バベル外伝? 5話




~~翌日、下校時

前アーチャー「今日もガールズトークの時間だね」

凛「あんたの言うガールズトークって、猥談じゃない……」

前アーチャー「リンェ、こまけえこたあいいんだよ。それよりも今日はお友達の紹介だー!」

カレン「……こんにちは」

前アーチャー「血糖値500オーバーのカレンちゃんだ」

カレン「……誰が、糖尿病患者ですか」

イリヤ「こんにちは、よろしくね」

桜「こんにちは」

凛(何か気が合わなそうな子だな)

凛「それで、カレンさんはどうやってこの不気味生物と知り合ったの?」

前アーチャー「誰が淫獣だ、こらー!」

桜「誰もそんなこと言ってないですよ」



カレン「昔、一家離散で、生活に困ってた私を助けてくれたんです」

イリヤ「アーチャーは、本当に英雄(ヒーロー)さんだね」

前アーチャー「へへへ……そう思うなら、俺様と一緒に駅前のホテルに行こうよ、イリヤ」

カレン「………」

前アーチャー「軽いイタリアンジョークだろうが……だから耳を引きちぎろうとしないでくれよ、カレン」

カレン「本当に貴方は最低の駄犬ね、さっきも人が食ってるもの、横取りしてきたし」

前アーチャー「おめえ、間接キッスは紳士の嗜みだろうがー!」

カレン「それと、人が入った風呂の残り湯を飲むの止めてほしいのだけど」

凛「それ、うちでもよくやるわね」

前アーチャー「へっへっへ、イリヤの家の風呂はお袋の味がしたぜ」

イリヤ「ああっ! 昨日のお風呂のお湯が少なかったのはアーチャーのせいなの!?」

カレン「………」

前アーチャー「やめろぉ、カレン! 間接はそっちには曲がらな……ああ、自分の背中が見えるぅぅぅぅ」

凛「話を聞いていて気づいたんだけど、アーチャーって今はイリヤとカレンの家に住んでるの?」

前アーチャー「おう。俺のカキタレの家を渡り歩いてるのさ」

イリヤ「そうなんだー」(カキタレって、何だろう?)



カレン「この駄犬の手癖の悪さは本当に最悪ね。油断すると、すぐ人の股の間で寝ようとするし」

桜「私の場合、胸を枕にしようとするし」

前アーチャー「男は女の股間か胸でしか眠れないんだぜ」

凛「あんた、最低だわ」

前アーチャー「止せよ、そんなに褒めても俺の心はあげないぜ」

イリヤ「あはは、褒めてないし」

カレン「アーチャー、ちょっと」

前アーチャー「何だ、急に便意でも催したのか?」

カレン「私もイリヤの家にお泊りしたい」

前アーチャー「おお、その肉欲にまみれた目、ゾクゾクするぜ。契約成立だな、俺に任せろ」




前アーチャー「イリヤ、ちょっといいかい」

イリヤ「何かな、アーチャー」

前アーチャー「カレンを今晩、家に泊めてやってくれないかな?」

イリヤ「ええっ!? 別にいいけど……どうして?」

前アーチャー「あいつ、この年になってもおばけが出るって信じてるんだぜ。
       便所に行けなくて、夜明けに何度お漏らししたことか……」

イリヤ「そ、そうなんだ……」(アーチャーもおばけみたいなものじゃないのかな?)


