桃竜の願い

    

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「ハァ・・・ハァ・・・」
木々の葉が赤や黄の紅葉に染まり始める季節、1人の青年が荒い息をつきながらなだらかな山道を登っていた。
登り慣れているとはいえ、しばらく振りの登山に鈍った体が情けない悲鳴を上げている。
「フー・・・こりゃちょっと体力つけないとまずいかもなぁ・・・」
額に汗を浮かべながらようやく坂道を登り終えて一息つくと、彼はボソリと独り言を呟いた。

俺がこの山に登り始めたのは、ちょうど3年くらい前だろうか。
その時は登山なんて俺の性分じゃないと思っていたけど、友達に誘われて初めてこの辰子山を登った時は何だか清々しい気持ちになったのを覚えている。
依然は行方不明者が多いとかいう理由で秋頃に入山禁止令が出ていた時期があったものの、ここ最近は特に規制されているということはなかった。
その時は素人が数人集まって大した装備も持たずに登り始めたものだから当然山頂までなんて到達できるはずもなく、俺達はこの辺りで登るのを諦めて下山したんだ。
それにここから先は坂の勾配もきつくなるし、木々も鬱蒼と茂っていてあまり人が入った形跡が見えない。
これまでも何度か1人でここまで登ってきたことはあったけど、流石にここから先へ進んでいく勇気はなかなか湧かなかった。
でも、今日はもっと高い所まで登ってみようと思う。
そのためにいろいろと準備もしてきたし、時期もあまり暑くならない9月の初めを選んだんだ。
まあ、1番重要な体を鍛えることを忘れていたわけだけど・・・

俺は意を決すると、目の前にまるで壁のように立ち塞がった厚い茂みを掻き分けて森の中へと入っていった。
何重にも重なった色とりどりの葉が日光を覆い隠し、思わず薄暗いトンネルの中を歩いているような錯覚に陥ってしまう。
それでもしばらくガサガサと生い茂った草木の山を突き進んでいくと、やっと少しは開けた所に出ることができた。
ザワッ
「うっ・・・」
再び疎らに木の生えた坂道に体を出した瞬間、俺はなんとなくピリピリとした刺激が全身に走ったのを感じた。
どちらかというと、悪寒に近いかもしれない。
まるで茂みに入る前と後で、全く別の世界を行き来してしまったような感じだ。
坂が前より多少きつくなっただけのごく普通の山道だというのに、人間が来てはいけない場所へ入り込んでしまったというある種の警鐘が胸の内で鳴っている。
「はは・・・た、ただの気のせいさ・・・」

わけもわからぬまま早くなった心臓の鼓動を鎮めるように、俺はそっと胸に手を当てながら歩き始めた。
大丈夫だ・・・多分、初めてきた場所にたった1人でいるのを不安に感じているだけだろう。
この山自体には、これまでだって何度も登ってきたじゃないか。
何度も自分にそう言い聞かせながら歩くうちに、ようやく森の切れ目が見えてきた。
だだっ広くなったその奥に、優しい薄緑色の草原が広がっている。
「うわぁ・・・」
森の中から見えたその美しい光景に、俺は胸の内に抱えた不安も無視して坂道を駆け出していた。

駆け出した勢いのままに森を飛び出すと、再び明るく降り注いだ日光が俺の体を照らした。
草原の奥にまた深い森が広がっていて、そこが周りを森林に囲まれた丸い形をした場所だということが分かる。
薄緑に見えた草はやや黄色がかった色をしていて、日光を反射して白っぽく光り輝いているようにも見えた。
俺はその草の上にドサリと寝転ぶと、疲れた体を休めるために少し休憩を取ることにした。
視界の端に映る眩しい太陽が、さっきまで感じていた不安を跡形もなく消し去っていく。

