いつもと同じアインツベルンの森、いつもと同じ様に野宿していたライダーの
サーヴァント金太郎はいつもと同じ様に目を覚まし、なんだか目の前がぼやけている
ので目ヤニを拭おうと右手で顔をこすった。

「・・・ん?」

顔の前で手を振るが目と右手が10センチ以上離れてしまっている。
よく見ると右手は手甲に覆われていた。否、右手だけではない。
金太郎の全身が鎧に包まれ、顔にはフルフェイスのヘルメットがかぶせられていた。
前がよく見えない理由はこのヘルメットだったのかと、いやそれよりもこの格好は一体。

「な、なんじゃあこりゃー!」

金太郎の絶叫が森に響き渡る。目が覚めたら変身ヒーローになっていただなんて事実
誰だって取り合えず驚くしかない。

「ふふふ、気に入ってくれたかしら?」
「そ、その声はオイラのマスター、アインツベルンの現在当主イリヤスフィールこと
イリヤちゃん!」

声の方に振り返るとイリヤがいた。ピンクのナース服に身を包んだイリヤがいた。
読者の皆様の中には金太郎のマスターはイリヤというのにしっくりこない人もいるかも
知れないが、今回はそういう設定だと納得してくださいお願いします。

「イリヤちゃんがやったのか、で、一体何だよこれ」
「金太郎、いいえライダー、貴方このままでいいの?」
「何のことだ?」
「単刀直入に聞くわよ、貴方エンキドゥに勝てる?孫悟空に勝てる?」
「う、うー」
「勝てないわよね、正面からでも相撲でももちろん搦め手で戦っても。喧嘩だけが
取り柄の貴方がそんなんじゃマスターである私も心配だったのよ。
で、この鎧と言うわけっす」

辛辣に、悲しげに、楽しげに、ブルマに、実にイリヤらしく彼女は犯行の動機を
語りかける。寝ている自分にヒーロー鎧を着せたのは悪戯ではない事は分かり。
金太郎は納得すると共に新たな疑問が湧き上がる。



「えいれーがこんなの装備して強くなれんのか?」
「なれないわよ、普通はね。でも貴方の場合は別、私の計算が確かなら別人の様に
強くなるわよ。いいえ、今日からライダーは別人になるの。ライダー、貴方の真名は?」
「え、えーと真名というのは本名ってやつだよな。オイラは坂田金時だけど、
ってゆうかこれ召還された時に一回いったじゃんイリヤちゃん」
「そう、貴方の真名は坂田金時。じゃあその体は何?鉞かついで熊にまたがるその姿
はどう見ても金太郎と名乗っていた少年時代じゃない。金太郎の外見と坂田金時の
真名、どっちが貴方の全盛期を意味するのかしら?」
「オイラそれは言われるまで気づかなかったなあ」
「そこに気づいた私がセラ達に徹夜させて作ったのがこの鎧、源頼光が坂田金時に
与えた具足のレプリカにアインツベルンの技術の粋を詰め込んで見た目がちょっとだけ
変わっちゃったこれを着れば貴方は今日から外見も真名も坂田金時に一致、
知名度補正が正しくかかりステータスバリバリ上昇する事間違いなし!」
「そうか!これでオイラ最強か!」
「ええ、これで最強よライダー!」
「ウオオオオオー!オイラは、いや俺は坂田金時だー!」

森にヒーロースーツの金太郎の絶叫が響き渡る。

「今日から俺は坂田金時だ!!」
「今日から貴方は坂田金時よ!!」

戦隊ポーズと共にもう一度自らの真名を叫ぶ金太郎。

「今日から俺は坂田金時だっ!!!」
「そう、貴方は坂田っ金時!」
「俺はっ、坂田っ、きんっ、ときっ」
「貴方はっさかたーきんときー!これで今日から大活躍よ!」
「「バンザーイバンザーイ!」」

その日の晩、プテサンとセットで本スレの出稼ぎに行っていた熊太郎が帰ってきた時、
金太郎は内面まで完全に坂田金時に変貌してしまっていた。

「クマー(ただいま帰りましたよご主人)」
「ああ、いつも出稼ぎありがとうな猪鼻嶽大王熊。鍋出きてるから食えよ」
「・・・クマ?(・・・誰?)」
「誰って、見れば分かるだろ俺は坂田金時、ライダーだよ」
「クマ~(違う、間違いなく金太郎さんだけどこんなの金太郎さんじゃない。
というかこのヒーロースーツは一体)」
「おかえり熊太郎」
「クマ(あ、イリヤさん。大変です、ご主人が)」
「戸惑うのは分かるわ。ホフッホフッ。でも慣れなさい、これが彼の本当の姿なのよ。
大根きらーい、熊太郎にあげる」
「これからもよろしくな猪鼻嶽大王熊」
「クマーン(こんなのご主人じゃないです。穏やか過ぎます)」

おしまい

ふと、だれも金太郎の事を坂田金時として認識してないなーと思い書いてみました。