桜「それで、カレンさんはどうやってアーチャーさんと知り合いになったんですか?」

凛「あっ、私も気になる!」

カレン「……別に構わないわよ。あれは10年前のまだ寒さの厳しい冬のことだったわ……
    私は家族が離散し、修道院を転々とした肩身の狭い暮らしをしていたの
    そのときに私に会いに初めて訊ねてきてくれたのが、彼よ」

凛「ふむふむ、それで?」

カレン「彼は、父の知り合いだと言ってね。
    育児放棄したあれの思い出話を聞いて、大層憤慨して殴り飛ばしたそうなの
    その勢いのまま遥々訊ねて、
   「今までよくがんばったな。これからは俺がオマエの親父だ。
    こんな馬鹿でよければ、一つ面倒を見させてくれないか」って私を引き取ってくれたの」

凛「へえ、あんたいいこともするじゃん」

前アーチャー「おう、もっと褒めろ。俺の鼻がぐんぐん伸びて、天を貫くぜ」

イリヤ「ぐすっ、アーチャーさんはやっぱり凄い英雄(ヒーロー)さんだったんだね」

カレン「…………そこまではホントに美談なんだけどね」

桜「あっ、やっぱりオチあるんですね」




~~10年前深夜、冬木市公園にて

前アーチャー「こんな夜中に呼び出すなんて、どういう了見だ、カレンちゃんよー」

カレン「ねぇ、貴方はなんでもお願いを叶える力があるんだよね」

前アーチャー「おうよ。妾(セフレ)になって、エロい願いを言ってくれるなら、何でも叶えるぜ」

カレン「それじゃ……」

前アーチャー「親父のことか?」

カレン「えっ! ど、どうしてそれを……」

前アーチャー「くっくっくっ、妾(セフレ)候補のことなら、リサーチ済みよ」

カレン「……どうする気?」

前アーチャー「どうもしねえよ。オマエの身体についてなら、用件に察しがついていたから、治しておいた」

カレン「え……?」

前アーチャー「これで人前で楽器のオルガンを弾こうが、股間のオルガンを弾こうが、自由にできるはずだぜ」

カレン「本当なの、それ……良かった……」

前アーチャー「だけどな、親父はオマエに会いたくないそうだぜ」

カレン「えっ!?」

前アーチャー「いや、残念だなー。折角オマエの身体を治してあげたのに、本人はまったく関心が無いなんて」

カレン「……そんな、嘘よ」

前アーチャー「事実だぜ、諦めなよ」

カレン「う、うわああああああ!」

前アーチャー「カレンよ、愛が必ずリターンされるって保障は無いんだぜ」





~~十分後

カレン「うっうっう……」

前アーチャー「落ち着いたか?」

カレン「あたしって、本当にバカ……私の身体が治れば、自然と一緒になれると思ってた
     お父さんは神父さんだから、悪魔憑きの私といられないんだと思ってた」

前アーチャー「別に俺が拳で話して、おまえが大切な娘だって教えてやってもいいんだぜ」

カレン「そんなの……無理やりしてまでお父さんと一緒になりたくない。お父さんの負担になりたくない」

前アーチャー「いい心がけだぜぇ、カレンぁ。おまえは本当、いい奴だよ」

カレン「ぐすっ、貴方に褒められてもね。はぁ……まるで私って童話の人魚姫みたい」

前アーチャー「おーい、急に夢見る乙女みたいなこと言うんじゃねーよ!」

カレン「うるさい! 少しくらい、いいじゃない……。
     王子様と結ばれなかった人魚姫になって、泡になっちゃいたい……」

前アーチャー「おし、その願い叶えてやるよ!」

カレン「えっ!?」

前アーチャー「契約完了だ」





カレン「きゃああああ!」

前アーチャー「おう、お似合いだぜ」

カレン「い、いやー! な、何これ。下半身が魚に!」(ビチビチ)

前アーチャー「前からさー、人魚とエッチっていうシチュエーションを叶えたくてな。毎年元旦に神社でお願いしてたわけよ」

カレン「こんなの、いやー! 元に戻してよ!」(ビチビチ)

