●プロローグ
オデュ「ディオメデス、今あいているか」
ディオ「ん・・・オデュッセウスか。ああ、暇を持て余しているところだが・・・何だ?」
オデュ「いやなに、この町に温泉が湧いたという話を聞いてな。一緒に行かないか?」
ディオ「温泉か。この国の、湯につかる文化にはまだ慣れていないんだが・・・
   だが、いいものだと聞いている。よし、お供しよう」
オデュ「よし、では行こう。場所は私が知っているから、お前は付いてこい」
ディオ「了解だ、オデュッセウス」

●vsメレアグロス
オデュ「・・・これはこれは、メレアグロス殿ではありませんか」
グロス「む・・・オデュッセウスか。奇遇だな、こんな場所で」
オデュ「いやはや、なんとも。
   かのカリュドンの猪狩りの大英雄、冥界にてヘラクレスすらも恐れさせたという御身に出会えるとは恐悦至極。
   生前冥界に迷い込んだときには、不幸にも巡り合うことができませんでしたからな」
グロス「サーヴァントとして召喚されるのも、こういった出会いがあって面白い、といったところだな。
   ああ、死んだ後にも、現世でアタランテと会えるとは思っていなかったよ」
ディオ「・・・・・・・・・」
オデュ「どうした、ディオメデス。・・・ああ、そうか。お前は『猪の子』だもんな。
   メレアグロス殿。彼、ディオメデスと手合わせ願えないだろうか」
ディオ「え、ちょっと待てオデュッセウス!そんな恐れ多い・・・」
グロス「ああ、彼がディオメデスか。トロイア第二の勇将と手合わせというのも悪くないな。
   私とお前の格を考えれば、手加減できるほど差があるとも思えない。全力で行こうと思うが、どうだ?」
ディオ「は、はい・・・お願いします!!」
オデュ「・・・・・・フ」


●vs源頼政
オデュ「おお、あなたはこの国の武者だな。うむ、東洋の戦士は私の目には新鮮だ。
   我が名はオデュッセウス、貴君の名はなんという?」
頼政「うぉ!?・・・ああ、拙者のことでござるな?我が名は源頼政。
   戦士などという上等なものではござらんよ。拙者がまともに仕えるのは弓くらいであるゆえ」
ディオ「・・・弓使いか。あの軟派野郎を思い出すな」
オデュ「ディオメデス、一応私も弓使いなんだが。そうとも、弓を馬鹿にしてはいけない。古代においては戦場の兵器だからな。
   ・・・もっとも、我々の時代はそんな兵器を上回る、生きた超兵器たる連中がいたわけだが。
   幾度となく肩身の狭い思いをさせられたが・・・今となってはいい思い出か」
頼政「ははは・・・拙者の周りには、そんな超兵器じみた連中はおらなんだ。源の名を持つ英霊の中には何人か居るがな。
   しかし、オデュッセウス殿とディオメデス殿、お主らもばるはら温泉に?」
オデュ「・・・・・・・・・やはり、あなたもそうか」
頼政「うむ・・・拙者、恥ずかしながら母に大恩ある身でな。にもかかわらず、不孝にも母を死なせてしまったのでござる。
   その償いというのもアレではあるが、願いを叶えるという温泉の力で、母を蘇らせ孝行したいと、そう考えた」
オデュ「・・・・・・・・・・・・・・・母か」
ディオ「俺達もその温泉に行くんだ。どうだ、一緒に行かないか?」
頼政「おお、いいでござるな。やはり温泉と言うのは、大人数で・・・」
オデュ「ああ、残念だがそれはできないんだ。頼政殿、あなたにはここで脱落してもらう」
頼政「っ!?」
ディオ「え、おいオデュッセウス!どういことだ!?」
オデュ「願いを叶えられるのは、最初に湯に浸かったチームのみでね。異なるチームにいる以上、彼我両者の願いは叶わない。
   こちらも願いがある身でね」
頼政「・・・なるほど。一目見て信用しにくい相手と思ったが、やはりお主・・・」
オデュ「ディオメデス、手を貸してくれ。私が後衛、お前が前衛だ。すぐに終わらせよう」
ディオ「ああもう、話に付いていけない!後でちゃんと説明しろよ、オデュッセウス!
   ・・・ヨリマサ殿、悪いな。とりあえず気絶程度で済ませるから、恨むなよ?」