ガサッ・・・
だがその時、俺は近くで何か大きな生物が茂みを揺らしたような音を聞きつけた。
忘れていたはずの不安がぶり返し、恐る恐る起き上がって辺りを見回す。
そして次の瞬間目に飛び込んできたものに、俺は心臓がドキンと跳ね上がった。
体高130cmはあろうかという巨大なドラゴンが、茂みの中から俺のほうをじっと見つめていたのだ。
「・・・あら・・・人間がいるなんて珍しいわね・・・」
生い茂った黄緑色の草の中から顔を出していた俺の姿を認め、ドラゴンが茂みの中から抜け出してくる。
その背中側は薄い桃色がかった光沢のあるスベスベした皮膚に覆われていて、腹側は乳白色のプニプニとした肉がたっぷりとついていた。
ドラゴンが1歩足を出すごとに腹が微かにプルンプルンと左右へ揺れ、それが相当な弾力を持っていそうなことが一目でわかる。
「う、うあ・・・」
突然目の前に現れた巨大な生物に圧倒され、俺は震える手足を地面に突っ張るとズルズルと後ずさった。
だがドラゴンの柔らかそうな腹から太く発達した足や腕に目が行くと、逃げようという気力が消え去ってしまう。
とても逃げ切れるわけがない・・・
上半身だけを地面から起こした体勢でドラゴンの顔を見上げながら、俺は声にならない喘ぎを上げていた。

「ウフフフ・・・どうしたの?そんなに怯えて・・・」
やがて俺の目の前まで来ると、ドラゴンは甘く響く声で話しかけながら俺の上にゆっくりと覆い被さってきた。
プニプニとした極上に柔らかい腹が俺の体の上に乗せられ、ズシリと恐ろしいほどの圧迫をかけてくる。
「う、うわああ・・・ま、待って・・・何をするんだ・・・」
なす術もなくムッチリとしたドラゴンの腹の下敷きにされ、俺は膨れ上がった恐怖に腹の横からはみ出した手足をバタバタとばたつかせた。
「下手に暴れない方がいいわよ。前にも暴れた子を押さえつけようとして押し潰しちゃったことがあるんだから」
どことなくあどけなさの残る顔でサラッととんでもないことを言われ、俺はドラゴン腹下で震えながら抵抗するのを諦めた。
「うう・・・俺を食う気なのか・・・?」
「あら、私は人間の男なんて食べないわよ。肉が固くってとても食えたもんじゃないんだから」
「じゃ、じゃあ離してくれよ・・・」
弱々しい声でそう訴えたものの、ドラゴンはニタッと妖しい笑みを浮かべると俺の顔を腹の肉越しにググッと覗き込んできた。
「ウフフ・・・私のいうことを聞いてくれるなら、離してあげてもいいわよ。でももし断るというのなら・・・」
「こ、断ったら・・・?」
恐ろしいことを言われそうな気がして、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
「私の仲間の所にでも連れていって食べてもらおうかしら。彼ら、きっと喜ぶでしょうねぇ・・・」
「あ、ああ・・・わ、わかった・・・言うこと聞くから・・・それだけはやめて・・・」
その選択肢のないドラゴンの提案に、俺は重くのしかかったプニプニの腹の下で力なく応じるしかなかった。