前アーチャー「くっくっく、嫌なこったー、ベロベロバー。
        あ、そうだ、上半身が魚で、下半身が人間っていうのなら、入れ替えてやってもいいぜ」

カレン「ふ、ふざけないでよ。これじゃあ、元の生活なんて送れないよ……」

前アーチャー「ふふふ、さーて、そろそろセクハラを……」

言峰「貴様!なにをしている!」

カレン「! どうしてここに?」

言峰「そこの間抜け面の悪魔に呼び出されたのだ……これは……
   貴様、この娘に何をしたんだ!」

前アーチャー「うひひひひ、幼女を人魚に変えたんだよ。これで人外エッチができるぜー」

言峰「貴様っ!」

前アーチャー「ひいいいいい、ぼ、ぼ、暴力には屈しないぞ……」



言峰「…………アーア、折角この幼女に足デ淫蕩に踏みつけて貰おうト思ったの二」 カタコトー

カレン「へ?」

前アーチャー「な、何ですとー!? プリースト、いま何とおっしゃいましたか?」

言峰「繰り返すが、貴様にこの少女に足でエッチして貰えるように、
   お願いしようと思ったんだが……仕方あるまい、残念ながらこれでは無理そうだ……」

前アーチャー「おらああああ! そういうことはもっと早く言え! 契約完了だー!」

カレン「あっ! も、元に戻った」

言峰「ふむ、酷い目にあったようだな。きみ?もう大丈夫だ」

カレン「?、えっと……?足でエッチって……?」

言峰「気にする必要はない。それは方便だ。忘れたまえ」

前アーチャー「んなあああああっ! だ、騙しやがったな!」

言峰「こんな手に引っかかる、貴様が悪い」

前アーチャー「ちくしょう、ちくしょうぅぅぅぅ! ……くっくっくっ」

言峰「何だ、気味が悪い」

カレン「ショックでおかしくなっちゃったのかな?」

前アーチャー「契約を反故にした者には、ペナルティーがあるんだよ」

カレン「そ、そんな……」

言峰「どんなペナルティだ?」

前アーチャー「こことは世界が異なる異界の空間、お前たちはそこに永遠に閉じ込められることになる……永久にな……」




~~???

カレン「え……こ、ここはどこ?」

言峰「こ、これは!」

前アーチャー「くくく、言っただろうペナルティだと。貴様ら二人は閉じ込められたんだよ」

言峰「固有結界……?一定条件下で発動するタイプのものか……!」

前アーチャー「固有結界なんて生易しいものではない。貴様らが閉じ込められたのは……おちんちんランドだ!」

言峰・カレン「……は!?」

前アーチャー「あれを見ろ」




この世全ての悪(アンリマユ)(仮)「あーあ、何かいい出会いがねーかな」

子分1ケイ 「ふっふっふ、そういうことなら五年前から俺が温めておいたプランがあるぜ」

子分2自来也「ろくでもなさそうだの、それ……」

子分1ケイ「いいか、よく聞け。学生の登校時間が多い時間を見計らって、パンを咥えてひたすら十字路を走りまくるんだ。
       それで女学生とぶつかる、俺が逆ギレ、そこから出会いが生まれる!」

この世全ての悪(アンリマユ)(仮)「それって女の子がやる手じゃねーのか?」

子分1ケイ「バカ! 女が使えるなら、男だって出来るに決まってんだろ」

子分2自来也「お主、頭いいなー」



前アーチャー「という風に、ひたすら非生産的なモテトークを討議する場所なのだ」

カレン「さ、サイテー……」

言峰「よく見たら、周りの風景も抱き枕とかポスターばかりだな……」

カレン「な、何この臭い……い、イカ臭い!」

前アーチャー「くっくっくっ、苦しむがいい、苦しむがいい」

この世全ての悪(アンリマユ)「あれ、アシュさん。居たんですか?」

前アーチャー「おうよ。契約を破った愚か者を連れてきたぜ」

子分1ケイ「ほっほーう、それはそれは……」

子分2自来也「歓迎してあげなくちゃならんのう、くくく」




~~五分後

カレン「それで、もう終わり?」

この世全ての悪(アンリマユ)「お、終わりです……ぐはぁ」(ボロボロ)

子分1ケイ「ううう、幼女って綿菓子みたいなフワフワしたもので、出来てたんじゃなかったのかよ」(ボロボロ)

