FateMINASABA 23th 00ver

 なだらかに続く坂道と、海を望む高台。
 坂道を上っていく程に建物の棟は減っていき、丘の斜面に建てられた外人墓地が目に入ってくる。
 一度も足を止めず、教会に辿り着いた。
 坂道を駆け下りている時は息が乱れて走りづらかったが、それも交差点まで降りた頃にはなくなっていた。
「は―――――はあ、は」
 言峰がなにか知っているのなら、なにか聞き出してやると気合をいれた。

 ―――扉を開ける。
 天窓からの陽射しが視界を白く焦がす。
 朝の礼拝を終えた教会は無人だった。
 明かりは頭上から差し込む陽射しだけである。
 静寂は厳粛な空間を作り、制止した空間は洗礼された静寂を生む。
 「――――――――」
 神父を呼びかけようとして、気が変わった。
 一番後ろの椅子に座る。

慎二  「……あー、眠たいなー」

 座ったまま両手で顔を支え、ぼんやりと益体のないことをつぶやく。
 昨日から歩きどおしで、だいぶ疲れがたまっていたのだ。
 少しばかりここで休むのも悪くないだろう。

ランサー「お、椅子の上にてんとう虫発見。んで、なにやってんだシンジ? 朝から二度寝とはいい身分だね、どうにも」

「――――――」
 アンニュイと椅子に沈みこんでいた体を起こす。

慎二  「……少し疲れてるんだよ、言峰に行方不明事件のこと、なにか知らないか聞きに来たんだが
     どうにも眠たくてね、どうせ、ここにいればイヤでもかち合うんだ。
     ならちょっとくらい休んだって大丈夫だろ?」

 陰鬱な溜息といっしょに一言。

ランサー「ふうん、でなにかわかったとして、その後どうするんだ?どんな明証にぶつかるために俺たちは
     せっせと歩いているんだ?」
慎二  「はあ? なんだ、本当にバカなんだなランサー。
     いいかい、魔術師ってのは面子が大事なんだ。身内がこんな派手な人喰らいを行っているのを
     魔術協会が黙ってはいないだろうし、下手すればお家取り潰しから粛正なんてこともある。
     ……ったく。あのトロい女は、人を不愉快にさせることだけは得意だな」
ランサー「ふん、そんな建前はどうでもいいんだが……まあいい。
     だがそろそろ覚悟を決めておけ。アレは際限なく人を喰らう魔に堕ちた。
     迷っている猶予はもうそこまでないだろうからな」


 さっきコンビニで買ったアルフォートをつまむ。

慎二  「……今日はいつになくシリアスだなあ。かっぱえびせんやるから少し静かにしてくれよ。」

 そして体を弛緩させ、寝転がった。
 今はこいつのいうことには付き合っていられない。
 こいつは人を煽動するのが上手いから、先日のようにノせられるのも億劫だ。
 変な夢でも見たのだろうか。
 まあ、それこそどうでもいいことだけど。

「いや、それは結構。
 訊きたい事だけ訊いたら帰るので、自己紹介はしなくていい」

 突然、そう呼び止められた。
 後ろを振り返ると、そこには見たことのない男が立っていた。
 紅いスーツに白いシャツ、という目に痛い服装に、高慢ちきな顔をした人物。
 せっかく一眠りしようと思ったのになんなんだこいつは……?

慎二  「何か用?話ならそこの黒い奴に聞いてくれない?うざいからあっちで」
??? 「フッ、そんな恐い目で睨まないでほしいな。妹君がそんなに心配かな?」

 にこり、という作り物のような微笑みをうかべて、男はそんなたわけた事を言った。

慎二  「おまえ………………なに?」
??? 「私の名はルシフェルという。言峰神父の使いをしている者だ。」



??? 「いま神父は席を外してしていてね、僭越ながら私が代わりに応対させてもらおう」
慎二  「お構いなく。愛すべき隣人は昼寝をご所望だよ」
??? 「愛は負けても、親切は勝つ、まあ、そう毛嫌いしないでくれたまえ。
     なにか訊きたいことがあってここに来たのではないかね?」

