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トラ★トラ-3-」(2007/05/20 (日) 00:04:12) の最新版変更点

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<p><font size="2"><span><font size="3"><br />第三章 止まらない想いに幻を見る日。</font> <p>&nbsp;</p> </span> <p><br />「うわっ、ちょっ・・・ちょっと!恵理~、待ってよ~!」<br />「もうっ、銀矢、おっそーい!置いてっちゃうよ~?」<br />あはは。町中を歩きながら、私達は互いに笑いあう。<br />ここで知ったが何かの縁なので、午後は銀矢に街案内をすることにしたのだ。</p> </font></p> <p><font size="2">しばらく喋り歩きながら、やがて私達はオシャレ目な入り口にたどり着いた。<br />「ここ、喫茶店なんだ!・・・ちょっと小腹もすいたし、寄ってくー?」<br />「そーだな。オレも何か食べてぇー!」<br />そんな訳で、私達は喫茶店に入った。</font></p> <p><font size="2">『カランカラーン』<br />店に入ると、奥から、待っていたかのようにウエイトレスが出迎えた。<br />「いらっしゃいませぇ~・・・あら、恵理さん。いつもご利用有り難う御座います。<br />いつもの席、空いてますよ~・・・あら、今日は友達と一緒で御座いますか?」<br />「うん、まぁ、そんなところ。んじゃいつもの席でお願い。」<br />「はいわかりましたー。少々お待ち下さい」<br />ウエイトレスと話をしつつ、私と銀矢は奥の方の席に着いた。<br />「ねぇ恵理」<br />「ん?何?」<br />「恵理ってここの常連なの?いやに親しそうだったじゃん?」<br />「うん、そーよ?皆いい人達だよー。私ここ気に入ってるんだ♪ それに・・・」<br />「それに?」<br />「ここの紅茶、すっごく美味しいの!私紅茶苦手なんだけど、ここのは飲めるの」<br />「へぇ~・・・」<br />どうでもいい内容の会話に花を咲かせていると、さっきのウエイトレスがやってきた。<br />「ご注文はどうなさいますか?」<br />「んっと。そーだなー・・・銀矢、紅茶飲んでみる?」<br />「うん。恵理にお任せするよ。」<br />「それじゃー、紅茶二つと、いつものを一つお願いします」<br />「はい、かしこまりました!少々お待ち下さいませ・・・」<br />そう言ってウエイトレスは厨房の方に消えていった。<br />注文も済んだので、とりあえず私は銀矢とのおしゃべりに没頭する事にした。<br />「ねぇ、銀矢って何処から来た~?」<br />「オレ?オレはね・・・福島県!恵理は?」<br />「私は東京よ!にしても銀矢ってさ・・・」<br />「オレが・・・何?」<br />「カワイイよね」<br />「『カワイイ』ぃ!?」<br />そう言うと銀矢は腹を抱えて笑い出した。<br />「うん、カワイイ(はぁと)でもって・・・銀矢も高校生だよねぇ?友達、多かった?」<br />「んー、多くなかったな・・・ビンボーだから、『友達になるな』って周りから言われてたみてーだし・・・。」<br />「それで・・・バイトしてたの?」<br />「あぁ。自転車とバイク売ってたんだ。」<br />「へぇ・・・だから自転車直せたんだぁ・・・」<br />「あれくらい簡単さ。また壊れたら、オレに見せてみなよ。直したるから!」<br />「本当!?ありがとー!☆」<br />そうやって、会話に再び花が咲いた頃。<br />「お待たせいたしましたー。ご注文の品はこちらで宜しいですよね?」<br />ウエイトレスさんが来た。・・・さっきとは別の人だったけど。<br />そして、話しかけられる。<br />「何かラブラブっぽくて楽しそうですね♪」<br />「えっ、やだぁーん、もー。お世辞ばっかり(笑)別に、彼氏って訳じゃないですよー」<br />「あら、そうでしたか。うふふ、じゃ、失礼しましたー」<br />ウエイトレスが奥へ戻るのを見届けると。私は紅茶を一つ、銀矢の方に押しやった。