「お、俺は何をすればいいんだ?」
「ウフフ・・・簡単なことよ。私の夫になればいいの」
「ええっ!?」
またしてもあっさりとすごいことを言われ、俺は素っ頓狂な声を上げていた。
「い、家に帰してくれるんじゃないのか?」
「あら、離してあげるとは言ったけど、逃がしてあげるなんて言った覚えはないわよ」
「そ、そんな・・・」
俺の顔に、見るからに嫌そうな表情が浮かんでいたのだろう。
ドラゴンはそれを見咎めると、ズシリと更に俺の上に体重を預けてきた。
柔らかい肉のお陰でどこかが痛いというわけではなかったが、胸が一気に息苦しくなる。
「嫌ならいいわ。仲間へのプレゼントにしちゃうだけだから。それとも、このまま押し潰してあげましょうか?」
グリグリと俺に腹の肉を擦りつけるように、ドラゴンが左右へ体を揺する。
「あう・・・ぐ・・・た、助けて・・・」
可愛い声と喋り方とは裏腹に、このドラゴンは思ったよりも残酷そうな気がした。
苦痛という苦痛すら与えられていないというのに、逆らえば命がないことは容易に想像がつく。
「や、やめて・・・夫になるから・・・うぅ・・・」
「ウフフフ・・・よかったわ」
ドラゴンはさも嬉しそうにそう言うと、ドスンと俺の顔の上にそのプルプルと震える分厚い腹の肉を押しつけた。
途端に息ができなくなり、一層激しく手足を暴れさせられる。
「むぐ・・・むぐぅ・・・うむむ~~~!」
顔を左右に捩って何とか空気を確保しようとしたが、あまりに柔らかな弾力の肉のせいでツルツルとした皮膚がぴったりと呼吸器を塞いで離さなかった。
「む・・・ぐ・・・ぅ・・・・・・」
だんだん、意識が遠のいていく。
だが俺がどんなに暴れたところで、ドラゴンは俺が気絶するまでこの拷問をやめるつもりはないようだ。
「ほら、静かにしなさい」
ムニュッという音とともに、とどめの圧迫で俺は顔を完全に固定されてしまった。
「う・・・・・・む・・・・・・・・・」
完全に呼吸を止められて、俺はついに暖かいドラゴンの腹下でぐったりと気を失ってしまった。


「・・・うぅ・・・」
あれから、どのくらいの時間がたったのだろうか・・・
ようやく意識を取り戻して辺りを見回したものの、見えるのはどこまでいっても漆黒の暗闇ばかり。
固い岩の地面に寝ていたことから考えても、俺はどこか洞窟の奥深くへと連れ込まれてしまったようだ。
あのドラゴンの巣なのだろうか?
まだフラフラとする頭を抱えながら周囲の音に聞き耳を立ててみるが、ドラゴンが近くにいる気配はない。
「と、とにかく・・・何とかしてここから逃げなきゃ・・・」
俺は酸欠に屈した頭を振りながら立ち上がり、出口を探した。暗闇の中に微かに風が吹き込んでくる方向がある。
そちらへ向かって両手を突き出しながら恐る恐る足を踏み出したものの、20歩程歩いた所で俺は何か柔らかいものにドスッとぶつかった。
「うっ・・・な、何だ?」
手探りで、その柔らかい物体をなぞってみる。
ツルツルとした感触が、小学生の身長くらいの高さから地面に向かってなだらかな曲線を描いていて、全体的にほんのりと暖かい。その上、ゆっくりとだが上下に微かに揺れていた。
これは・・・呼吸・・・しているのだろうか?
「ウフフ・・・どうしたの、坊や?」
「あ・・・」
突如その物体からあのドラゴンの透き通った声が聞こえ、俺は驚いてその場にへたり込んでしまった。

ゴソッという音がして、暗闇の中に紛れていたドラゴンが動いた気配が伝わってきた。
「さてはあなた・・・逃げようとしたでしょ?」
「あ・・・い、いや・・・そんなことは・・・」
ドラゴンの顔は暗くて全く見えなかったが、その声に微かな怒りのようなものが滲んでいる。
向こうからは俺がしっかりと見えているらしく、ドラゴンがこちらへクルリと向きを変えた。
ズッ、ズッという足音が聞こえ、離れていたときは聞こえなかった息遣いが徐々に近づいてくる。
「ご、ごめん!もう逃げないから・・・う、うわあああ・・・」
闇の中で追い詰められ、俺は素直に逃げようとしたことを認めていた。
だがドラゴンはそんなことにもお構いなしに俺の足首をガシッと掴むと、再びその張り裂けんばかりに柔らかな肉の詰まった腹でのしかかってきた。
「ああ・・・た、頼む・・・殺さないで・・・おもっ・・・う・・・」
すっぽりと俺の体を包み隠してしまうような巨体に組敷かれ、完全に抵抗を封じられてしまう。
ドラゴンの表情が見えないせいで、彼女が何を考えているのか全く読み取ることができない。
そのことが、余計に俺の恐怖心を煽りたてていた。

