コンモドゥスVSスパルタクスを書いていたら、
スクラ〇ドになっていたでござるの巻。
えっ、なにこれこわい。
ちなみに、スパルタクスには多分隠しスキルとしてコレがついている予感。

  • 反逆者(トリーズナー)A+
奴隷でありながらローマ帝国に抗って戦い続けた彼の心の象徴。
精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトし、同ランク以下のカリスマを無効化する。

……嘘です。(AA略)
これはフィクションであり、現実とは一切関係ありません。
あ、スパルタクスの前のマスターは別に士郎というわけではありませんのでー。




静かな公園の中、二人の異質極まりない男女が佇んでいた。
一人は片腕を失った怯えきった女性。その女性は傍らの男性を異常なほど恐れていた。
そして、その男性はこの現代社会では異常極まりない格好だった。
頭から獅子の毛皮を被り、棍棒を持った筋骨隆々たる威厳に満ちた男性。
だが、威厳を持ちながら、その瞳は完全に狂気に囚われていた。
……バーサーカー、コンモドゥス。
ローマ帝国の中でも悪名高い彼は、不運にも呼び出され、聖杯戦争に参加する事になった。
そして、そんな彼らの元に、一人のやはり剣とラウンドシールド、そして軽鎧姿という異質な存在が現れた。

「……ふん、一度敗れてマスターを失い、なお朕の前に姿を表すか。セイバー。」

「ああ、あいにくと俺は諦めが悪いんでね。」

『反逆者(トリーズナー)』スパルタクス。
ハンニバルと並んでローマ帝国を苦しめた存在である。
ローマ帝国に縁にある人間で、彼の名前を知らない存在はいないだろう。
そして、それは当然コンモドゥスも知らぬはずはない。
だが……。

「ふん、貴様のような奴隷ごときが最優のセイバーを自称するとはな……。
笑止の極み。その愚かさ、ヘラクレスの化身たる朕が神威をもって打ち砕いてくれよう。」

そして、バーサーカーの後ろにいるのは、片腕を失ってがたがたと震える女性。
それは偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人の女性だ。
古代ローマを研究していた彼女は、研究のために運悪くコンモドゥスに関する品物を持ってしまっていたのである。

「くくく、全くあのコトミネとかいう神父も良い事を教えてくれたものよ。
おまけに奴隷(マスター)の令呪を奪ってくれるとはな。
令呪を失い、心をへし折ってやった今では、貴様は朕に魔力を奉じる奴隷に過ぎぬ。
さあ、魔力を絞り出せ。奴隷(マスター)。」

「ひ……っ!ごめんなさい!ごめんなさい!
何でもするから許して下さい!!
もう痛い事はしないで下さい!お願いします!」

偶然にもコンモドゥスを召喚してしまった一般人である彼女を待ち受けていたのは悲劇そのものだった。
彼女はサーヴァントを制御する令呪の存在も知らず、偶然にもそれを知った言峰によって令呪を奪われ、
聖杯戦争を攪乱するための駒としてコンモドゥスの奴隷として魔力を捧げる奴隷となってしまったのだ。
その彼女の瞳は完全に心が折れてしまった人間に特有の怯えきった目そのものだ。

「ふん、それでいい。奴隷は奴隷らしく、皇帝たる朕に仕えれば良いのだ。
さあ、セイバーよ。貴様も剣闘士ならば、それに相応しい舞台を整えてやろう。
ヘラクレスの化身たる朕の神威をその目に焼き付けるといい!!
《栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)》!!」

その瞬間、世界が書き換えられた。
闇夜に包まれた静寂な公園は、円形の闘技場へと変化し、煌々たる光と人々の歓声に包まれる。
これがコンモドゥスの宝具『栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)』
かつて無数の剣闘士を葬り、己の武威を誇ったコンモドゥスの心景風景そのものだ。

「それがお前たちの理屈か。」

かつての昔と同様に、闘技場に立ち、歓声を浴びるセイバー……スパルタクスは俯いたままぽつりと呟いた。

「ああ、そうだ。お前たちはいつだってそうだ。
弱者を踏みにじり、苦しめ、自分自身の権力を誇る事しかしない。
弱い奴らの苦しみなんて全く気にかけない。それがお前たち権力者の理屈ってやつだ。」

