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「あら、お客さん?こんな夕方から早いわね。」
女性は愛想の良い笑顔で言った。
キールは懐から何かを取り出して、女性に見せる。
「あら・・・・・、どうぞ中へ。」
女性は店のドアを開けて、キール達を店の中へと案内した。



「さて、それで総長さんが何の用なの?」
このバーの店主と見られる女性は、カウンターの後ろにお酒を何本か棚に並べていた。
どれも高級そうなお酒ばかりである。
「ちょっと聞きたい事があるんです、元副長。」
「あら、そうなの・・・・?あ、そっちの少年はお酒はダメよ。あとイケメンのお兄さんも、車を運転するでしょう?」
シロタカはそう注意されると露骨にがっかりした。
「さて、まずは自己紹介からね。そこの少年、初めて会うでしょう?私は「ますたぁ」、本名でも偽名でもないわ。」
ちょっと愉しそうな笑顔でますたぁと名乗ったその女性は自己紹介をした。
「どうゆうこと?」
「そのうち分かるわよ・・・うふふ。少年の名前は?」
そう聞かれてゼロが自己紹介を済ませると、やっと本題に入った。
「昨日、貴方は指名手配中の少女と戦った様ですね。」
「ええ、そうよ。私は昨日少女と戦った・・・・聞きたいのは何?」
「少女はどの方向へ逃げましたか?」
「分からないわね・・・・。あの子、爆発と同時に吹っ飛んで逃げたらしいの。爆風で発生したホコリで前は見えなかったわね。」
「そうですか・・・・、せめて能力の種類とかを。」
「空気よ、空気を操る。しかもかなり強力ね・・・・うふふ。」
女性は愉しそうに微笑している。
「・・・・空気、ですか。」
「ええ、そうよ。爆発も酸素を何等かの力で圧縮して、それに火をつけたのよ。まったく、頭の良い子だったわ。」
「あー、なるほど。確かにそれなら空気の能力でも爆発は起こせますね。」
シロタカも納得した様子。
「さて・・・総長さん。話が終わったなら早く帰った方が良いわよ。」
「?」
「あの少女の行動パターンだと、もうそろそ・・・・・」
ますたぁが言いかけると、外で耳を劈く様な爆発音が聞こえた。
全員が急いで外に出ると、そこにはあの少女が「浮いていた」。
「・・・・・・?」
ゼロは錯乱、なにがなんだか分からなくなってきた。
よく見ると、風を使って浮いている。
「貴方ですか、今回の事件の犯人は。」
少女は無言で掌を胸の前で構える。
「・・・・答える気は無さそうですね。」
ゼロ以外、全員が戦闘態勢に入った。
ゼロは日本刀を生成するものの、
「貴方は下がっていてください、貴方がまともに戦える相手じゃありません!」
と言われ下げられてしまった。
ますたぁも武器は持っていないが、戦うらしく戦闘体制に入っている。
そしてシロタカも。
「お前等に用は無い、早くその小僧を渡せ。」
「そうはいきません、施設に入った以上は総長として守る義務があります。」
「僕も、総長と同意権だ。」
シロタカは氷で大きな手を形成していた。
「・・・致し方あるまい、全員死んでもらう。昨日戦ったその女と共にな!」
少女は手から何発もの空気の弾を発射した。
それが地面に当たると、小さな丸い穴が開いた。
「ふぇー、当たりたくないな。」
シロタカは穴を見ながら少女に何本もの氷柱の様な物を発射する。
それと一緒にキールも高圧力で水を発射、氷柱と氷の嵐が少女に襲い掛かる。
しかし少女は
「ふん、そんな攻撃通用せんぞ。」
手を振っただけでそれを四方に散らせた。
四方に散った水と氷はそれはそれは綺麗だった。
「分が悪いな、こりゃ。」
「相手は遠距離攻撃が通用して、自分達は近距離だけですか・・・・。」
「うふふ、愉しそうな事になってるじゃない。」
後ろから見物していたますたぁ。
「アンタも戦闘に参加してくれない?」
相手の空気の弾丸を避けながらシロタカはますたぁに向かって叫ぶ。
キールは無言で戦闘中。
「嫌よ、だって攻略法が見つかっちゃったんだもの。面白くないわ。」
「じゃあ攻略法教えてよ!」
「この状況で?うふふ。」
「ああもう!」
シロタカは近くに行こうとするものの、すぐに空気の弾丸で押し戻される。
キールは水よりははじかれ難い実弾で対抗、しかし掠りもしない。
「さて、もうそろそろ終りにするか。」
ボソリと、低い重い声で呟いた。
キールとシロタカは壁を作る準備をする。
水を壁状に張らせ、それを一気に凍らせる。とゆう方法で壁を作った。
この方が、普通の壁を作るよりははるかに早い。
「無駄だ、下郎どもが。」
すると少女は「武器を生成しはじめた」。
「・・・・っ!!」
「ヤバイ!!」
キールとシロタカがそれに気付いたときにはもう遅かった。
少女の武器の生成が終わる。
その武器は、重い銃器のような武器だった。
とても少女が扱えるような大きさではない。
しかし少女はそれを片手で軽々と持っている。
そして標的は、キールとシロタカ。
「・・・・食らえ!」
少女は引き金を引いた。
その瞬間、幾つもの空気の弾が銃器のような武器より発射される。
さっきより遙かに威力、圧縮度は高い。
キール達も急いで壁を厚くするが、すぐに粉砕された。
綺麗な細かい破片となって、壁は崩れ去った。
そして空気の弾がキール達を襲う。
「・・・・ふふ、甘いわね。」
キール達の後ろから声がしたかと思うと、いきなり目の前に壁が生成された。
その壁に当たった空気の弾丸は、呆気なく弾き返されたり消滅したりしている。
「・・・あら、案外脆いのねぇ。その空気。」
「アンタ、面白くないから戦闘に参加しないんじゃ・・・。」
「今はそんな事言ってられないでしょ?うふふ。」
「・・・・・。」
その壁を生成した本人、ますたぁが愉しそうにクスクス笑う。
「・・・またお前か。」
少女は不愉快な顔をしてますたぁを睨む。
ますたぁは微笑んで「昨日はどうも。」と挨拶をした。
「さぁ、貴方も捕まってくれないかしら?後ろには『大きいの』がまだいるんでしょう?」
少女はびくりと震えた後、すぐに攻撃を再開した。
「あら。怒りっぽいのね、うふふ。」
ますたぁは「手から物体を出した」。
そしてその物体は手の形を生成し、少女に襲い掛かる。
少女も空気の弾丸で対抗するが、ますたぁにはまったく通じない。
全て手の形をした物体に跳ね除けられる。
「あら、それだけなの?つまらないわねぇ・・・・・。」
ますたぁは欠伸をしながら物体を操作していた。
それを見て少女は激怒し、弾丸の数も威力も増やす。
「この下郎がぁぁ!」
「きゃっ。ちょっと、怖いじゃない。」
怖いと言いながらもますたぁはクスクス笑っている。
少女はもう顔を真っ赤にして「この!」とか「くそが!」とか言いながら弾丸をぶっ放しまくっている。
それをひらひらと避けたり、壁で防いだりするますたぁ。
まるで遊んでいるようだった。