「・・・?」
その時、冷たい岩が背中に当たる感触に俺は初めて自分が全く服を着ていなかったことに気がついた。
「ウフフフ・・・別にいいわよ。どうせここから逃げることなんでできないんだから・・・それより・・・」
ドラゴンはそこまで言うと、下腹部の辺りを左右へ小刻みに振動させ始めた。
「こっちの相手をしてもらおうかしら」
そのブルブルと震える肉のバイブレーションが、露出していた俺の股間へゆっくりと押し当てられる。
「う、うああ・・・き、気持ちいい・・・」
プニプニと揺れる腹に敷かれて動くこともできないまま、ペニスが、睾丸が、容赦なくその振動で掻き回される。
「ウフフ・・・どう?こんなの初めてでしょう?」
「あは・・・ぁ・・・ま、待って・・・もう・・・限界・・・」
ドラゴンから強制的に与えられた未知の快楽に、俺のペニスは既にギチギチに張り詰めていた。
その限界一杯一杯の怒張がドラゴンのスベスベした腹に揉まれ、すり潰され、しごき立てられている。
ドクドクという脈動とともに股間へ競り上がってきた滾りを堪えながら、俺はドラゴンの腹下からわずかにはみ出していた首と手首を暴れさせて悶えた。
「う・・・く・・・は、離し・・・てぇ・・・」
射精を堪える意志が決壊しかけたその時、ペニスを刺激していたドラゴンの下腹部が突然前後にパックリと裂けた。
「え?」
何が起こったのか訝る暇もなく、大きく口を開けた横割れの中へペニスが根元まで飲み込まれる。
「フフ・・・それじゃあ頂くわよ」
ギュッ
「うあああ~~~~~~~~~~!」
既に我慢汁の漏れていたペニスを腹と同じようにプリプリとした肉襞で一気に搾り上げられ、俺は成す術もなくドラゴンの膣の中へ大量の熱い精を放っていた。

「あらあら、情けない声あげちゃって・・・人間の男はだらしないのね」
射精の快感に打ち震える俺に向かって、視界を塗り潰した闇の中からドラゴンの辛辣な言葉が浴びせられる。
だが反論しようにも、俺はあまりの気持ちよさに手足の指先まで力が抜けてしまっていた。
「う、うぐぐ・・・」
とてつもなく巨大な水風船にのしかかられているような感覚に、荒い息をついたままグタッと身をまかせる。
抵抗らしい抵抗もできないというのに、俺はこのドラゴンに言葉で逆らうのすら恐ろしかった。
「ウフフ・・・でもあなたの精、なかなか美味しかったわよ」
そう言いながら、ドラゴンが俺の顔をペロンと舐め上げる。
ペチャッという水音とともにドラゴンの唾液が薄く頬に塗られ、ザワザワと背筋が震え上がった。
「ひっ・・・」
頬に走った湿った肉塊の感触に、思わず短く悲鳴を上げてしまう。
「も、もう済んだだろ?は、離してくれ・・・」
「何言ってるのよ、子供を作るにはこんなんじゃ全然足りないわよ」
「こ・・・ども・・・?子供を作る気なのか?」
慌てて発したその問に、ドラゴンが大きく溜息をついたのが聞こえた。

「当たり前でしょ、あなたは私の夫なんだから。他に何をするっていうのよ?」
「あ、当たり前って・・・そんな・・・」
「なぁに?何か文句でもあるのかしら・・・?」
ウフフッという含み笑いとともに鼻にかかるようなドラゴンの甘い声が聞こえ、やんわりとペニスを包んでいた肉襞が再び締めつけを開始する。
「はぁ・・・や、やめて・・・お願いぃ・・・」
ズシッ・・・グ、グググ・・・
俺の抵抗を封じるためか、ドラゴンは俺の両手足の先までをそのプニプニした腹の肉で地面に押しつけた。
もはやドラゴンの巨躯の下から外に出ているのは、涙を浮かべた俺の情けない顔だけだ。
「ウフフフ・・・どんなにもがいても無駄よ。あなたに選択肢はないの・・・諦めて覚悟しなさい」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、再びペニスに快感が流し込まれ始める。
ドラゴンの膣がペニスを飲み込んだまま、さっき俺を追い詰めたようにブルブルと激しく左右へ震え出したのだ。
ブルブルブル・・・ブブブブブブ・・・
「あ、ああ・・・あああ・・・うわあああ~~~~!!」
逃げ場がないという恐ろしさに唯一自由な首を精一杯暴れさせて見るものの、そんなものは既に些細な抵抗とすら呼べなくなっていた。

