手袋が恋しい、季節になったなぁと思った。
上着の袖口に手を寄せて息を吐いたら、白い霧が生まれた。
「寒い?恵理」
「ん、大丈夫…」
答えている側から手を握られて、
「ひゃぁっ」
その冷たさに思わず声を上げる。
「帰る家は同じなんだから、別にいいじゃないか。」
そう言って笑う大樹の頬が若干赤く、それを見た私はつられて笑い出す。
冬の空気は、冷たくて。
夜空を見上げれば星がちらちらと…だけど、はっきり見えていて。
「首、痛めるぞ」
言葉と共に、くいと首を元に戻される。
「…えへへ」
最終更新:2007年09月03日 21:59