Fate/MINASABA 20th
「問おう、貴方が私のマスターか。」
謎の剣客に襲われた彼を助けた人物は月光を背にしてそう尋ねた。
白銀の全身甲冑に身を包んだ少年騎士。
かくして七人目のマスター、衛宮士郎と七騎目のサーヴァント、セイバーとの契約が結ばれ――――――今宵、聖杯戦争が幕を開けた。

「マスター、貴方の理想は夢物語に過ぎない。その様な理想では――――――誰一人として、救えない。」
「確かにそうかもしれない・・・。けれど、俺は爺さんと約束したんだ――――――『正義の味方』になるって。」
簒奪の騎士は主の理想を、その甘さを糾弾する。
しかし少年は揺るがない。全ては胸に宿る誓いの為に、理想の為に。

「おしゃべりはそこまで?それじゃランサー、やっちゃって!」
「と、いうわけだ。恨みはないんだけど――――――諦めてくれると、手間が省ける。」
無邪気な殺意を向ける銀髪の少女。
彼女に従う神造の英雄が夜を駆ける。

「衛宮のくせに僕にかなうとでも思ってるのか?そんな思い上がりは正してやらないとなぁ、ライダー?」
「ふふん。いいねぇ、昨日までの親友を叩きのめすっていう根性は俺好みだ。お前は中々スジがあるぜ、シンジ・・・。」
親友であるはずの、あったはずの人物。
彼は今、災厄の騎兵を従え衛宮士郎の前に立ちふさがる。

「ふん、こっちの陣地内なら勝算はある・・・!連中に吠え面かかせてやろうじゃない!!」
「応よ!私がただの弓兵でないということを、一つ凡俗に知らしめてやろうではないか!!」
赤服の宝石術師と海竜の衣の担い手。
二人は必勝の一手を持って戦略を巡らせる。

「キャスターは最弱のクラス?マスターが戦闘における弱点?カカカッ、笑わせてくれるわ。」
「行きましょう、キャスター。真っ向から捻じ伏せます。」
執行者の鉄拳、悪竜の咆哮。
常識外れのその力が夜を震わせる。

「くははははははははっ!!防御こそが最大の攻撃だっ!!私のバーサーカーに傷一つ付けられると思うなよっ!!」
「■■■■―――――――――――――――――――――!!!!」
魔術師が笑う、嗤う、哂う。
無双の防御を誇る狂戦士。彼を止められるものは果たして。

「今回の聖杯戦争は実に粒ぞろいだ――――――そうは思わんかね、アサシン。」
「ふん・・・・・・その粒ぞろいと存分に果たし合うことのできぬこの身が嘆かわしいがな。」
剣客を手元に、代行者が暗躍する。
彼の悲願が果たされる日は、近い。

「此度の聖杯戦争、どうやら我が本気を出すに相応しいものとなったようではないか―――。」
帰還する黄金の英雄王。
その双眸が底知れぬ愉悦に赤く染まる。

戦場と化す冬木の町。
七人の魔術師と七騎の英霊が火花を散らす。
宵闇を引き裂く死闘。
契約と裏切りの謀略。
激突する超絶の宝具。
目まぐるしく塗り替えられる戦局。

だが――――――、

――――――だが、突如出現した謎の『黒い影』の介入により事態は風雲急を告げる。
次々と影に飲まれ、脱落していくサーヴァント。
その怪異の首謀者は予想だにしない者だった。

「桜・・・、セイバー・・・・・・、一体どうして・・・っ!!」
「言ったはずだ『元』マスター。私は、私の理想の国を手に入れる。」
かつて衛宮士郎の日常の象徴だった少女と、彼とともに歩んできた騎士。
その二人が今、最悪の敵となって彼の前に立ちふさがる。

桜に隠された闇、セイバーの絶望に触れた士郎は膝を突きかける。
しかし、
「シロウが本当に正義の味方だって言うんなら――――――」
「僕の人生の結末は確かに惨めなものだったかもしれない。けれど――――――」
かつて彼の敵だったはずのホムンクルスの少女と彼女の泥人形のサーヴァントの言葉が、彼の背中を強く押した。
迷いを払い、拳を握り、少年は立ちあがる。

そして最後の戦場へと集う生き残りし魔術師と英霊たち。
黒い聖杯の膝元でそれぞれの決戦が幕を開ける。

「・・・・・・実に壮観だ。私の求道の答えが間もなく生まれ堕ちるだろう。」
「そして、あなたがそれを見届けることはない。」
執行者と代行者。
人の身で超常を捻じ伏せてきた二人の因縁がここに決着をみる。

「まったく、この我が汚物掃除とはな。貴様の頼みでなければ聞き耳すら持たん所であったわ、朋友よ。」
「そうかい?けど、なんだかんだ言ってちゃんと付きあってくれる、君のそんなところが僕は好きだよ。」
軽口を叩きあう二人の前に立つのは影に汚染されしかつてのサーヴァント達、そして滲みだす漆黒の呪詛の汚泥。
しかし、この二人にその様な障害はあまりに些事。
遥かな時を超え、神代の英雄達は今再び共に戦場に立つ。

「桜、あなたを――――――迎えに来た。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
赤く染まった空の下、凛と響く声がある。
声の主は今、もっとも救うべき、救われるべき少女に手を伸ばす。
たとえその先にどれほどの闇が待ち構えていようとも、その奥で震えている少女に一条の光が届くことを信じて。

「憧れただけであろうと、借りものであろうと、夢物語だろうと絵空事だろうと――――――それは、間違ってなんかいない。」
「そんな馬鹿な・・・その剣は・・・・・・っ!!」
少年がその手に持つのは、かつて誉れ高き騎士王が携えた選定の剣。
今は堕ちた黒騎士の心に今も焼き付く、貴い面影。

「それがたとえどんな結末に終わろうとも、あの日見た理想の美しさは――――――決して、間違いなんかじゃない!!」
譲れないその思いが、少年に強く剣を握らせる。
激突する簒奪の剣と選定の剣。
それは栄光の為でもなく、憤怒の為でもなく、断罪の為でもなく――――――救うための戦い。


主なキャスト
セイバー(モードレッド)&衛宮士郎
ランサー(エルキドゥ)&イリヤ
ライダー(アシュヴァッターマン)&慎二
アーチャー(ニムロド)&凜
キャスター(ファフニール)&パゼット
バーサーカー(大アイアス)&原作でメディアを召喚した人
アサシン(沖田総司)&言峰
前回から引き続き、ギルガメッシュ