは拘束を抜け出せるはずもなく、反対にドラゴンの嗜虐心を煽ってしまう。
「どうだ、気に入ったか?」
「は、離してくれ・・・ひゃあっ!」
ショリッ・・・ゴシュゴシュッ
命乞いの言葉を掻き消すように、再び舌の一撃がペニスに叩き込まれた。
その上、肌触りのよい大きな手でペニスをしごかれてしまう。

「あは・・・ぁ・・・」
強烈な快感に全身の力が抜け、俺はぐったりと地面に横たわった。
完全に玩具にされている。
だがいくら悔しくても、俺には抵抗する力などすでに欠片も残ってはいなかった。
相手が熊やライオンだったら必死に暴れれば命からがら逃げ出すこともできるかもしれないが、ドラゴンが相手ではとても勝ち目などない。
その上服は全て奪い取られ、強靭な尻尾に捕えられたまま最大の弱点を弄ばれているのだ。
今はこうして生かされているが、ドラゴンの気分次第ではすぐにでも食い殺されてしまうだろう。
「では、そろそろ悲鳴の1つでも聞かせてもらおうか」
ドラゴンはそう言いながら俺の下半身の拘束を解くと、すでに限界まで張り詰めていた俺のペニスの上に跨った。
「お、おい、まさか・・・」
「フフフフフ・・・そのまさかだ」
背中側を覆う黄色い体毛とは対照的に、ドラゴンの腹側は真っ白な毛で覆われていた。
だがその下腹部の辺りに、赤い1本の横線が入っている。
そして俺が見ている目の前でその割れ目がパクッと上下に口を開け、ピンク色の愛液を滴らせ始めた。
「あ・・・ま、待て・・・こんなのって・・・ひっ・・・」
あまりの事態に、声が上手く出てこない。
だがそうしている間にも、白いキャンバスに描かれた真っ赤な口が俺のペニスに向かって迫ってきていた。

クチュッ・・・ニュルッ
卑猥な水音を立てながら、ペニスがドラゴンの巨大な肉洞に一瞬にして飲み込まれてしまう。
そして、ねっとりと熱い愛液を纏った肉襞がペニスにきつく絡みついてきた。
「うあ・・・あ、あつ・・・い・・・」
耐え難い快感に両腕を暴れさせようとしたが、その抵抗を押えつけるかのようにドラゴンの尻尾がギュッと俺の体を締めつける。
「それ、食事の前のお楽しみだ」
ヌチュッ・・・グリュグリュ・・・
「ああっ・・・や・・・うあ・・・やめてぇ・・・」
無抵抗な獲物を弄ぶように、膣の中に捕えられたペニスが肉襞に擦り上げられる。
あまりの気持ちよさに、頭がどうにかなってしまいそうだ。
恐怖と後悔の涙を流しながら首を振って許しを請うものの、ドラゴンは相変わらず楽しそうな笑みを浮かべながら肉襞を躍らせていた。

「フフ・・・美味そうな奴だ」
ペロッ
「あうぅ・・・」
ポロポロと頬を伝う涙がドラゴンの舌で舐め取られ、俺はいよいよ観念せざるを得なかった。
食われるしかないという暗い絶望感に胸が締めつけられ、息が苦しくなる。
だが自らの不運を嘆く暇もなく、ペニスが思いきり締め上げられた。
グギュゥッ
「ぐあああっ!」
「さあ、遠慮なく果てるがいい。意識のあるまま食い殺されるのは辛かろう?」
そう言いながら、ドラゴンが締め上げたペニスをさらに責め嬲る。
「い、いやだっ・・・うわああっ!助けてくれぇ!」
グチュグチュと激しくペニスをしごき立てられ、煮え滾った精が股間に上っていくのを感じる。
だがこれを放ってしまえば・・・そして気を失ってしまえば、もう俺はこの世界で目覚めることはないのだ。
グシッ、ズリュッズシャッグチュッミシャッ
「ああっ・・・うぐぅぅっ・・・」
俺の顔を覗き込みながら、ドラゴンは容赦なくとどめの一撃をペニスに加えてきた。
だめだ、なんとしてもこれに屈するわけにはいかない!
俺はギリッと歯を食い縛ると、必死で精を放つのを我慢した。
「フフフ・・・そんなことで耐えられるとでも思っているのか?」
嘲笑うような声が聞こえ、胸の辺りを締めつけていた尻尾が解かれていく。
そして、今まで隠されていた敏感な2つの突起が、ドラゴンの爪先でクリッと捻り上げられた。
と同時に牙の端で俺の耳たぶを軽く噛みながら、熱い吐息が耳の中に吹き込まれる。
そのあらゆる性感帯への同時攻撃に、快感が我慢の限界を突き破っていた。