固い地面の上にモッチリとした柔らかな肉塊で押し潰され、ペニスを取り込まれて弄ばれる。
その尋常ならざる恐怖と快感に、俺はポロポロと涙を零しながら悶え狂った。
「フフフフ・・・元気な子供を産ませて頂戴ね・・・」
ブルブルブルブル・・・グチュッ・・・ズリュッ・・・ヌチャ・・・
「ああ・・・だ、誰か助けて・・・うあ・・・あ・・・あひぁああああああ・・・・・・」
真っ暗闇の只中で繰り広げられる激しく一方的に行為に、俺は悲痛な叫び声を上げながらいつしか意識を失ってしまっていた。

体がギシギシと軋むような感覚に、俺は目を覚ました。
外は既に朝になっているようで、入り組んだ洞窟の中にも淡い光が少しだが漏れてきている。
気絶している間にもドラゴンに容赦なく精を搾り取られてしまったようで、俺はなんとも言えない疲労感に襲われていた。
薄明かりを頼りにキョロキョロと辺りを見回してみるが、今度こそドラゴンの姿は見えない。
もしかしたら逃げるチャンスなのかもしれないが、またドラゴンに見つかったら今度こそ命はないだろう。
「はぁ・・・俺・・・もう帰れないのかな・・・」
ドラゴンに組敷かれた時と同じ大の字の格好のまま、俺は小さく溜息をついた。

ズシッ・・・ズシッ・・・
その時、洞窟の入口の方から何やら重々しい足音が聞こえてきた。
それと同時に、洞窟の中へ入ってきていた光が巨大な影に遮られる。
見ると、あのドラゴンが尻尾を丸めて作った螺旋状のカップの中に大量の林檎を入れて帰って来たところだった。
「あ・・・お帰り・・・」
「食べ物を採ってきたわよ」
そう言いながらドラゴンは山のように積み重なった林檎をドサッと地面の上に置くと、その内の1つを掴んで俺の前に差し出した。
「あ、ありがとう・・・」
ドラゴンからそっと林檎を受け取ると、俺はがぶりとその赤い果実にかぶりついていた。
甘く濃い果汁が口の中一杯に広がり、体に溜まった疲労を洗い流していく感じがする。
あれ?でも待てよ・・・林檎の食べ頃って確か冬だったような・・・
まるで最も旬の時期に採ってきたような美味しすぎる林檎に、俺は歯型のついたそれをもう1度見つめ直した。
「ウフフ・・・それはね、この山でしか採れない特別な果実なのよ。一口食べただけで疲れが癒えるでしょう?」
確かに・・・よくみると普通の林檎にはあるはずの黄色い蜜の部分が全くなく、光沢のある真紅色の皮が真っ白な果肉部分を包んでいる。
「それがあるから、この山にはドラゴンがたくさん住んでいるの。人間と一緒に暮らしている仲間もいるのよ」
そうか・・・前に行方不明者が出るとかいって秋に登山道が封鎖されていたのは、山に住むドラゴン達に襲われたり連れ去られたりしたからなのだろう。
そして、俺もいつのまにかその行方不明者の1人になってしまったということか。
自らの境遇にもう1度小さな溜息をつくと、俺は手にしていたその果実をすべて口の中に頬張った。

