つれづれ > ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドについて


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(2008/03/19)

  つれづれ/ルールはできる限り少なく、またシンプルなほうが良い で紹介したジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条」についてもう少し触れたいと思います。


 At Johnson & Johnson there is no mission statement that hangs on the wall. Instead, for more than 60 years, a simple, one-page document – Our Credo – has guided our actions in fulfilling our responsibilities to our customers, our employees, the community and our stockholders. Our worldwide Family of Companies shares this value system in 36 languages …

 訳:ジョンソン・エンド・ジョンソンでは壁に掲げられたミッションステートメント(使命を書いたもの、理念など)はありません。そのかわり、60年以上にわたって、非常にシンプルな1ページの文章「私たちの信条」が、お客様・従業員・コミュニティーそして株主に対しての責任を全うするための行動をガイドしてくれました。私たちの全世界の会社の従業員はこの価値の仕組みを共有し、36ヶ国語に・・・


 ジョンソン・エンド・ジョンソンのたゆまない歩みの礎となり、絶えず適切な方向へと導く源泉となってきたものが、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコア・バリューである「我が信条(Our Credo)」です。ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業理念・倫理規定として、世界に広がるグループ各社・社員一人ひとりに確実に受け継がれており、現在では36の言語に翻訳され、各国のファミリー企業において事業運営の中核となっています。

 なんかちょっと違いますよね?

 本社のホームページにある「壁に掲げられたようなミッションステートメントはない」という表現が日本のホームページでは抜け落ちています。

 日本では、壁に掲げられた企業理念はあるが、誰もそれを知らない、知っていても実際の活動とはなんら関係ないという会社が結構多いのです。米国でも同じなのかもしれません。
したがって、米国の本社のホームページの「我が信条」の冒頭にこのことばが付け加えられているのかもしれません。

 それを考えると、ひょっとして、日本ではこの「我が信条」が壁に掲げられていて、みんなの活動との関連性が低いのかもしれないと勘ぐってしまいました。関係者の方が見られていたら「そんなことはない」と反論をいただければ幸いです。



 ジョンソン・エンド・ジョンソンのホームページには歴史を紹介するコーナーがあって、主力商品である「タイレノール」のことにももちろん触れてあります。その中には以下のようにこの2回の事件についてもちゃんと触れてありました。


 In 1982 and again in 1986 TYLENOL®, a product of our McNeil Consumer Healthcare subsidiary, was altered by unknown individuals who placed deadly cyanide in the capsule form of the product. The result was the death of seven people in 1982. The product was voluntarily recalled and Johnson & Johnson took a $100 million charge against earnings. No one was ever convicted of the tampering and subsequent deaths. In 1986, as a result of the second tampering incident and another fatality, the decision was made to discontinue the sale of TYLENOL in capsule form, and subsequently the caplet form of TYLENOL was introduced. Johnson & Johnson received much praise for its quick and honest handling of the crisis. The company reintroduced TYLENOL in pioneering tamper-evident packaging, eventually regaining its leading share of the analgesic market.

 訳:1982年そして1986年にタイレノール(子会社のマクニール消費者ヘルスケアの商品)は何者かわからない個人によってシアン化合物を混入したカプセルに置き換えられた。1982年には7人が死亡している。ジョンソン・エンド・ジョンソンは1億ドルを使って自主的に商品を回収した。商品の中身を替えたこととその結果による死について誰も有罪と証明されることはなかった(訳注:犯人が見つからなかったのか、つかまったが有罪とする決定的な証拠がなかったのか。文章の意味からすると後者ですが)。1986年にもう一度中身のすり替え事件がおこったため、それまで使っていたカプセルの形での商品の販売は打ち切り、カプレット(訳注:たてに細長いラグビーのボールをさらに細くしたような形状の錠剤)のタイレノールを導入した。ジョンソン・エンド・ジョンソンはそのすばやく正直な対応に対し称賛された。そのあと、ジョンソン・エンド・ジョンソンは先進的な、開封した場合にわかるパッケージを導入し、鎮痛剤マーケットでリーダーとしてのシェアを回復した。


 自分たちとは関係のない第三者によって起こされた事件ではあるものの、それを可能にする環境を自分たちがつくり、それによって人が7人も死亡するという悲しい出来事が起こってしまったことに対してのできうる限りの対処をしたということだと思います。
悲しい出来事ですが、自分たちが信じる方法で対処したということを示し、お客様に対して最大限の責任を取るジョンソン・エンド・ジョンソンの生き方を明確にすることのほうが大事と考えているのでしょう。

 それが日本のページになるとこんな表現になります。
  歴史の28話目
(5段落目です)
 1982年と1986年に、全米を震撼させる『タイレノール』事件が発生。J&Jとマクニール社は重大な危機に直面した。 しかし、当時のJ&Jのバーク会長は、単なる危機管理として対応することに終わらず、「消費者への責任」を第一に考えた体制をとった。 これはJ&Jの企業理念である「我が信条」の第一の責任に立ち返った意思決定であった。

 J&Jのこの事件における対応は、一般消費者をはじめ政府・産業界からも、これまで以上に高く評価された。そして全社員が一丸となった再市場努力の結果、予想をはるかに超える速さで市場を回復していったことはいうまでもない。

以上、引用終わり

 会社が今までに行ってきたいいことだけを書くのではなく、悲しい事実もお客様に伝える。その覚悟があることがすばらしいと思います。
 これも日本のホームページと米国本社のホームページでは扱いが違っていますね。日本のページではその覚悟がなぜか伝わってこないように感じるのは私だけでしょうか?
 是非両方のリンクを見比べてみてください。扱いの違いが明確にわかります。



 さて、「我が信条」は以下の4つの項目からなっています。
1.我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。
2.我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対するものである。
3.我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。
4.我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。

 それぞれにもっと詳しい説明文がついており、非常にすばらしいものです。是非、ホームページを訪れて、全文を読んでいただきたいと思います。

 タイレノール事件を乗り越えさらに飛躍できる会社にしたのはこのクレドのおかげでしょう。

 1番目に、2番目に従業員、3番目にコミュニティー、そして株主を最後に持ってくるだけでなく、株主に対して「1~3を全うし、会社の将来性を担保した上ではじめて株主は正当な報酬を享受できる」と言い切っていることでタイレノール事件のときに支出した1億ドルの経費を出すことが可能だったのではないでしょうか。

 その4番目の株主に対する責任の文章の全文を紹介します。

我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。
事業は健全な利益を生まなければならない。
我々は新しい考えを試みなければならない。
研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。
新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。
逆境の時に備えて蓄積を行なわなければならない。
これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

 「会社は株主のもの」という論調を当たり前のように喧伝する人たちがいますが、株主の本来の姿はこのようでなければならないように思います。



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