 イライラする。
 なんか変な奴が、ぶつぶつと喋ってるし。
 ああ、すごくイライラする。
 くそったれが。
 何が代わりに応対するだ。
 死ねばいいのに。

慎二  「んじゃー行方不明事件の首謀者どこにいるか教えて」
??? 「ふむ、申し訳ないがこちらも彼女の所在は把握し切れていない。
     冬木市内の遥か上空、ライダーの宝具と思われる船に乗って絶えず移動しているようなのだが」
慎二  「ったく、使えねーなー。なら現在の残りサーヴァントは?」
??? 「ライダーとアサシンが既に脱落し、残りは5人となっているようだ」

 それは良い新情報だ。
 アサシンが脱落したとなれば、もう寝首をかかれる心配もない。

慎二  「あっそ、用はそれだけだ。じゃー日が暮れるまで少し寝たいからあっち行ってくんない?」
??? 「そうしてあげたいのだが、ここは監督地なのでね。規則上マスターは保護と緊急招集以外ここへの滞在は
     できないのだ。」

 慎二は椅子に腰をおろし、険しい顔で天井を見ている。
 向かいには、ばつが悪そうな表情の使いの奴と、いつものふざけた面を見せているランサー。

慎二  「あーそうかよ、疲れているから少し休ませてほしいってだけなのに、
     教会の門ってのはずいぶんと狭いもんなんだな」
??? 「たしかに迷える子羊を無為に帰らせるのはこちらとしても心苦しい、
     なので代わりに私の問いに答えてくれまいかね?なに、時間はそう取りはしない
     教会への奉仕ということならば、対価として今日のところは目を瞑るとしよう」

 バカバカしい、なんで僕がそんなつまらないことに時間を割かなければいけないんだ。
 こっちはさっきから糞眠たいってのに
 訊くべきことは聞いたし、さっさとここを………………
 ………………
 ……………
 …………
 ………
 ……
 …
 まあ、いいか
 時間もとらないっていうし


慎二  「―――で?僕に聞きたいことって?」
??? 「そうだな………では二つだけ質問をしよう、本当はもっと色々語り合いたいことが
     あったのだが、私はお喋りでね。長くなってしまう」

 男はゆっくりと向かいに座って、一息入れてこう切り出した。

??? 「では、一つ目の質問だ。君たちは聖杯になにを望むのだ?」
慎二  「また、面倒な質問をぶつけてくるなー。」

 あーあ、と不満そうに声をあげて、慎二は椅子にもたれかかった。

慎二  「あーそうだ、ランサーから頼むよ、そういえばこないだ、おまえの願いをちゃんと聞けなかったからな」
ランサー「あれ?おまえにまだ話していなかったっけ俺?」
慎二  「話してないよ、前に酒盛りしたときにさ、裸のオッサンがリンボーダンスで盛り下がってた
     とき聞いてみたわけ。ネタの切り替えできるかなーとか思って」
ランサー「………あー酔っ払ったサコブラーんとこの奴が、俺らの制止を振り切って見事にどっちらけにした………」
慎二  「そーそー、でそれを聞いたおまえが、なにがツボに入ったのか大笑いした後
     そのリンボーしてるオッサンのとこ行ってさ、手を握り締めて………」

 あなたと合体したい………

 とかほざいて、見つめあってたじゃん」

ランサー「………………マジ?やべ、全然覚えてない、なんだよ止めろよなシンジ
     ―――あ、いえ、なんでもないっス。すみませんっした。」

 申し訳なさそうに声を潜めるランサー。
 それもそのはず。その後、男祭りじゃーとか言って非常にむさ苦しい男どもを
 召喚して、ぐちゃぐちゃな宴会になったのだ。
 その後、散々騒いだあげく、次飲みいくぞーと嫌がる僕を持ち上げて
 これがこの地の名物、”ミコシ”じゃーとかいって町内どんちゃん騒ぎしたのだ。
 余談だが、それ以降、冬木市内で、夜中にどっかの原住民がワカメみたいな少年をかつぐ、
 とかいう都市伝説が生まれたとかないとか。


