「■■■■■■■■――!!」
「お主のその気迫っ! 全力で応えようぞバーサーカーッッ!!」
狂戦士に挑むセイバー。言葉はなくとも通じ合う漢と漢。


「弱った敵を叩くのは常道でしょう?」
「否。セイバーもバーサーカーもいずれ劣らぬ漢。拙者に下種な真似をさせたくば令呪にて命ずることでござる、マスター」
西と洋。生れ落ちた故郷は違えど通じ合う騎士とサムライ。それは武に生きる漢の一つの到達点。


「わたくしの紅ちゃんはそれはそれは利発でして……ほら、絵の中からでも気品が伝わってくるでございますでしょう?」
「は、はぁ……(帰りたいよぅ……)」
魔術師が拾ったのはらしからぬ暗殺者。まるで実の母子のように絆を深める。


「敵情はこの手に。行きますぞマスター。この『神亀金城(コーロア)』で全てを薙ぎ払ってくれましょうぞ」
出撃する戴神亀城。その姿は正に万の敵さえ畏れさせる不破の城。


「ちぃっ、横合いから殴りつけるとは、やってくれるなアーチャー……。
まぁよい。たかだか魔術師ごとき、この偉大なるファラオたる私が手を下すまでもない」
太陽のごとき王が去ったあとに残るのは、倒れ伏す一人の女と墓標がごとき千本の矢。

「ごほっ……まったく、運がありませんでしたわね……」
「キャスターさん……」
「泣き止みなさいな。せっかくの可愛い顔が台無しでございますわよ、わたくしの新しい娘。
貴女と出会えたことは最高の幸運でしたわ。ここで別れるのは無念ですが、凛とお生きなさい。それが愚かな母の唯一の願い。貴女はしあ……」
事切れる母。残された娘。偽りの家族といえどその別れは何処までも悲しく。


「やめて……やめてよバーサーカー」
「■■■■■■■■――!!」
全身を射抜かれた騎士が角笛を響かせる。魂を捧げて。届け、好敵手(とも)の元へ――


「ばっ、馬鹿なぁっ!! この『神亀金城(コーロア)』がこうも簡単にぃぃぃぃっ!!」
「貴様は漢の戦いに泥を塗った。覚悟してもらおう、アーチャーッッ!!」
オルランドゥの無念を乗せた拳が、今、不落の城を粉砕する。


「ああもうっ、うじうじしない、しゃんとするっ!!」
「ご、ごめんなさいごめんなさい」
「お、落ち着けって遠坂」
「かかぁ天下なれど、あれはあれでバランスが取れているでござるな、セイバー殿」
「全くもって」
「あなたたち本当に緊張感がないのね」
別れは新たな出会いのために。
母を失った少女が出会ったのは二人の偉大な父親
そして優しい兄と厳しい姉、少し意地悪な親友だった。


「はははははっっ!! この偉大なるファラオの真の力、貴様等がごとき匹夫に凌げるものではないわっ!」
二人の妹を庇って倒れる姉。それを守るため敵わぬと分かって不可能に挑む兄。

「動けるか、ランサー」
「何とか。左腕は使い物にならぬが……」
「俺は弟たちのためにもライダーを倒す。お主はどう思う」
「拙者と同じでござるな。――どうやら、ここが我らの最後の戦になろうな」
後悔はない。この短い戦争の間、姉弟たちに残せるものは残してきた。あとは、前へ突き進むのみ。

「セイバーのサーヴァント、ベイオウルフ」
「ランサーのサーヴァント、本多忠勝」
「「推して参るっっ!!」」
「受けようぞ貴様等の挑戦。ライダーのサーヴァント、偉大なるファラオたるラメサス二世がなぁっ!!」
咆哮する剣と槍。対峙するのは騎乗兵。ここに聖杯戦争最後の戦いの火蓋が切って落とされた。