ギリ、とスパルタクスは歯ぎしりをすると、
すらりと己の剣であるリヴェンタル・グラディエーターを抜き放ち、その切っ先をコンモドゥスに突きつける。

「ならば……その理屈に 反 逆 す る ッ!!
それが、俺の在り方だ!!」

その言葉に、コンモドゥスは呆れたように呟く。

「たかが反逆者(トリーズナー)ごときが……よくも神の化身たる朕にそこまでほざけたものよ。」

そのコンモドゥスの言葉に、スパルタクスはにやりと不敵に微笑む。

「おいおい、さっきと言い方が違っているぜ?バーサーカーさんよ。
お前は、今、俺の事を奴隷じゃなくて反逆者(トリーズナー)と呼んだな?
つまり、それはお前の精神(ココロ)に俺の名前が刻まれたって事だよなあ。」

「……ッ!!貴様ッ……!!」

奴隷と完全に見下していたスパルタクスの予想外の言葉に、コンモドゥスはギリと歯ぎしりをする。
それは、スパルタクスの言葉が真実だったという事の証だ。

「だがな、まだ足りない。もっと、もっとだ。
刻んでやるぜ!お前の精神(ココロ)に!俺の名前を!!」

「思い上がるな!反逆者(トリーズナー)!
その高慢、朕の神威によって叩き潰してくれるわ!!」

その瞬間、両者はお互いに向かって疾走した。
ぶつかり合うコンモドゥスの棍棒と、スパルタクスの剣。
コンモドゥスの武勇の腕は極めて優れており、かつて無数の剣闘士を倒したその腕は衰えを見せず、さらなる冴えを見せていた。
狂化によって強化され、力を増したコンモドゥスの棍棒は、まともに喰らえば並みのサーヴァントならば打ち倒せるだけの威力を誇る。
だが、その一撃一撃をスパルタクスは受け流し、剣やラウンドシールドで上手く受け止める。
さすが、歴戦をくぐり抜けた筋金入りの剣闘士と言えるだろう。
そして、その中でスパルタクスは叫びを上げる。

《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)!!》

その声にコンモドゥスは警戒する。対人宝具か、対軍宝具か。
スパルタクスの逸話からして対城宝具はありえない。
恐らくは対軍宝具の類か、と警戒していたコンモドゥスだったが、次の瞬間拍子抜けした。
スパルタクスの剣は光こそ放つが、特になんの力も示さずにコンモドゥスの棍棒によってあっけなく受け止められる。
所詮奴隷。この程度にすぎぬか、と拍子抜けしながら、コンモドゥスはスパルタクスの胴体部に一撃を叩き込む。

「ぐ……ふっ!!」

コンモドゥスの棍棒の一撃を受けたスパルタクスは大きく吹き飛ばされ、
コンモドゥスのマスター……いや奴隷と化した女性の近くにまで吹き飛ばされる。

「ひ、ひぃいっ!も、もういやぁっ!!
お願い!これ以上私にひどい事しないで!
痛いのも怖いのももういやなの!」

近くに吹き飛ばされたスパルタクスを見て、女性は完全に狂乱しながら叫びを上げる。
片腕を失い、コンモドゥスの言いなりになるまで『教育』された彼女は、
完全に心が折られ、コンモドゥスの意のままになる奴隷そのものだ。
……そして、その目は同じ奴隷であったスパルタクスにとっては見慣れたものであり、看過できぬものであった。

「……怖いか?」

がたがたと震える女性に対してスパルタクスは意外とも言える優しい声で問いかける。
その声に女性は無言でこくこくと頷く。

「そりゃそうだろう。誰だって怖い。俺だって怖い。
ああ、世の中なんて『そんなもの』だ。
山のような理不尽があり、それに踏み潰される無力な奴らを俺は山のように見てきた。」

「だがな、弱いからと言って震えてるだけじゃ誰もお前を助けてくれない。
他人は誰もお前を救ってはくれない。自分を救えるのは、自分だけだ。」

「ああ、そうだ。弱い自分に反逆する!
俺はいつだってそうしてきた!
これからもそうする!それだけの話さ!!」

ぺっ、と血まみれの唾を地面に履き捨てると、
スパルタクスは、女性に向き直って、真正面から女性を見つめて問いかける。

「……だが、もし、お前が自分で立ち上がれるというのなら。
弱い自分に反逆するというのなら、俺がお前を支えてやる。
……俺がお前の刃になる。」

「私は……私は……私は……ッ!!」

ぽろぽろと溢れる涙。
その中で、ローマの研究者である彼女は思い出す。
曰く、スパルタクスはたった78人であの強大なローマ帝国に戦いを挑んだと。
それは、苦しむ人々を解放するための戦いであったと。
当初78人だった彼の軍勢は、最終的に数万人にまで膨れ上がったのだ。
その瞬間、彼女は無意識に叫んでいた。