ランサー「いや、悪い、忘れてくれ。ちょい戦場(いくさば)に臨む前にリラックスさせようと思って
     気を緩めすぎた。………あー、それで俺の願いだったか」

 腕を伸ばしながら、ぼんやりと胡坐をかき、どことなく力のない声で言った。
 まー要するにランサーもだらけてきたのだ。

ランサー「まあ、聞かすほど大した願いではないんだがな。
     俺の願いは人類に大地への敬意を思い起こさせることだ。」
慎二  「あー納得。自然破壊や環境汚染とかすごいもんねー。古代出身のおまえから見たら今の僕たちに対して
     憤るのも仕方ないかも。いや、だからといって僕にしょっちゅう殴るのは納得しかねるけど」
ランサー「別に人々の繁栄に文句はいうつもりはないぜ、文明(てつ)で武装するも良し、空を飛びたいやつは飛べばいい。
     だが今の人々はこの大いなる自然、母なる大地をあまりにも蔑ろにしすぎている。」

 文明の成長につれて彼らはあまりに広すぎる視界をもってしまった。
 既に世界はその地平を全て観測され、その気になれば世界の裏側だって簡単に行けてしまう。
 人々の意識は機器へのあくなき利便化を、貪欲なまでの経済成長によるインフラ整備を
 もっと、もっと欲しいと。人々の欲望はとどまることを知らない。

ランサー「現代は自分のことばかり考える人々が多すぎる。
     今を謳歌する人々は、蝕まれていく大地の悲鳴なぞ聞こうともしない。
     自分たちが特別であろうとしたツケは重い。総体の意識が危機的状況になるまで食い潰し
     他の生命と大地に与えるダメージは計り知れないだろう。
     ゆえに俺はこの文明社会に一石を投じるのさ。母なる大地への敬愛の心を根付かせる。
     それが俺の聖杯へ託す願いだ。」

 大地に尊敬と敬意を。際限なく資源を食い潰し、星を汚し続ける人類の愚行に歯止めをかける。
 既に増えすぎた人々では、ただ存在するだけでも星の消耗を食い止められない。
 しかし、意識改変により、その進行をいくらか緩和させることは可能であろう。
 それが彼の望み。
 大地と自然を愛し、人の業をも、また良しとした太古の王の答えであった。

慎二  「おまえにしては平和的な願いだね、てっきり、汚物は消毒じゃー
     とか言って大粛清とか、えげつないの願うと思ってたのに」
ランサー「人間が愚かで弱い生き物なのは仕方ないさ。だからこそ美しい側面もある。
     それに俺は過去の亡霊だ。今を生きる人々に徒に干渉するのはよくない」

 椅子に寝そべりながらあんぱんを頬張るランサーはめんどくさそうにそう話す。
 言ってることは立派なのに、色々と台無しである。

ランサー「なるほど。人を星を是とする世界の変革、随分と手緩い願いではあるが、それもまた君の在り方か。
     ふむ、では君の方はどうなのかね?」
 慎二 「―――え?あーそうだな、僕の願いは―――」

 瞬間、黒く染まった彼女の悲しげに俯く姿がちらつき

慎二  「ま、僕も似たようなものかな。」

 つい、反射的にあたり障りない答えを返した。

??? 「そうか、君たちは似たもの同士なのだね?
     いや、思想や性格のことをいってるのではない。もっと根本的なものだ。
     例えばいま。君たちが口にした”おざなり”な願いとかね。」

 ランサーは終わったら起こしてーと警戒を数羽の鳥に丸投げして居眠りをはじめ
 僕一人でこの男の相手をするハメになった。

??? 「では2つめの質問だ、間桐慎二君。
     君は現在、巷を騒がせている妹君をどうしたいのかね?
     放っておけば被害は増えるばかり、なまじ身内の兄としては見過ごす訳もあるまい。」

