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「さて、相変わらず分が悪いね。」
ケインは楽しそうに敵と味方を交互に見る。
相手はもうやる気と殺気満々で、特に双子からはその容姿に似合わず、鬼のような目で見られている。
一方味方はと言うと、
「あらん、子供なのに恐いわねぇ、そこの双子。大人になったらシワが増えちゃうわよっ」
「総長、そんなに茶化すと殺されちゃいマスよっ」
「そうだね、アハハ。」
「そうデスよ、ウフフ。」
何かやけに楽しそう。
ゼロは呆れたくなったが、今はそんな場合じゃない。
相手の狙いは自分で、しかも仲間が4人のうち2人も負傷している。
自分より強い、経験も豊富な2人が。
しかも、2人に比べれば、俺はIMとやらも使えないし、体力だって普通の中学生よりちょっとばかし高いだけ。
相手だって今までの化物っぽいものではなく、人間。
相手が違うだけで、ここまでに恐怖も違うのか。
不安や恐怖が、動脈を切り出てきた血の様に、沸いてくる。
恐い 怖い 恐い 恐い恐い恐い       恐い      怖い
怖い    恐い  恐い怖い      怖い     怖い       。
だが、逃げ出せない、逃げ出すわけには行かない。
自分の身は自分で守る、今までもそうだった。
負けるわけにもいかない、しかし殺したくも無い。
自分の気持ちに苛々する、腹が立つ。
「・・・・迷ってる暇は無いデスよ?」
シャオスに言われて、やっと我に返る。
「まっ、迷ってなんか・・・・」
「貴方は、人を相手にスルのは始めてなんデスね。」
シャオスに、ガクガクと震えている足を指差された。
ゼロは恥ずかしくて、慌てて震えを止めようとする。
「・・・・・・ま、人間を初めテ相手にする人ハ皆こんなもんデスよ。」
シャオスはその金属板が付いた手でゼロの頭をガシガシと撫でた。
ゼロは振り払いはしなかったが、恥ずかしそうに俯く。
「その内に慣れマスよ、最初から出来る人なんてそうそう居まセン。でも、努力をしないのもいけまセンね。」
ゼロは分かるような分からないようなで、質問しようとした。
しかし、それを妨害するかの様に敵が動き出し、金髪の少女を残し3人がゼロ達に向かって突っ込んでくる。
「来ますヨ、援護はするのでがんばって下サイ。」
シャオスはニッコリと、しかし真剣な顔で走り出した。
ゼロも慌てて追いかける。
相手はまず、それぞれに好きな攻撃をしてきた。
魔方陣が地面に描かれ、ナイフが飛び、空気が襲ってくる。
シャオスとケインは、難なくそれを避ける。
ゼロは、危なっかしいが一応防御はできていた。
「おい、少年には傷を付けるなよ。」
「分かってるー☆」
「大丈夫♪」
「相手は大総長と元戦闘隊長だ、手抜きしてると死ぬからな!」
敵も必死なようで、顔が強張っていた。
そして、こちらからも攻撃をかける。
と言っても、こちらには斬撃などの近距離での攻撃しかないため、相手に寸前まで近寄る必要があった。
ゼロは攻撃をかわしながらら、必死に相手に近づいていく。
「後ろがぁ☆」
「ガラ空きだよぉ♪」
気付くと、双子が背後に回っていた。
他の攻撃に気をとられ、全然気付かなかった。
「さてぇ、捕まえちゃう?」
「捕まえちゃう♪」
双子の手が容赦なくゼロの首根っこを掴む。
「・・・・うああああぁぁぁぁぁ!!!」
ゼロは咄嗟に背後の敵に刃を向けた。
ザク、とゆう音と共に、何か柔らかい物を刺した様な触感が手に広がる。
剣からは鮮血が、ゆっくりと滴り落ちてきた。
ゆっくりと振り返ると、双子の片方の肩に剣は刺さっていた。
「・・・・っぎゃあああああぁぁぁぁぁ!」
双子の片方は喚きながら後ろに倒れ、刺された方の肩を押さえる。
そして、動揺している双子のもう片方の子供を鞘で殴り飛ばした。
「はぁ・・・はぁ・・・ぜぇ・・・はぁ・・・。」
ゼロは息を切らして、吹っ飛んだ双子の方に振り返った。
「刺・・・・・した・・・・、俺が・・・・・?刺した?」
ゼロは真っ赤に染まった手を見て、ブツブツと呟きだす。
「・・・・チャンスだな。」
そう言うと、金髪の少女はゼロの方へと走り出した。
「させない!」
「デス!」
シャオスとケインは、ゼロの方へと走りだす。
しかし、黒い人の投げたナイフが、2人の進行を妨害した。
「俺・・・・が・・・」
ゼロは未だ正気には戻らず、ブツブツと呟いている。
金髪の少女は、ゼロに近づきつつある。
「ゼロ!起きろぉ!」
「クソッ!」
2人は少女には追いつけず、ただ必死に走っていた。
「・・・・もらった。」
金髪の少女が勝利を確信し、あと数十cmで掴めそうなぐらいまでに近づいていた。
しかし。
「?」
少女の目の前からは、ゼロは居なくなっていた。
数秒前まで、目の前に立っていた。
しかし、本当に居ない。
物理的にありえない事が、目の前で起こった。
「・・・・・驚いたか?」
ふと、遠くから声がする。
全員が、その方向へと向いた。
淡い青の髪の毛に、死んだ魚の様な目。
右目は、ケガでなのか包帯で完全に隠してあった。
背は少し高めで、180cm前後ぐらいはあった。
「・・・・黒金?!」
通信を終えて出てきたシロタカが叫ぶ。
「お前・・・・何でここに・・・・」
「・・・・・・・大総長殿。」
黒金はシロタカの質問を無視して、ケインに言った。
「済まないが、この子は貰い受ける。」
「許さないよ、ウチの隊員に何する気だ?」
「・・・・・後々分かる。」
黒金はそれだけ言うと、途中から気絶したゼロを抱えたまま一瞬で森の中へと去っていった。
「・・・・作戦失敗だな。」
「とりあえずは、撤退か。いくぞ、リアクト兄弟。」
「分かった♪立てる?」
「何とか・・・・。くっそ、絶対にゆるさねぇぞ、アイツ・・・・・・。」
そして、突如ヘリが高速道路の下から現れた。
敵はヘリに素早く乗っていく。
「まて!逃げる気か!」
「逃げるも何も、ここには目的の物が無い。」
と、一言だけ言ったのを合図に、ヘリは去っていった。
「ドウシマス、総長。車モ動きそうにありまセンし・・・・。」
「・・・・救援を待つしか無いな。取り合えず応急処置だ、シャオス。」
「・・・・ソウデスネ。」
シロタカは、黒金の去っていった方向を無言で見つめていた。


薄っすらと、まだ太陽が見えかけた頃だった。


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