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一人の旅人の女性が居た。
その女性は真っ黒なスーツに、真っ黒なコートを着ている。
顔はやや楽しげな顔をして、片目のメガネをかけていた。
腰にはパースエイダー(説明は必要無いから無し。)のホルダーを吊り下げ、そこに小さいマシンガンの様なパースエイダーが入っている。
その女性は今、ホテルの受付で宿泊費などを聞いていた。
「ちょっと高めねぇ・・・・、もっと安くならないの?」
「いや、八百屋じゃないんだから。」
「そっか、じゃあ他をあたるわ。」
と言って女性はそのホテルを出て行ってしまった。
「どうだった?ますたぁ。」
ホテルの手前に立ててあった三輪駆動車がますたぁと呼ばれた女性に問いかける。
「出てきたって事は?分かるでしょ。カナミ」
ますたぁがカナミと呼んだ三輪駆動車に言う。
「高かったんだ。」
「ご名答。」
そう言うとますたぁは、カナミに腰掛ける。
「どうするのさ、もうこの国のホテルはここだけなんでしょ?」
ますたぁは首を縦にふって答える。
「じゃあ国の中でまで野宿するの?」
「それはイヤねぇ。」
と言うとますたぁは、この国の城門で貰ったパンフレットを取り出す。
そのパンフレットの「宿屋・ホテル」と書いてあるページを開いてじっと見つめる。
「どこかないかしら・・・・。」
ペラペラとページを捲っていく。
「・・・あった。」
最後のページで、捲るのをやめた。
「大丈夫なの?その店は。」
「うん、宿代も他に比べて安いわ、ここにしましょ。」
と言うと、カナミのをかけてその宿屋のある方向へと走っていった。



「あれ、もしかして旅人さん?」
途中買出しをしていると、食品屋の店主に声をかけられる。
「そうだけど。」
ますたぁが答える。
「そうかい、じゃあ割り引きしとくよ。」
「え、いいの?オジサン。」
ますたぁは嬉しそうに買い物籠一杯の携帯食料やらナイフの研ぎ石やらをレジの前にぶちまけた。
子供の背丈ぐらいの山が、ますたぁと店長の前にできあがる。
店主はこりゃ凄いな、と一言だけ言ってから
「オジサンじゃなくてお兄さん、俺まだ25だよ。」
と言った。
「そうは見えないけど、」
「値下げしないとこっかな。」
「もう言わない、言わないわよ。うん。」
「そうかい、はい×××円。」
「え、割引してもこれだけ高いの?」
「ここは物価が高いんだ、旅人は皆「物が高い。」って言ってこの国を出て行くよ。」
「・・・・あ、そういえば。」
ますたぁはずっと前に会った目だけの鉄の仮面を付けた、青いコートを着た旅人の話を思い出した。


ある国の話だが、その国は他の国に比べて物価が高くてね。
その時は金欠だったからたまったもんじゃなかったよ。
旅人の困る所はやっぱりお金と食べ物だね。
それでも旅はやめないけど。
で、その国ではね・・・・・


その辺でますたぁの記憶は途切れてしまっていた。
思い出そうとするが、なかなか出てこない。
そうしている間に、大量の買い物をカナミへと積み込むのが終り
「重いよ、ますたぁ。」
と、カナミが言った。
それもお構いなしにますたぁはエンジンをかける。
「だから重いってば。」
「最大で積める荷物の重さは100kg、これはさっき店主に計ってもらったけど84kg。大丈夫よ。」
スマイル一発。
「あのね、三輪駆動車にも痛みとか疲労とかそうゆうのがあるの。」
「大丈夫、貴方は私の約1.5倍寝てるわ。」
「そうゆう問題じゃないでしょ。」
「それよりホテルの位置は・・・・。」
「人の話を聞いてよ、ますたぁ。」
呆れた口調でカナミが言う。
ますたぁはゆっくりとしたスピードで店の並ぶ道を走っていく。
すると、
「・・・・・あら?」
目の前に人の集まりが見えてきた。
「どうしたんだろうね。」
「さぁ?」
ますたぁ達は人込みの、一番外側の人に話をきいてみる事にした。
「ああ、今日来た旅人さんか。この人込みが何かって、知らないのかい?」
「そりゃ、今日来たばかりですから。」
「ここまで広いとね、情報収集は難しい。」
「そうかい、じゃあ今教えてあげるよ。この国ではね、殺しが耐えないんだよ。」
「殺し、ですか。」
「ああ、昔から変な仕来りがあってね。『年寄りは気に入らないヤツを殺してもよい、これは長年生きた者の特権である。』とか昔の指導者が言い出して、それからずぅっとそうさ。見てよ、この人の有り様。」
人が集まった中心にあったのは、誰かの死体だった。
周りには血の付いた鉄の棒や、棍棒やらが数本落ちている。
よく見ないと男だと分からないぐらい、傷が付いたりへこんだり打ち切られてたりしていた。
頭蓋骨は砕かれ、ぐしゃぐしゃになった脳味噌が流れ出ている。
そしてその周りに、血まみれの老人達が突っ立っていた。
「ふんっ、若いクセに年寄りをバカにするからじゃ。」
「そうじゃ、何が脳無しじゃ。」
「死んで当然じゃな。」
と言いながらその場から立ち去る老人達の道を開けながら、
「・・・・・・。」
ただ黙って見るしかない若者達。
それをますたぁとカナミは普通に見ていた。
「毎日一人は殺されるものだから、皆こうゆう惨い死体に慣れちゃってるんだ。」
「・・・・そうですか。」
「君も早く出た方が良い、この国では旅人も殺された事がある。」
「抵抗したら?」
「国家が生きて返さないよ。」
ますたぁはいつもと変わらぬ顔で、お礼を行ってその場を走り去った。
「・・・・思い出した、カナミ。」
「ん?何が?」
「昔会った旅人が言ってた事、やっと思い出したわ。」
「どうゆう?」
「”あの国で、私と一緒に国に入った旅人か殺されてね。仕返ししてやろうと思ったら、国民に止められた。話では『老人は気に入らないヤツを殺してよい、長年生きた特権だ。』とゆう仕来りがあるらしい。まったく、色んな国あるものだね。”」
「あー、何と無く思い出した。『セイバー』って人じゃなかった?」
「そう、そして強い剣士だったわね。」
「あ、ハッキリ思い出した。確か・・・・。」
「その先は言わないで。」
「嫌な思い出の一つ?」
「ええそうよ。」
「ならやめとく、スクラップになりたくないもん。」