●ラストバトル
ディオ「どういうことか、説明してもらおうか」
オデュ「・・・説明と言ってもな。これから向かうのはヴァルハラ温泉。最初に湯に浸かったチームの願いを叶える温泉だ。
   この温泉を巡り、少なくない者たちが戦いを繰り広げている。無論、私もその一人だ」
ディオ「聖杯戦争みたいなものか・・・。俺と組んだのは」
オデュ「我々二人ならば何でもできる。パラディオンの神像を盗んだとき、そう言ったのはお前だろう?」
ディオ「・・・・・・ああ、よく覚えている。神像を盗んだ帰り路で、お前がやったこともな。
   一つ聞かせてもらうぞ、オデュッセウス。温泉が叶えるのは、最初に浸かったチームの願い、というのは真なのだろうな?」
オデュ「・・・・・・・・・察しがよくなったな、ディオメデス。だが、私は嘘はついていない。
   マスターとサーヴァント、二人で一つのチーム、というのが聖杯戦争の常識だろう?
   二人のサーヴァントがチームと認められるかは分からないが。
   不確定要素は、なるべく潰しておきたい。そう思うのは悪いことだろうか」
ディオ「・・・懐に忍ばせた剣を捨てろ。アンタじゃ俺には敵わない」
オデュ「メレアグロス、源頼政。二人との連戦で大分消耗しているだろう?無理はしないほうがいい。
   今のお前相手なら、私でも十分に勝機があるださ」
ディオ「なるほど、俺は敵チーム蹴落とすのに利用されたってことか。
   願いにはさほど興味はないが、利用されたっていうのは気に食わない。
   行くぞ、オデュッセウス。覚悟はいいな」
オデュ「やれやれ、穏便に後ろから刺殺したかったところだが、私も存外甘い。
   我が策謀と矢に絡め取られぬよう、気をつけろよディオメデス」


●エピローグ
オデュ「・・・・・・ガハッ。ん・・・ここは」
ディオ「起きたか。お前の言っていたヴァルハラ温泉っていうのは、ここでいいんだろ?」
オデュ「・・・そうか、私は負けたのか。何故殺さなかった、ディオメデス」
ディオ「殺せるわけがないだろう?お前は俺の戦友で、何より憧れだ。俺は神が相手でも殺しにかかれるが、お前だけは殺せないよ。
   それに、俺は自分の願いに興味ないが、お前の願いには興味がある。
   ・・・・・・母親のことなんだろ?」
オデュ「・・・なぜそう思う」
ディオ「お前が心を開いていたのは、俺以外にだと、自分の家族だけだ。
   トロイア戦争が長引いたせいで、お前の母が死んだって話は聞いている。
   ヨリマサ殿が母を蘇らせたいと言った時、お前は自分がどんな顔をしていたのか・・・自覚がなかったのか?」
オデュ「・・・ポーカーフェイスは得意なつもりだったんだがな。流石に、お前は見抜いてきたか。
   そうとも、あの忌まわしい戦争のせいで、母は死んだのだ。私が帰れなかったせいで死んだのだ。
   冥界に迷い込み、それを母から告げられたとき、私がどれほど・・・!」
ディオ「だからさ、オデュッセウス。とっとと温泉に入れよ。
   お前の気持ちはよく分かるから。願いを叶えてくれ」
オデュ「・・・・・・いいのか?」
ディオ「よくないわけがないだろう、戦友」


<捕捉説明>
 トロイアを陥落させるため、二人でパラディオンの神像を盗み出す帰り路、オデュッセウスはディオメデスを暗殺しようとしたことがある。
 このとき、雲に隠れていた月があらわれ明るくなったことで、デイォメデスは戦友の裏切りに気づき、
 オデュッセウスから武器をとりあげ縛り上げ、殴ったり蹴ったりしながらギリシャ軍陣営に戻ったそうな。
 なお、ディオメデスは父テューデウスがカリュドンの猪を描いた盾を愛用しており、それが元で結婚した逸話を持つため、
 自身を『猪の子』と呼んでいる設定。当然、カリュドンの猪狩り関係の英雄(メレアグロスやアタランテ)に対して憧れている。
 一方でオデュッセスは、元々戦争を嫌がっていたことや家族を大事にしていること、そしてトロイア戦争からの帰還中に
 冥界に迷い込んだ際、母から「お前が帰ってこないからさびしくて死んだ」と言われた逸話により、
 聖杯にかける願いが「母を蘇らせ、寂しい思いをさせたことを償いたい」になった。頼政とかぶるので、彼にも出番が。