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      さぁさぁと。 降っているのか、降っていないのかわからない程の雨。 しとしと、と言うには静か過ぎる。 只、この部屋には私以外に誰も居なかったので、それだけ静かに感じたのだと思う。 何もすることがない時間。…窓から、ぼおっと眺めるしかなくて。 「…なんで、こんな時に限って雨だなんて」 一言、そう口にして、 ふと、姉さんが亡くなった次の日が雨だったことを思い出した。  ――…空を見上げ続けて、頬に水滴が落ちたのを、やっと確認できる程度。 詰まるところ、それは小雨だったのだけれど。 その時の雨は、自分が知っている雨の日の記憶の…何よりも強く印象に残っているのだ。 段々強くなっていく小雨の、水が、自分自身の頬をつい、と伝うのを。 ―― 一瞬だけ、涙と勘違いした。 最後に泣いたのは、多分その時だった、だろうと思う。 「姉さん…」 あの日、雨の中で空を見上げていた自分を思い出す。 私は、ちゃんと生きているだろうか? 今、姉さんが私に望んでいた生き方が出来ているだろうか? …暫し考えて、すぐに投げ出した。 姉さんはそんな難しいことを言わない人だ、私に望むものなんて、単純なものだろう。 そう、きっと…最期に笑ったあの時に告げたあの一言だけが―――。          

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