宿屋へと着いたますたぁは、カナミを宿屋の前に止めてホテルに入った。
空いてる部屋は無いか、とオーナーらしき人に聞くと
「ああ、今日入った旅人さん?どうも、割引しとくよ。」
と言われた。
でもやっぱり料金は高めだった。
一緒に三輪駆動車も入れていいらしいので、寝かけてたカナミを叩き起こして宿屋の中へと入れる。
「ああ、お金がぁ・・・・。」
ますたぁは前より軽くなったサイフを持ってそう呟くのであった。
「大丈夫だよ、これだけ買い込んだんだから次の次の国までは持つさ。」
「私はズッシリしてた方がいいのよ。」
「はいはい。」
ますたぁは部屋につくと、とりあえずシャワーを浴びた。
頭を拭いて出てきたますたぁにカナミは
「とりあえずシャツとスパッツぐらい着て出てこようね。」
お構い無しに下着姿で出てきたますたぁに呆れながら言う。
「いいじゃない、誰も見て無いないんですもの。」
「まぁ、それもそうだね。」
キッチリとカーテンは閉めてあった。
ますたぁはやっと服を着て、ベッドに倒れこむ。
ボフンと一回はずんだ後、ふかふかのかけ布団に包まって
「ああ、ふかふかのベット。売ったら何円かしら?」
と言った。
「何回聞いただろ、そのセリフ。」
「そっくりそのままお返しするわ。」
「さて、僕も寝るとするよ。ちゃんと起こしてね。」
「分かってるわよ。」
二人は「おやすみ」と言い合った後、同時に寝た。




もう日が昇って大抵の人々が活動し始める頃。
ベッドからムクリと起き上がる旅人が居た。
おおきく欠伸をして、横に置いてある三輪駆動車をガコンと叩いた。
「朝だよ、カナミ。アンタまた昼過ぎまで寝るつもり?」
「・・・・ふぇ?」
三輪駆動車からスピーカ-を通して出した声が聞こえてきた。
旅人は起きたのを確認すると、ゆっくりとスーツに着替えて荷物を纏めてホテルを出て行く。
「・・・・今日も何だか騒がしいね。」
「老人がまた人を殺してるんでしょう。」
「そだね。」
そのままパンフレットに書いてある「城門:出口」の方向へと一人と一台は走っていった。