「うあああああああああああ~~~~~!!」
ブシュッビュビュビュ~~~~!
耐え切れずに吐き出された精が、ドクドクとドラゴンの膣の中へと吸い込まれていった。
更に射精中のペニスまでもが激しく振り回され、意識の糸を千切ろうと苛烈な快楽の海へと沈められていく。
ああ・・・む、無理だ・・・意識が・・・
徐々に白濁していく視界の中で、ドラゴンが勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

脳が焼き尽くされるような快感に翻弄されて意識が薄れてきた時、俺は咄嗟に舌を強く噛んでいた。
鋭い痛みが快楽に飲み込まれそうになっていた頭を覚醒し、ぼやけていた視界が輪郭を取り戻す。
ビュル・・・ピュ・・・
やがて全て搾り取られてしまったのか射精が止むと、俺は歯型のついた舌を離して大きく息をついた。
「フフフ・・・無駄な足掻きをしたものだな。意識があろうとなかろうと、どうせ私に食われるというのに」
「ハァ・・・ハァ・・・」
確かに何とか気絶は免れたとはいえ、もう後は食われるだけだった。
精根尽きた俺の首筋に牙の先を這わせながら、ドラゴンが静かに囁く。
「最期に何か言いたいことがあるか?」
「ひ、1つだけ教えてくれ・・・その足の怪我・・・一体どうしたんだ?」
それを聞くと、ドラゴンはスッと俺から視線を外して俯きながら呟いた。
「フン・・・戯れに人間に姿を変えて道を歩いていたとき、道端に突き出ていた岩に蹴躓いたのだ」
「こ、転んだのか?」
「全く、竜の身ならばこの程度で傷など負わぬものを・・・人間の身は脆弱で腹が立つわ」
足にできた痛々しい切り傷に視線を泳がせながら、ドラゴンが吐き捨てるようにそう言う。
それを聞いて、俺は少し笑いが込み上げてきてしまった。

「はは・・・あ、あんたも結構、ドジなん・・・うああっ!」
「だ、黙れ!この私を愚弄するなど・・・立場を弁えぬか!」
その瞬間、怒りのこもったドラゴンの尻尾がミシミシと音を立てながら俺の腕と胸に食い込んだ。
だが苦痛に耐えて何とかドラゴンの顔を見返し、力なく声を絞り出す。
「あぅ・・・ぐ・・・じゃ、じゃあせめてさ・・・俺に足の手当てをさせてくれないか?」
「な・・・何だと?」
ドラゴンは奇妙な物でも見るような怪訝そうな目で、グイッと俺の顔を覗き込んだ。
「何故お前が私の手当てなどを申し出るのだ?お前は今から私の腹に収まるのだぞ?」
「せ、折角ここに薬と包帯があるんだ・・・あんたも、怪我をしたままじゃ具合が悪いだろう」
「いらぬ世話だ。そんなことくらい自分で・・・」
だがそこまで言うと、ドラゴンは何か考え事を始めた。包帯の巻き方でも考えているのだろうか?
「・・・やってくれるのか?」
「自分ではできないんだろ?」
「むぐぅ・・・」