「助けて……。私を助けて!!お願い!!」

「オッケェ!!お前の精神(ココロ)に刻め!!
俺の名前を!!スパルタクスの名前をなぁ!!
《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》!!」

まるで騎士の受勲のように、彼女の肩にスパルタクスは己の剣の平を当てて叫ぶ。

「な……ッ!!」

本来、《隷属断ち切る自由の剣(リヴェンタル・グラディエーター)》は、
契約関係を徐々に傷つけ、最終的に断ち切る事ができる宝具である。
だが、それは逆にいえば「何度も行なわなければならない」という事だ。
しかし、それが強い隷属性を持っているのならば話は別である。
彼女とコンモドゥスの間に極めて強い隷属性を持っていたからこそ、たった二回だけで契約を完全に断ち切る事ができたのである。

「き、貴様ッ……!!朕と奴隷(マスター)の契約を断ち切るとは……!!
そこまで計算してやっていたというのか!!」

「へっ、どうしたよコンモドゥスさんよ。
随分と余裕顔がなくなってきたじゃねえか。」

にやり、と不敵に微笑むスパルタクス。
その顔を見て、コンモドゥスは激怒する。

「ふざけるな……ッ!神の化身であり、ヘラクレスたる朕が何故貴様ごときに苦戦せねばならぬのだ……!!」

マスターを失った今のコンモドゥスは、己の存在するための魔力だけでなく、
栄光騙れる闘技場(コローニア・コンモディアーナ)の膨大な魔力も自ら支払わなくてはならない。
さらにその上、単独行動を持たないバーサーカーである彼では、この世界に長い事現界することはできない。
否!断じて否!!
誇り高きローマ皇帝であるコンモドゥスが奴隷に追い詰められ、闘技場を解除するなどそんな無様を晒すわけにはいかぬのだ!!
それを見て、スパルタクスはにやりと微笑む。

「ヘッ……。忌々しいが、剣闘士の戦いってヤツを分かってるじゃねえか。
意地があるんだよ……!剣闘士(オトコ)のプライドにはよ!!!」」

「極めて忌々しいが……その言葉だけには同意してやるぞ!反逆者(トリーズナー)!!」

怒り狂うコンモドゥスは猛烈な勢いで棍棒を振るい、連撃を開始する。
それをスパルタクスは剣とラウンドシールドで受け、コンモドゥスの隙を見計らって攻撃する。
だが、お互い決して回避はしない。

相手の攻撃は……全て受けきる!
骨を立たせて……肉を斬る!!
それこそが剣闘士の真髄なのだ!!

「反逆者(トリーズナー)ァアアアアアアアア!!」

「刻め……!俺の名前をぉおおおおっ!!」

そして、決着はついた。
一瞬の隙の見計らって繰り出したスパルタクスの突きが、深々とコンモドゥスの霊核を貫いたのだ。
コンモドゥスも頭部を狙って棍棒の一撃を繰り出していたのだが、
スパルタクスは、それを己の左腕を犠牲にして凌いだのだ。
スパルタクスの吹き飛ばされた左腕と、コンモドゥスの口から大量の血が同時に吐き出される。

「何故だ……。スパルタクス……。何故貴様はそこまで強く有り続けられる……?
神の加護も、血筋も、権力も、財力も、何も持たぬ貴様が何故……?」

「そりゃ当たり前だろ。
虐げられている弱い奴らを見過ごせない。
そして、俺を慕ってくるそいつらの前で無様な姿は晒せない。それだけさ。」

「……ふん、まさか、な。」

曰く、スパルタクスは当初たったの78人でローマ帝国に戦いを挑んだという。
そして、それは最終的に数万人に膨れ上がり、幾多もローマ帝国を苦しめたのだ。
それは、彼自身が虐げられた弱者から慕われたという事にほかならない。
それは、周囲の人間を全て信用できず、
狂気に陥るしかなかったコンモドゥスとはまさしく対極ではないか―――。

「……まさか、皇帝たる朕が奴隷である貴様を羨ましいと思うとは、な。
いや全く、神々というのは常に皮肉を好むものよ―――。」

そう皮肉げな言葉と笑みを残し、コンモドゥスは消滅した。
それが、彼らの戦いの結末だった。