子分2自来也「でも、わしはこんな強い子もいいかも……」(ボロボロ)

前アーチャー「てめえら、超常現象的な存在なら、もうちょっと粘れよ!」


言峰「さて、これはどうしたものか……」

前アーチャー「ちくしょー。別にこいつらを倒しても、出してやるわけじゃないからなー!」

言峰「……契約を破ったのは私だ、この子は帰してやれ」

カレン「何言ってるのよ……」

前アーチャー「……ちっ、余計なことに気づきやがって」

カレン「そ、それなら……契約が達成されたら、どうなるの!?」

前アーチャー「ん? それならお前たちは帰れるし、俺の心はサティスファクションで満たされるぜ」

カレン「じゃ、じゃあ、それなら……」

言峰「む?」

カレン「おと……、おじさんやり方を教えて……」

言峰「……別にきみがそんなことを知ることもする必要もない」

カレン「いいから、教えて!」

言峰「………」

前アーチャー「仕方ねーなー」


ゴニョゴニョ


言峰「………」

カレン「………」(ふみふみ)

言峰「………………」(真っ赤)

カレン(………すごく恥ずかしい)(真っ赤)

前アーチャー「うおー、初々しいおんにゃのこが、ふみふみしてる、たまらんー!」

この世全ての悪(アンリマユ)「うう……我が生涯に一片の悔いなし」(ドクドク)

前アーチャー「だからおめーら、英雄的に弱すぎんだろ! 鼻血でダメージなんか受けやがって!」



~~公園

カレン「も、元に戻った!」

言峰「助かったのか」

前アーチャー「くっくっくっ、契約完了だ。お前たちのエントロピーが願いをうんぬんかんぬん……」

カレン「台詞を覚えてないなら、難しいことを言おうとしないでよ……」

前アーチャー「さて、ステディ(子猫ちゃん)のために三角木馬を用意しなくちゃいけねーから、
        ビューティフルに俺はエスケープするぜ。アディオス、セニョリータ!」

カレン「あ、こらっ! 待ちなさいよ!」

言峰「放っときなさい。あれは、何を言っても聞きはしないのだから」

カレン「でも……」

言峰「それより送っていこう。帰りがてら、何が起こったのか教えてくれ」

カレン「……あのね、実は……」





~~現代

イリヤ「そうなんだ、そんなことがあったんだ……」

桜「カレンさんも大変だったんですね……」

前アーチャー「おーい、俺への慰めは?」 ブスブス

凛「……辞世の句は?」

前アーチャー「我が一生、ハーレム作れず、無念なり」

凛「下の句は?」

前アーチャー「もはや無用にございまする」



 ズドーン


カレン「ほら、これで涙を拭きなさい」

イリヤ「うん、ありがとう」

カレン「……別に泣くことはないでしょうに」

イリヤ「あの……」

カレン「どうしたの?」

イリヤ「あの……その後、お父さんとは仲直りできたんですか?」

カレン「……いいえ……あの後、全てを告白したんだけど、やっぱりダメだったわ……」

イリヤ「そうなんだ……」

カレン「アーチャーがね、悔いが残らないように全部話してこいって……
     私にけじめを付けさせるために、わざわざあんな寸劇をしたのよ。でも、おかげですっきりしたわよ」

イリヤ「カレンさん……」

カレン「まあ、こういうのは、ちゃんと幕を引いておかなくちゃね。
     自分の気持ちから逃げたくなかったし、今では清々してるわよ」

イリヤ「えへっ、アーチャーは本当は優しいってことわかってくれてありがとうね、カレンさん」

カレン「ふふっ、いつも面倒ごとへ振り回されて、本当にいい迷惑よ」

前アーチャー「おお、麗しきは女の友情……くそー、眩し過ぎて目が眩みそうだぜ
        それで、次回の契約についてちょっと悩んでるんだけどさー……」 黒コゲー

凛「あんたは、エロいことする以外のことも考えなさいよ!」