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  ―――ふと、思い出した。 「あぁ、そういえば…」 机の上に、ずっっと置きっぱなしにしていた招待状。 ――そういえば、結局お祭り案内のお姉さんとうにゅう族の方が私の所に来て。 …見に、行ったっけ。 あの時……――― 沢山の人と紙吹雪が舞う中で、 「溢れ出る記憶は―――」 大御所の名前が飛び交うのに混じって、 「暖かくて、ちょっと切ない詩を詠む貴女が――」 確かに、 「この一票とこの一枚を――」 私の名前が、 「素直で素直じゃないあなたが大好きです――」 あった。 只のお祭りの癖に、何故こんなにも、私の心を 「恋されたい――」 打つの。 「それはお祭りだからよ」 振り向くと、そこには私を此処へ連れてきた張本人(達)…カルナお姉さんとヴァールさんが居た。 「例えどんな祭りでも、その興奮と賑わいは人の心にくるものがあるはずや」 「ね、あなたは――  どう?」 「どう…… って、べ、別に…」 よくわからない。 けれど胸の奥から沸き上がる、この気持ちは確かに… 「感動、した?」 「~~~~っ」 途端に顔が熱くなる。 こ、こんなつもりじゃ……っ 「ふふ、せっかくだから何枚か拾ってきたわ」 「何をや」 「彼女への投票用紙」 「何やってん・・・」 ヴァールさんの花が少し垂れる。 「なになに・・・ 『更新がないのが残念』、『頭なでて邪魔をするのが楽しい』、『悩みに悩んで』・・・・ 愛されてるじゃない、あなた」 「わ、・・・・・わぅ うーー……別に、未だに時々資料は届くし、邪魔されるのはすきじゃないです…。 …悩んでくれたのは、その、…嬉しいですけれど」 「うふふ」 そう言って、カルナお姉さんは私の顔を覗き込む。 ――紅い瞳はまるでルビーの様だ。 けれど、その目は私を迷わせ、戸惑わせる。 「…どうして」 「んー?」 「どうして、私なんかに、投票するんでしょう? 私なんかより、きっと、他の人の方がすごいのに…。 ――ほぬえさんは有名だし、はうすさん達は可愛いし、ルゥさん達だってとっても魅力的です。 それなのに、私を選んでくれるのは… 何故? …何で?」 言葉を紡ぐうちに目からあふれ出す何か。 「ねぇ、お姉さん……何で、かな?」 カルナお姉さんは、ほんの少し、目を丸くして硬直した。 だけど、すぐにニコリと微笑んで… 私の頭を撫でた。 「それは、皆きっと、貴方の詩(うた)が聞きたいからよ」 ―――等身大の女の子の詩がね、と付け加えてから、私の涙を拭った。 「お祭りなんてな、勝負は二の次や 楽しんだもの勝ちなんや  …覚えとき」 隣でヴァールさんが更に付け加えた。 「そういうことよ、コヨーテさん――」 その時になって初めて、カルナお姉さんは私の名前を呼んだんだ… ――――ぱたん。 あの試合の日、会場であったことを思い出しながら、招待状を引き出しにしまった。 投票用紙に書かれていた言葉は全て読んだ。 今なら多分、素直に「嬉しい」と思えるけれど、きっと、「ありがとう」なんて面と向かって言えないから。 だからとりあえず、いつもあの人が来る方向に居直って呟いてみた。 「――邪魔しない程度に、これからもよろしくね?」 -------------------
  ―――ふと、思い出した。 「あぁ、そういえば…」 机の上に、ずっっと置きっぱなしにしていた招待状。 ――そういえば、結局お祭り案内のお姉さんとうにゅう族の方が私の所に来て。 …見に、行ったっけ。 あの時……――― 沢山の人と紙吹雪が舞う中で、 「溢れ出る記憶は―――」 大御所の名前が飛び交うのに混じって、 「暖かくて、ちょっと切ない詩を詠む貴女が――」 確かに、 「この一票とこの一枚を――」 私の名前が、 「素直で素直じゃないあなたが大好きです――」 あった。 只のお祭りの癖に、何故こんなにも、私の心を 「恋されたい――」 打つの。 「それはお祭りだからよ」 振り向くと、そこには私を此処へ連れてきた張本人(達)…カルナお姉さんとヴァールさんが居た。 「例えどんな祭りでも、その興奮と賑わいは人の心にくるものがあるはずや」 「ね、あなたは――  どう?」 「どう…… って、べ、別に…」 よくわからない。 けれど胸の奥から沸き上がる、この気持ちは確かに… 「感動、した?」 「~~~~っ」 途端に顔が熱くなる。 こ、こんなつもりじゃ……っ 「ふふ、せっかくだから何枚か拾ってきたわ」 「何をや」 「彼女への投票用紙」 「何やってん・・・」 ヴァールさんの花が少し垂れる。 「なになに・・・ 『更新がないのが残念』、『頭なでて邪魔をするのが楽しい』、『悩みに悩んで』・・・・ 愛されてるじゃない、あなた」 「わ、・・・・・わぅ うーー……別に、未だに時々資料は届くし、邪魔されるのはすきじゃないです…。 …悩んでくれたのは、その、…嬉しいですけれど」 「うふふ」 そう言って、カルナお姉さんは私の顔を覗き込む。 ――紅い瞳はまるでルビーの様だ。 けれど、その目は私を迷わせ、戸惑わせる。 「…どうして」 「んー?」 「どうして、私なんかに、投票するんでしょう? 私なんかより、きっと、他の人の方がすごいのに…。 ――ほぬえさんは有名だし、はうすさん達は可愛いし、ルゥさん達だってとっても魅力的です。 それなのに、私を選んでくれるのは… 何故? …何で?」 言葉を紡ぐうちに目からあふれ出す何か。 「ねぇ、お姉さん……何で、かな?」 カルナお姉さんは、ほんの少し、目を丸くして硬直した。 だけど、すぐにニコリと微笑んで… 私の頭を撫でた。 「それは、皆きっと、貴方の詩(うた)が聞きたいからよ」 ―――等身大の女の子の詩がね、と付け加えてから、私の涙を拭った。 「お祭りなんてな、勝負は二の次や。楽しんだもの勝ちなんや  …覚えとき」 隣でヴァールさんが更に付け加えた。 「そういうことよ、コヨーテさん――」 その時になって初めて、カルナお姉さんは私の名前を呼んだんだ… ――――ぱたん。 あの試合の日、会場であったことを思い出しながら、招待状を引き出しにしまった。 投票用紙に書かれていた言葉は全て読んだ。 今なら多分、素直に「嬉しい」と思えるけれど、きっと、「ありがとう」なんて面と向かって言えないから。 だからとりあえず、いつもあの人が来る方向に居直って呟いてみた。 「――邪魔しない程度に、これからもよろしくね?」     -------------------

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