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「はーい、おまちどーさま」
銀矢に4人分のカレーを持たせ、私は自分の分だけを持って、居間のテーブルへ。
「うーん、良い匂いですねー」
レイキが目を閉じて、くんくんと鼻をならす。


「はい、スプーン、それと福神漬けー」
あれとこれと、と出しながら皆の前に並べてやる。


「わぁ…、美味しそう♪」
「ですねー…(じゅる」
「レイキはそこでよだれを垂らすなっ」
「うぇっ!?た、垂らしてませんっ!!」
和気藹々と、和むような会話。

その隣でマロンがカレーを見て呟いた。
「でも、本当、美味しそうですね♪
いいなぁ、恵理さん……私も、こんな風にできたら……」

「ふふっ、美味しい物を作るには、まず美味しい物を食べる!」
「おーっ!」
「そして理解する!そうすれば、必ず出来るようになるわっ!」
「わー……(きらきら)」


どうやら尊敬の眼差しで見つめられてるらしい。
でも、私だって、大樹の所に来た頃は、割と同じようなものだったのだ。
カレーすらまともに作れず、おにぎりを作れば、三角にならず、丸い爆弾のような物体が出来るのみ。
「でもね、マロンちゃん」
「はいっ」
そのことを告げてみる。
「…実は私も、2年くらい前までは、まともに料理できなかったんだよ?」
「えっ……そうなんですか?」
「うん。

…まー、何て言うのかな。
大樹の所に来てから・・・ 傍に居たかったし、役に立ちたかったから、ね。」

手を後ろで組みながらそう答えると、彼女はおとなしくなってしまった。

「だから、練習すればきっとマロンちゃんも、料理上手くなれるよ?」


       *    *    *


「さ、お喋りはこれくらいにして、食べようかっ」
「そうそう。全く、いつになったら食べられるのかと思ったぜ」
隣で銀矢が笑いながら。
「早くしないと、レイキさんが腹ぺこで倒れそうだぞ?w」
「うきゅ~~…・・・・・」
彼の隣で、レイキがテーブルに突っ伏して目を回していた。
「うわー?!

じゃ、じゃあ、食べよっかっ」


『『『『いただきまーす!』』』』
皆で声を揃えて食事の挨拶。


それと同時に、またワイワイとお喋りが再開された。
でも今度はさっきと違って―――

「美味しい――っ!!」
「んー・・・カレーライス…おいしい…♪」
「おう、やっぱ恵理の料理はうめーなっ」
三者三様の言葉。ちなみに今聞こえてきたのは、いただきますを言い終えて
真っ先に一口食べたマロンちゃん、ゆっくりと口に入れて咀嚼し味わうレイキ、
そして味を判断するのが得意な銀矢…という順。


「ふむ…」
一口二口食べ終えたのだろうか。マロンの隣でブランが、呟く。

「ねぇブラン…ほんっと恵理さんって、料理上手いよねっ♪」
「とても美味しい… 恵理殿の、溢れんばかりの愛が伝わってくるようだな。」

「えっ! …あ、あははっ、ありがとうございますーっ!!」

突然の褒め言葉に思わず舞い上がりそうになる。


「…だが、これは本当に、私達が食べてもよかったのかな?」
ブランが疑問符付きで台詞を続けた。
「え……? なんで?」
「こんなに美味しいカレーなのだ…… 本来は、大樹殿と一緒に食べられるはずだったのでは?」

「…ぅ」
言葉に詰まる。
…ここでごまかしても、きっと、マロンちゃんに、
オロオロ顔で申し訳なさそうにされてしまうだろう。
だったら、言ってしまった方がいい。

「えぇ、まぁ……そうですよ。本当なら、今、大樹と一緒に食べてるはず…なんだけど、ね。
――でも。大樹が、『皆で食べればきっと美味しいし楽しいよ』って銀矢に伝えてくれたから。

だから、来る途中に会った二人を連れてきたんでしょ、レイキ?」
食べてる最中のレイキに振る。

「あふぇ(あれ)…もぐもぐ…ばるぇもぁふぃた?(バレました?)」
「…飲み込んでから喋りなさい?」
少しして、ごっくん、と飲み込んでからレイキは。

「ふふ、でも…やっぱり、その通りになりましたよね。」
「へ?」

微笑みながら言うレイキの言葉に、思わず皆の顔を見ると。


「うーん、美味しかったぁ♪ 恵理さん、おかわりしてもいいですか?」
「こら、マロン……もう少し遠慮しなさい…」
「いいじゃない、恵理さんもさっき言ってたでしょ、
『美味しい物を作るには、まず美味しい物を食べる』って!」
「おーい、恵理も食べろって。喋ってばっかりで、さっきから全然減ってないぜ?」
「そういう銀矢様は…もう半分もないじゃないですか。食べるの早いですね。」
「と言うわけで、恵理ー、オレもおかわりー」
「えぇっ!? まだ食べられるんですかー!? …男の方って、ほんとよく食べますね」

―――皆が笑顔。


「あ…」
「――ね♪」
戸惑う私に、レイキはにっこりと微笑んで。

「ほらほら、折角一生懸命作られたんですから、恵理も早く食べましょうっ?」
「食べる前に、オレのおかわりの分よろしく!」
「もうっ、銀矢様っ!?」