<プロローグ>
 早朝。冬木教会の中で熱心に祈りを捧げている男の姿があった。
 2m近い巨躯と滝のような銀色の髭を携えたその男こそ聖堂王、あるいは大聖帝。
 西欧を作ったと称えられるもう一人の騎士王、カール大帝その人である。
カール「エイメン・・・ふむ、今日もつつがなく祈りは是無事に完了せり・・・。
   聖杯戦争も終わってはや幾日、世は平和で大変結構。
   さてさて、今日一日はどのように過ごすべきか・・・」
 そのときである。カール大帝の元に、大天使ガブリエルからの信託が唐突に降りてきた。
 その内容とは・・・
ガブリー「あ、シャルル?最近冬木で温泉湧いたって知ってる?あ、知らないっぽい?情弱乙www
    聞くところによるとさー、その温泉結構効能いいらしいのよー。でさ、その温泉近くに教会建てて布教活動とかしてみようぜー」
 ※・・・実際の信託内容はここまで砕けておりません、念のため。
カール「温泉・・・温泉か・・・。よいな、温泉!実によい!
   アーヘンの湯もなかなかであったが、思えばここは日本。温泉が心の故郷という国ではないか。
   日本に来て温泉に入らぬなど、あって良い話ではないではないか!
   たっはーっ、うっかり!さっそく温泉に向かWA☆NEVER!」

<中ボスステージ>
???「■■■■■ーーーーーっ!!」
カール「うぉ、いきなり化け物か!悪霊退散ーっ!」
???「■■■■■ーーーーーっ!!」
カール「うむ、一日一膳エクソシズム。怨霊物の怪困った時は、陰陽師なんぞではなく神父に助けを求めるべし。
   しかし一体これは何ぞや・・・日本の悪魔、いわゆる鬼という奴か?」
???「って、いきなり殺すとは何ごとじゃーっ!!!?」
カール「おお、生きておった・・・我が聖剣で死なぬとは中々どうして見上げた怪物よ。
   ああ、安心せい、すぐにとどめを刺し・・・って何コイツ、ちょ、酒臭っ!?」
酒呑「いや、そりゃ酒呑童子だし・・・今朝も酒かっ食らったからな。
   これで酒臭くなきゃおかしいっしょ」
カール「何堂々とダメ人間宣言じみたことしてくれてんの!?あ、人間じゃなかった・・・まぁいいや。
   儂は酒とか超苦手なんですけど。近寄るな、酒臭い。近寄るな、酒臭い」
酒呑「何このひどい言われよう。何お前、そんな威風堂々な外見のくせに下戸なの?マジウケるww
   まぁ、こっちも先を急いでるんだ。近づくなっつーなら近づかないよ。
   えっと、ヴァルハラ温泉はこっちの道で合ってるな・・・っと」
カール「よーし、悪魔は去った・・・って、ちょい待ち。今ヴァルハラ温泉とか言いました?
   いかん。いかんな・・・このままではせっかくの温泉が酒臭さMAX・・・あ、これ地獄だわ。阻止せんと」
酒呑「いやいや、温泉で酒をこうグイっと飲むのがいいんですよ?」
カール「認めません。う、想像しただけで気持ち悪くなってきた・・・」
酒呑「下戸すぎるだろ、アンタ。ま、阻止するってんなら相手になるぜ?さっき殺されかけた恨みもあることだしな」
カール「はっ!よかろう、悪魔退治飲酒廃止といこうではないか」

<ラスボスステージ>
 ガコン!ガコン!ガコン!ガコン!
カール「・・・・・・なんじゃこりゃ。温泉に着いたと思ったら、なんかどんどん妙な建物ができとる」
ネブ「は!はは!ははははははは!!良い・・・実に良い!
   温泉よりほのか立ち上る湯煙の中に我が空中庭園にて薄く白く濁る湯が噴水のごとく花と咲かせている!
   辺りは純白の雪!それが湯の熱でわずか溶け陽光を反射して、見よあの煌めきを!神殿が輝いている!
   湯が覚めようとも我が黄金の贄壇たる像が灼熱をもって温め直せばご覧の通りに再び湯となりて、まさに永久機関のごとし!
   嗚呼!嗚呼っ!!!ここに、偉大にして優雅にして繁栄の頂たるバビロンは再現されるのである!!!」
カール「・・・うわぁ(どん引き」
ネブ「む・・・なんだヒゲ面。誰の許しを得て、我が第二のバビロンたる此方に来ている。
   表に『工事中につき立ち入り禁止』の看板が立っていたであろう。とくと出てゆけ」
カール「いや・・・何しとるん?」
ネブ「見て分からんとは・・・いや、よく見れば貴様、相当に年老いているようだな。
   となれば、頭の方も相当にボケているのだろう。なるほど、では見ても分からんのは仕方あるまい。
   心して良く聞くがよい。王の言葉であるがゆえに!
   今、温泉宿を作っているのだ」
カール「阿呆だ。阿呆がおる。
   ふむ、しかし貴様今しがたバビロンとか言っておったな。
   空中庭園やら何やらを建てて、揚句王?・・・なるほど、貴様ネブカドネザルか」
ネブ「いかにも!さぁ、我が偉名を知ったのであれば、とく平伏すがよい。そして速やかに老人ホームへ帰るが良い。
   このバビロン温泉ランドが完成するまであと2日。完成した暁には、ここで会ったも何かの縁、特別優待券をプレゼントしてやろう」
カール「いらんわ!もとよりこの温泉には教会を建て冬木布教の第二の拠点とすべく天使より信託が下されておるのだ。
   それを勝手にわけのわからんものを建ておってからに・・・。
   神の御名の下に、この温泉を速やかに明け渡せい!」
ネブ「横暴・・・なんという横暴か!我が神殿を、我が聖域を、我が国境を侵し犯すか!
   偉大なるナブー神よ!我が温泉宿を守り給え!」

<エピローグ>
ローラン「大変だ!ルノーがまた行方不明になっちまった!」
アストルフォ「どうやったら温泉宿の中で迷子になれるんだろうね?」
ローラン「この前は確か、ボイラー室にいたよな。扉には鍵がかかってたのに」
チュルパン「ある種の奇跡ですよねぇ、彼の迷子は・・・」
カール「まぁ、ネブカドネザルの神殿をそのまま教会に作りなおしたせいで、馬鹿みたいなでかさじゃからのー。
   ルノーでなくとも、迷子になりかねんだろう。実際、昨日きた衛宮の小倅も迷子になりかけておったしな」
アストルフォ「確かに。僕もまだこの教会の全貌は把握できてないし・・・
      よーし、ローラン!ルノー探索ついでに、探検といこうじゃないか!」
ローラン「乗った!」
チュルパン「教会というか、すっかり『不思議なダンジョン』ですね。いいんでしょうか」
カール「ローランが楽しそうだからよし!
   さて、大司教よ。一緒に温泉に入らんか?この国では互いに背中を流し合うのが鉄則なのだそうだ」
チュルパン「では、お供しましょう。その前に祈りの時間をば」
カール「うむ。今日も冬木が平和でありますように」