「あれ?昨日の旅人さんだね。もう出て行くのかい?まぁ普通か。」
「ええ、老人に殺されたくないし。」
「そうだよ。」
ますたぁとカナミは、出国の手続をしながらどうでも良い話を検査官としていた。
すると、いきなり周りに人影が現れた。
全員老人で、手には武器を持っている。
「アンタ、昨日入国した旅人じゃな?」
「そうだけど、」
「ワシらは入ってくる旅人を見つけては殺して楽しんでおるんじゃ、アンタにも死んでもらおうかの?」
「遠慮したいわね。」
周りを囲んだ老人全員が、目を血走らせて不気味に笑っている。
「ここでは老人に抵抗すると終身刑になるんじゃが、知っていたか?」
「国から出さない、っていうのは知っているわ。」
「なら、話は早いの・・・・・。死んでもらう。」
すると、老人達は全員一斉にますたぁに殴りかかろうとした。
「まったく。」
ますたぁは短く溜め息をつくと、手を素早く動かした。
次の瞬間、殴りかかっていた老人達の顔と腕が全て吹き飛んだ。
ますたぁには返り血が付着しただけで、手には煙を出した小さなパースエーイダーを持っていた。
「?」
老人達は一瞬分からなかった様で、硬直している。
「あら、服が汚れちゃったわ。まぁ、どうせ発水性だから水で洗えば取れるわね。」
暢気に服を見ながら呟くますたぁ。
横ではカナミが「ひゅー」とますたぁを冷やかしている。
「あ、あああ?アンタ、今殺したか?」
老人の一人がますたぁに質問する。
「まぁ、そうゆう事になるわね。」
「なら通報するしかあるまい。」
と、老人は何かスイッチの様な物を取り出した。
「何?それ。」
「まぁ、警報の様なもんじゃ。これを押すとスグに警察が来て、お前を逮捕する。」
「そうなの。カナミ、先に出ていて。荷物に血は付けたくないわ。」
「はーい。」
とカナミは言うと、開きかけてる門の外へとハイスピードで走っていった。
老人達はニヤニヤと笑いながら、
「おや、警察達と戦おうというのかの?その弾数の限られた銃だけで?アンタ馬鹿か?」
老人がハハハ、と笑おうとすると頭は吹き飛んだ。
「・・・・?」
周りで笑っていた老人達は一瞬で静かになった。



「な、何だ?!」
店を出そうとしていた若者達が、何秒も続く銃声に驚き振り向きます。
そこには纏まり無く武器を振り回す老人と銃を構える警察と、走りながら武器を持った元気の良い老人と元気の良い警察の頭をパースエイダーで吹っ飛ばす旅人が戦闘を繰り広げていました。
「すげぇ・・・・。」「勇気あんな。」「強いな、あの人。」
店を開きかけていた若者達は、口々に感想を言いました。
そして家から出てきた元気の良い老人達は、
「何事じゃ!」「旅人が抵抗しとる!」「こんのクソが!」
などと口々に言いながら武器を持って戦うのでした。
するとそれを見ていた一人の若者が、
「死ね!」
クロスボウを走る老人へと構えて撃ちました。
放たれた矢は真直ぐに老人の頭に突き刺さり、動きを止めました。
それを見ていた他の若者も、武器を持ち出し老人や警察を殺し始めます。
「ふふふ、始まったわね。」
老人と警察と若者が戦うのを観戦しながら、その間にも戦いながらますたぁは微笑するのでした。


半日が過ぎ、夜になった頃。


「あ、帰ってきた。真っ赤じゃん。」
「疲れたー。カナミ、ちゃんと川を探してくれた?」
「大丈夫、ちゃんと探してあるよ。で、国はどうなったの?」
「思ったより凄い事になってるわよ。」


怒号と悲鳴が国に鳴り響いていた。
どこかの祭りかと思うほど騒がしかった。
良く聞いてみると、老人の悲鳴などだとゆうことが分かる。
ますたぁはその悲鳴を間近で聞きながら、返り血で血まみれになったスーツを水道水で洗っていた。
ますたぁの目に映っていたものは、端から見れば地獄そのものだった。
若者と警察と老人が殺し合い、道は血で溢れ、死体がゴロゴロと転がっている。
まるで地獄絵図を3Dで見ているみたいだった。
そして老人と警察の勢力が弱まった頃、若者達は革命だのこの国を変えるだのと叫びながら政治の中心と思われる建物を占拠した。
勿論、政治家などは皆殺しである。

そして夕方。

怒号と悲鳴の代わりに、歓声が聞こえてきた。
それは城壁の向こう側まで聞こえるぐらいに多きかった。
事の発端となったますたぁは、若者から謝礼を貰って国の外へと出て行った。


「だから重いのよ、サイフ。」
嬉しそうに微笑しながら、川の水で洗っていたサイフをポンポンと叩く。
濡れない様に外に出していたお金を洗ったサイフに戻すと、妙に膨らんで丸に近い形になっていた。
「へぇ、じゃあますたぁとしては嬉しいんだ。」
「まぁね。はぁー、幸せ。」
「”何回聞いただろ、そのセリフ。”」
「”そっくりそのまま返すわ。”」
二人は少し間を置いた後、同時に笑い出した。
「でも、どうしてあの老人を殺したの?ますたぁ。」
「ああ、それね。聞いたのよ、このまえの旅人に。」


それでね、そこの老人達は旅人を襲っては金目の物を盗むんだ。
法律で守られてるから、誰も抵抗できない。

「なるほど。ますたぁはお金を取られたくなかったんだ。」
「ご名答、私のカワイイお金ちゃん達をそんな風に取られたら堪らないもの。」
「ますたぁらしいや。もうそろそろ出発する?」
「いえ、今日は暗いからここで野宿するわ。今日は疲れたもの。」
「さいですか。」
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