南米で行われた異端の聖杯戦争。
 英霊を召喚して繰り広げる闘争は、やはり異常な様相を示していた。
 此度の聖杯に相当する「贄」が、初戦において破壊されると誰が予想しただろうか?

 次なる聖杯として定められたのは、「凶眼」を抱く御子上の少女。
 御子上 紗月は彼らを守る為、ひとり囮となって妹弟を逃すも、
 密林の勇者ネザファルピリの猛攻を前に、次第に追い詰められていく。

 ――――そんな彼女を救ったのは、一人の拳銃遣いだった。

 「贄」と誤認された紗月をめぐり、「大学」の魔術師が激戦を繰り広げる。
 ガンスリンガーと行動を共にする紗月は、歯を食いしばって絶望に抗うガンスリンガーに興味を抱く。
 しかしその三つ巴の戦いに決着をつけたのは、三人のマスターでも、三騎のサーヴァントでもなく、
 密林を飲み込む、蹂躙王に率いられた、おぞましき死者の軍勢そのものであった。

 蹂躙王によって、遺跡群が次々に地獄へと変貌し続ける中、
 ファナと紗月を守る為、寝ずの番を引き受けたガンスリンガー。
 少女たちのあどけない寝顔を見つめる内、ガンスリンガーは、
 自分の錆びついた心の中に、何か暖かい物が流れるのを感じ取っていた。

 夜闇の迫る中、蹂躙王と、そのマスターたる死霊使いを襲撃するガンスリンガー。
 英霊と魔術師に対し、挑むのは常人三人。勝敗はわかりきっている――筈だった。
 だが、黒縄地獄によって拘束された主従を『魔弾』が穿つ。
 ガンスリンガーは幾度と無く自分の死ぬ光景を幻視し、最適解へと辿り着いたのである。

 しかし、生還した彼らを待ち受けていたのは、暁と壱那が囚われたという事実だった。

 疲労困憊していた彼らは、黒雲霞によって蹂躙されてしまう。
 紗月の目の前で、悪戯に弄ばれ、殺される暁。
 そして、壱那を贄として召喚される聖杯=神霊。
 彼女たちの従えていた英霊――バーサーカー清姫を格としたそれは、
 壱那を取り込み、融合し、そして令呪によって繋がりを持つ、紗月をマスターとして選ぶ。

 圧倒的な魔力と絶望と狂気とに精神を侵された紗月は、
 黒雲霞を葬り去ると、その力をもってして世界そのものに牙を剥く。

 その前に立ちはだかるのは――――ただ一人の拳銃遣いだった。