痛いところを突かれ、私は思わず言葉に詰まってしまった。
確かに人間に姿を変えることはできるが、特に人間の生活の知識があるわけではない。
それに今までは怪我らしい怪我など1度もしたことはなかったが、これは正直舐めていれば治るというような軽い傷でもないらしい。
「まさか、私から逃げようなどと考えているのではあるまいな?」
「そんなつもりはないよ・・・どうせ俺にはもう、走る力もないんだ」
確かに疲れ切った人間の体からは完全に力が抜けていて、尾など巻きつけていなくてもとても逃げることなどできそうにない。
「いいだろう・・・好きにするがいい」
私はそれだけ言うと、尾を巻きつけていた人間の体を解放してやった。

逃げられないようにという保険なのか右の足首には尻尾の先が巻きつけられていたものの、俺はようやく恐ろしい重圧の下から解放されて安堵の息をついた。
とはいえ、食われるまでの時間が多少延びたに過ぎない。
それでも俺は地面に落ちていた消毒薬のビンと包帯、それに大きなガーゼを手に取ると、ドラゴンの左側に回って傷の様子を確かめた。
転んだ拍子に岩で切ったのかパックリと大きな切り傷が口を開けていて、流れ出した血がそこから先の足を真っ赤に染めている。
「少し沁みるぞ」
俺はそう言いながら消毒薬の容器を開けると、傷の上からドバッとかけてやった。
「うぐっ・・・う・・・」
相当に薬が沁みたのか、ドラゴンが痛みに顔を顰める。
「い、一体何だそれは?」
「傷口に入った菌を殺す薬さ。こうしないと後で化膿して酷い目に遭うぞ」
ロクに怪我をしたことがないのか、ドラゴンにはその辺りの知識がほとんどないらしい。
消毒が終わると、傷口を覆うようにガーゼを当てて包帯を巻きつけてやる。
そうして手当てを終えると、ドラゴンはフーッと大きな息をついた。
「さあ、煮るなり焼くなり好きにしろよ」
これで、後はこのドラゴンに食われるだけだろう・・・
俺は覚悟を決めてドサッと地面に座り込むと、気が抜けたように俯いた。

「なるほど・・・人間の知恵というのも、たまには役に立つものなのだな」
ずっと楽になった足を眺めながら、私は自分の行為を恥じていた。
この人間は、初めからこうするつもりで人間に化けた私に近寄ってきたのだ。
ならば、素直に手当てしてもらって逃がしてやった方がどれだけよかったことか。
いや・・・まだ間に合う。こんな心優しい人間を無情にも食い殺すことなど、私にできるはずがない。
「この手当ての礼だと言ってはなんだが・・・お前を食うのはやめよう・・・いや、それより・・・」
「・・・?」
私はゴクリと唾を飲み込むと、恥を忍んで人間に尋ねてみた。
「あれだけのことをして頼めることではないのだが・・・わ、私をお前と一緒に暮らさせてはもらえぬか?」
「え・・・」
「お、お前の家に・・・ともに置いてもらえるだけでいいのだ」
その申し出に人間の顔には驚きと困惑の表情が浮かんでいたが、特に反射的な答えは返ってはこなかった。
やがて短い沈黙の後、人間がそっと口を開く。

「ああ・・・いいよ」
「ほ、本当か?な、ならば向こうを向いてくれぬか。他の者に見られていては、人間に姿を変えられぬのだ」
「いや、そのままでいいよ・・・俺があんたと一緒にここで暮らそう。人間の姿のままでいるのは辛いだろ?」
その言葉に、今度はドラゴンの方が沈黙した。
「・・・よいのか?」
「月に1度だけ買出しに行かせてもらえれば、俺はどこに住んだって構わないよ」
ドラゴンはしばらくフルフルと震えていたが、やがて俺に背を向けると森の方へ向かって歩き出した。
「ここで待っていてくれ・・・私は何か獲物を獲ってくるとしよう」
ドラゴンは上手くごまかしていたつもりのようだったが、俺は向こうを向いた彼女の目からポロリと涙が滴り落ちたのに気付いていた。



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