 知らず、一歩退いていた。
 男は作り物のような――いや、明らかに作り物の微笑みを浮かべる。
 なんて満足げで――自分に似た。
 ただでさえ不愉快な気分が、よけいに救いのない落とし穴になっていく。

慎二  「―――あ、それは―――」
ランサー「もちろんこちらで対処するさ。やっこさん、相当手酷く食い散らかしているからな。
     これ以上の所業は断じて許すわけにはいかない。
     責任をもって俺たちで問題を解決するさ」

 言いよどむ僕の言葉を遮るようにランサーは寝転びながら、強い意志をもって男に最後の返答をした。

??? 「ふむ、ではどう対処するというのかな、差し支えなければ教えてもらえないかね?」

 僕は彼の視線の重みを支えるのに難渋した。
 教会の中は重苦しい静寂に満たされており、意味もなくあたりを落ち着きなく視線がうつろう。

??? 「君の苦悩は当然だ。なにせ身内の凶行を自分の手で処断しようとしているのだから。
     しかし、それだけではないのだろう?
     私にはわかるんだ。何かこのごろ、君はいいようのない暗い闇の中に溺れているのだろう?。
     話してみたまえ、なに、仮にもいまは神の僕だ。けして口外はしない。」

 ………………
 ……………
 …………
 ………
 ……
 …

慎二  「まあ、怨んでるんだろうよ。
     あいつに嫌われているのは結局、僕の自業自得なんだし
     こんな悪行に染まってしまったのも僕たち間桐の家のせいなんだから。」

 話はそれから30分ほど続いた。
 家のこと。
 養子としてもらわれてきた妹のこと
 今までの僕の生い立ちのこと
 あまり要領よく話せたとは思えないが、男はなにも言わず
 黙って僕の話を聞き続けた。

慎二  「今、思うと、あいつの不幸な人生も、僕たちの不幸な心のせいかなとも思えてくる。
     僕らは生まれつき暗い心を持って生まれていた。
     だって僕の心は、のびのびした明るさを、ついぞ知らなかったように思えるから。」

 話し終わった言葉の末尾が、激端のような調子で切れていたので、ふと違和感を感じた。
 なんで僕は”こんな思ってもいないことを”ベラベラと話しているんだろう………?

??? 「なるほど、おおまかなところは理解できた。
     では、改めてもう一度聞こうか……。」

 自分は今までに語った内容を吟味しようとしたが、思考はいたるところで滞り
 思い出すのは容易ではなかった。
 その前後する会話の度におぼろげな空白がうかんできて、どうにもはっきりとしない。

??? 「君が聖杯に託す願いとはなんだね?」

 聖杯に託す願い……?
 そんなもの決まっている、僕は……
 あれ……?

 言いかけた僕はそのときはじめて
 今まで夢想もしなかった疑惑に気が付いた。

??? 「そうだ、それが君の本当の望みだ。
     私にはそうとしか思えない。
     初めはもっと漠然とした低俗な願いだったのだろうが、事態が進むにつれ
     心の奥底にひた隠しにした願いがくすぶってきたのだろう。
     でも君は認められない。
     なぜならそれは君という人間を根底から覆しかねないのだから」
慎二  「ふざけるな、そんな事あるものか……!
     だいたいな、僕自身あんな愚図のことなんかこれっぽっちも思ってない……!!」

 僕は怒りにどもりながら、男の答えを迫った。

慎二  「僕は質問に答えただけだよな」
??? 「そうだ。しかし別に私はなにもしていないよ」
慎二  「なんと答えた?」
??? 「妹君をどうしたいか、だよ」

 僕は黙った。
 感覚が僕をあざむいたことはないという自分の確信は仇になった。
 男はトドメを刺した。

??? 「どうしたね?
     それを話して人生観が変わったかね。
     計画(プラン)はみんな御破算かね」

 男が僕に語らせた企みの意味はわからない。
 でも僕の8年前からのトラウマは消えていなかった。
 妹の真実を知り、気が付けば自分はこのようにつらくアタるようになったが
 彼女に託していた思いは後継者ではないと知ったあの時に共に消えたと思われたのに
 この瞬間、却って別の現実性をもって蘇ってきた。
 僕は記憶の意味よりも、記憶の実質を信じるにいたった。
 もはやそれを信じなければ生そのものが崩壊するような状況で信じたのである。
 ……しかし男は立ち上がり僕を見下ろしながら
 今しがた彼の手があえてした心の殺戮に満ち足りていた。