「さて、それじゃあ元気が出たところで昨日の続きよ」
「え・・・?」
そう言われてドラゴンの方を見ると、彼女は既にパクリと下腹部の横割れを広げたまま俺の方ににじり寄ってきていた。
「あ・・・う・・・も、もうちょっと休ませて・・・くれないのか?」
「あら、あなたは別に何もしなくても、ただ私にされるがままになっていればいいだけじゃないの」
「そ、そんな・・・仮にも俺はあんたの夫だろ?もうちょっと優しくしてくれても・・・」
だがドラゴンは反抗されたのが気に入らなかったのか、そのあどけない顔をプクリと膨らませると声に凄みをきかせて俺を脅しつけた。
「子供を産ませてくれないっていうのなら、もうあなたに用はないのよ・・・この意味、わかるでしょう?」
圧倒的な体格差に俺が逆らえないことにつけ込んで、ドラゴンが俺を睨みつける。
「うぅ・・・わ、わかったよ・・・」
これじゃあ夫というよりもただの奴隷だ・・・
俺が悔しさと情けなさに消沈した顔で地面に体を横たえると、ドラゴンが嬉々としてその上にのしかかってくる。
そうして度々命を脅かされながら、俺はくる日もくる日もドラゴンに無理矢理精を奪い取られた。

7日目の昼頃、俺はいつものように精巣が空になるまでドラゴンに蹂躙されるとぐったりと岩の地面に横たわった。
「ハァ・・・ハァ・・・これ・・・いつまで続けるんだ・・・?」
「そうね・・・そろそろ卵ができてもいい頃なんだけど・・・」
「た、卵が産まれたら・・・休ませてくれるんだろうな?」
ドラゴンはその問に答えるのにちょっとだけ間を持たせたが、やがて満面の笑みを浮かべて請け負った。
「ウフフ・・・大丈夫よ。1回卵を産んだら、もうそれでお終いにするから」
「そ、そうか。それを聞いて安心したよ」
内心では今の含みのある間と言い回しになんとなく引っかかりを感じていたものの、それをわざわざ追求するのも無駄だと思ってとりあえず納得しておいた。

その日の夕方頃、ドラゴンはプックリといつも以上に膨れた腹を揺らしながら地面の上へ跨ると、うんうんと唸りながら力み始めた。
ようやく、待望の卵が産まれてくるのだろう。
不思議な林檎を頬張りながらその産卵の様子を眺めていると、やがてポンという軽い音とともにやや灰色がかった卵が勢いよくドラゴンの下腹部から飛び出して来た。
「フウ・・・フウ・・・ああっ・・・う・・・」
1つ、2つ3つ・・・どこにそれだけ入っていたのかというほどの大きな卵を3つ産み落とし、ドラゴンが荒い息をつきながら喘ぐ。

産卵が終わると、ドラゴンはスッキリしたお腹をプルプルと震わせながらこちらを向いた。
「ああ、疲れたわ・・・後は・・・最後の仕上げね」
そういいながら、ドラゴンがゆっくりと俺の方に近づいてくる。
「し、仕上げ?ああ・・・俺を麓に帰してくれるのか?」
「あら、違うわよ」
助かるかもしれないという微かな希望を込めた俺の質問をあっさりと一蹴したドラゴンの顔に、どこかよそよそしい冷たさが感じられる。
「じゃ、じゃあ何だよ?お、俺はもう用済みなんだろ?」
何か嫌な予感がして、俺は無意識の内にドラゴンから後ずさり始めていた。

「ええそうよ、あなたにもう用はないわ。ウフフフフ・・・」
「ああ・・・ま、まさか・・・」
ドラゴンの浮かべた妖しげな笑みに、俺は途端に冷や汗が噴き出し始めた。
明らかに、ただでは済みそうにない気配が漂っている。
「ま、待てよ・・・お、俺を殺す気じゃないだろうな・・・?」
「あら、バレちゃった?フフフ・・・」
「あ・・・う・・・うわああああああああっ!」
まるでいたずらがバレた時のようにバツの悪そうな笑みを浮かべるドラゴンの様子に、俺は弾かれたようにその場から逃げ出していた。