「ハァッ・・・ハッ・・・クソが・・・ゼェ・・・・。」
少女は一様風で浮いてはいるものの、かなり疲れきっている。
しかしますたぁは
「もう終り?」
全然元気、ホコリも何も付いていない。
その一部始終を見ていたキールは、しばし唖然としていた。
強い、果てしなく強い。
これが、今のますたぁを見たキールの感想。
そしてゼロも、
「・・・・・・。」
口をぽっかり開けて驚いていた。
確かにこのますたぁと言う人は強い。
「貴方はその歳にしては確かに強いわね。」
ますたぁが沈黙の中、ポツリと呟く。
「でも、やっぱりダメ。まだ若いわね、うふふ。」
ますたぁはクスクスと微笑する。
少女は悔しそうな顔で空気を集めるものの、途中で圧縮が止まってしまう。
「ダメよ、もうスタミナ切れでしょ。」
ますたぁは近寄り始めた。
少女は来るなとばかりに体に力を入れるが、力が入らないらしく生まれたての馬みたくガクガクしている。
「IMは使いすぎると身体へのダメージが強くなるのよ、ダメージの大きさは人それぞれだけど。」
ますたぁは少女の目の前で座り込んで少女を見つめる。
少女はぎょっとした顔でますたぁを見た後、手をぶんぶん振った。
しかしそれも虚しく、ますたぁに掴まれてしまう。
「さぁ、貴方達の目的を教えて。」
ますたぁの真剣な顔。
ゼロ達は初めて見たので、少し驚いた。
少女はもうガクガク振るえて怖がっている。
今にも泣き出しそうである。
その時。
「・・・・っ!?」
ますたぁと少女の間にナイフが飛んできた。
そのナイフはますたぁの手を目掛けて飛んでくる。
しかしますたぁの手に当たった瞬間
「カキンッ」
弾き返されてしまった。
「あら、誰?ナイフなんて投げたの。」
ますたぁは辺りを見回すが、誰も見当たらない。
するとまた、
「カキィンッ」
ナイフが飛んできてますたぁに当たった。
しかしまた跳ね返される。
「・・・・そこね。」
ますたぁは少女の後ろ目掛けて物体を飛ばした。
物体が打つかって粉塵を上げると、その中から黒い物が飛び出してきた。
その黒い物は、よく見ると真っ黒な服を着た人間だった。
その人間は着地した後、信じられない速さで少女に向かって走ってきた。
「そうはさせな・・・・。」
ますたぁが言ってる間に、少女は居なくなっていた。
「?」
ますたぁはちょっとびっくり。
「この子は返してもらう、お前等に渡すと大変だからな。」
ますたぁの店の屋根の上から声がした。
真っ黒な人間が、少女を抱いて屋根の上に乗っていた。
「素早いわねぇ。」
ますたぁは驚いてるというより、愉しそう。
少女は黒い人間に抱きつく格好で抱かれている。
「・・・すまない、助けに来るのが遅くて。」
少女は顔をふるふると振って答える。
「まて!何で俺を狙うんだ!」
ゼロがいきなり大声を出して、皆がびっくりした。
黒い人間はちょっと間を取った後、
「お前には関係ない。」
と、短く言って去っていってしまった。

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