??? 「どうだ。君の中で何かが壊れたろう。
     私は人が壊れやすいものを抱いて生きているのを見るに耐えない。
     私の親切は、ひたすらそれを壊すことだ。」

 背筋がひりつく。
 三日月のように口角をつり上げ
 男は悪魔のように笑っていた。

??? 「私は君に知らせたかったんだ。
     この世界を変貌させるものは認識だと。
     いいかね、他のものは何一つ世界を変えないのだ。
     認識だけが、世界を不変のまま、そのままの状態で、変貌させるんだ。」

 男は嘲笑する。

??? 「それがなんだと君は言うだろう。
     だがこの生を耐えるために、人間は認識という武器を持ったのだ。
     君も、そして君の妹君も、それを以って世界を変貌させてきたはずだ。」

 そう、間桐慎二が地下の修練場を目の当たりにして世界が裏返ったように
 そう、間桐桜が絶望の中の一筋の光(きぼう)を踏みにじられ世界を裏返したように

??? 「だが、それで以って耐え難さは少しも軽減されない。あるのは狂気と死、それだけだ。
     英雄や賢人、名だたる王たちは行為こそが世界を変貌させるのだというが、それは違う
     意識や考えを変化させることはできても、個々の認識、各々の認識が変わるのではないのだから。
     覚えておくといい。世界は変わらない。だが些細な事柄一つによって世界は簡単に変貌してしまうものだと。」

 男は呆然とする僕にそう告げると背を向け、奥へと歩を進める。
 ざわりと、悪寒。

慎二  「っあああああっ――!!」

 乱暴に、手を振り回した。視界にちらつくのはあいつの影

慎二  「あ、が……っ!!」

 力任せに振り回した腕を何度も膝に叩きつける。
 手の甲が切れ、血が滲むまで何度も、何度も。

慎二  「くそっ、くそっ、くそくそくそくそっ!!」

 目障りだと僕に折檻される■。
 何も言わずにただ黙って身を任せて犯される■。
 蟲蔵で夥しい数の蟲たちに貪られ肢体をよじる■。

慎二  「なんだよそれ、ふざけるなよっ!」

 苛立ちの声は、教会内に響くだけで、届かせたい相手の元へは届かない。
 いや、本当に聞かせるつもりなら目の前で言えばいいのだが。その勇気は、まだ慎二にはない。
 苛々する、その理由がハッキリと理解している。だから余計苛立つ。

ランサー「お……おいおい、なんだ、落ち着けよシンジ」

 突然の癇癪に驚いて目を丸くしたランサーは珍しく狼狽しながら
 なんとか落ち着かせようと慎二をなだめる。

慎二  「僕が……あいつを助けたい…………?」

 自分の気持ちが信じられなかった。
 そう、僕は

 今でも、あいつのことをずっと気にかけていたのだと。

 ずきずきと痛む拳を抱え、慎二は立ち上がった。
 混乱する頭で考えがぐるぐるとなにもまわらず、立ち上がったのをいい機会に、慎二は玄関へと足を向けた。

???  「そうだ、ひとつ言い忘れていた。」

 言われて。
 ピタリ、と足が止まった。

???  「今ここに、神父が客人を連れてくるらしい。
      君にも関係ある話だ、かけたまえ。」

 僕の前の扉がゆっくりと開いていく。
 そして言峰といっしょに中から姿を現したのは
 僕の姿を見て驚く衛宮と遠坂だった。