だが幾分も走らぬうちに強靭な足腰で跳躍してきたドラゴンに背後から飛び掛られ、うつ伏せに地面の上に押し倒されてしまう。
「う、うああ・・・な、何で・・・助けてくれ・・・」
ズッシリと凶悪な体重で下半身を地面に押しつけられ、俺は完全に逃げる手立てを封じられてしまっていた。
「この山には他にもたくさんドラゴン達が住んでいるけど、私みたいな体の仲間は他にいないのよ」
「だ、だから・・・?」
「きっと仲間達が何匹か私の産卵祝いにきてくれるわ。だから・・・彼らにも御馳走を用意しないとね」
その御馳走が俺のことだと悟るのに、随分長い時間をかけてしまったような気がする。

やがて、ドラゴンはその大きな手で俺の肩を抱き込むとグイグイと広大な腹の下へ俺の体を引き込み始めた。
「うわああ・・・や、やめろ・・・やめろぉぉ・・・」
助けを求めるように両腕を横に突き出したものの、成す術もなくプルプルと波打つ柔らかなドラゴンの腹の下敷きにされてしまう。
「フフ・・・大勢のドラゴン達によってたかって生きたまま食われるのは嫌でしょう?だからその前に・・・ね」
そして、ついに今まで1度も圧迫されたことのなかった俺の頭にまでドラゴンの腹がドスンと乗せられた。
「あ・・・あ・・・」
徐々に、体にのしかかる圧迫感が強くなってくる。
ドラゴンが体を支えている手を地面から離せば、俺はまるで煎餅のようにペシャンコにされてしまうことだろう。
そして、実際にドラゴンがそうするつもりであろうことは容易に想像がついた。
「ウフフ・・・そんなに心配しなくても、大して苦しくはないわよ」
「ひぃぃ・・・やめてぇぇ・・・うわああああ・・・」
指1本すら動かせぬほど全身に恐ろしい重量を預けられたまま、俺はやがてくる最後の瞬間を震えながら待つことしかできなかった。
「ほら、何か言い残すことでもある?」
「うう・・・お、俺を助ける気なんて・・・最初からなかったんだろ・・・」
「当たり前でしょ、あなたは私の獲物なのよ。食べたりはしないけど、捕まえたからには有効に利用しないとね」
情け容赦ないドラゴンのその一言に、俺は目から後悔と悔恨の涙を溢れさせた。
「う・・・うぅ・・・ひ、ひどいよ・・・うわああああ・・・・・・」

人間が絶望に打ちひしがれたのを見届けると、ドラゴンは地面についていた両手をパッと離した。
ドシャァッ
巨大な肉の塊が岩の上に叩きつけられるような音とともに、ドラゴンの体が深く沈み込む。
その腹の下からはみ出していた人間の手が激しい衝撃に1度だけビクンと跳ね上がると、もうそれきり動くことはなかった。

翌日、山の中腹にある洞窟の中では数匹のドラゴン達が陽気に浮かれ騒いでいた。
真っ赤な鱗に覆われた者やレモンのように黄色い体毛に覆われた者達に混じって、あのピンク色のスベスベした皮膚を持つドラゴンが楽しそうに自分の産んだ卵を愛でている。
産卵祝いに集まった雄のドラゴン達は用意されていた珍しい御馳走を嬉しそうに平らげると、ピンク色のドラゴンと一緒になって灰色がかった卵を眺め回していた。
やがてその卵の1つにピシッという音とともに小さなヒビが入り、一堂に集まったドラゴン達の注目が集まる。
パキッ・・・ピキッ・・・
静寂の中に響く殻の砕ける音とともに、卵の中から小さなドラゴンの手が覗く。
そして母親にそっくりな薄い桃色の皮膚に覆われた仔竜が姿を現すと、周囲のドラゴン達が一斉に騒ぎ立てた。

標高3564メートルの霊峰、辰子山。その5合目より上にはドラゴン達が数多く暮らしていて、毎年9月から10月にかけての産卵期には山に入った人間の多くが行方をくらましてしまうという。
そして今年もまた1人の若者を森の中に飲み込んだ辰子山は、薄っすらとけぶる霧の中にこれからも悠々と聳え続けるのだろう。



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