<br />「はい」<br />「あぁ、ありがと」</font></p> <p><font size="2">ふわっ、と、仄かな、紅茶の甘い香りが、私達の鼻孔をくすぐる。<br />銀矢がそれを、一口飲むと。<br />「・・・うわっ。これ、本当に紅茶?」<br />「そだよ?」<br />「すっごく、美味い。何かカンドー!」<br />「よかったね☆」<br />少し、笑って。</font></p> <p><font size="2">「そうそう」<br />「ん・・・?」<br />「私ね、メル友のとこに住まわせてもらってるんだけどね。<br />メル友が、銀矢のコト『見てみたい』って言ってた」<br />「へぇ・・・メル友って、男?」<br />「そうだよ☆」<br />自分の事じゃないのに、コリーの事を聞かれたのが何だかくすぐったくって・・・<br />ちょっと、微笑んだ。<br />「恵理ってば、あーやしぃー!」<br />「何でよ~!」<br />「仮にも恵理は女の子っしょー?ほら、あんな事やこんな事とか」<br />「んもぉ!やっぱしその事に突っ込むんかっ!」</font></p> <p><font size="2">*   *   *</font></p> <p><font size="2">恵理のメル友が男だと判った瞬間、胸の奥が痛くなった。<br />・・・彼女という人間を、もっと知りたい。そんな衝動に駆られた。<br />(嫌われてもいい、もっと、知りたい。)<br />そんな思いが、オレの心を支配していく。<br />「ねぇ、恵理はさ、多分・・・だよね?その人の事、スキなんだよね?」<br />「え・・・うん。そだよ。」<br />オレの問いかけに答えた後、彼女は赤面して、うつむいてしまった。<br />「気が付いたらさ・・・好きになってたんだ。バカだよね、私、その時彼氏いたのに。」<br />「ええっ!?彼氏がいたのにどうしてメル友を選んだの?!遠くに住む人より、近くにいる人の方がいいだろ!?」<br />「うん、確かにそうなんだけどね。でも、私。彼氏の事、そんなに好きじゃなかったんだ。<br />・・・相手に失礼だけどね。」<br />そう言うと、苦々しく笑うと、彼女は急に真面目な顔になり、そして言った。<br />「でもさ銀矢、私、思うんだよね。人を好きになるキッカケって、何でもいいんだなって。<br />ポイントは、自分が誰を好きになったコトに『気づく』、ってコトじゃないかな。」<br />「好きになるコトに・・・気づく?」<br />意味が分からなくて、思わずオレはオウム返しに口にした。<br />「そう。仮にAさん、Bさん、C君がいたとするでしょ?AさんはC君が、C君はBさんが、BさんはC君が好きだとする。だけどBさんは、自分がC君を『好きだ』って思ってることに気づけない。こんな関係、銀矢ならどう思う?」<br />「うわ、それ微妙。つーか、スゲーじれったいし!」<br />「ね!ねっ!? C君、ちょっと可哀相でしょ?!」<br />「そだなー、『気づいてやれよ!』、みたいな!」<br />「要は、自分を理解出来てればいいのよ。そしてその想いを武器に、相手へ一直線!」<br />「なるほど!」</font></p> <p><font size="2">・・・。<br />・・・・・納得してどーする自分。、話が本題からズレてるだろ。<br />話を戻そうと、オレは思い切って恵理に問いかけた。<br />「で、他に理由は、あったりしたの?」<br />「・・・あったよ。アイツが・・・私の事、必要としてくれなかったから・・・。」<br />「・・・え?」<br />そこから。何かが切れたみたいに、彼女の口は止まらなくなった。<br />運ばれてきたパフェにも手を付けず、彼女の言葉は続いた。</font></p> <p><font size="2">「私ね、『もう私、貴方の彼女だから、必要とか、そんな時、私を呼んでね』って言ったことがあるんだ。そしたら彼、何て言ったと思う?<br />彼、『そんな、同情みたいな優しさはいらない』・・・って。ヒドイよね。呆れちゃった。<br />好きだから私に告白したんでしょう?カレカノになったんでしょう?『同情みたいな優しさ』って何さ?私はそんなつもりで言ったんじゃないのに。一気に気持ちが冷めたよ。</font></p> <p><font size="2">その後も、色々あって・・・結局、別れちゃったんだ。なのにアイツ泣いてんの!<br />『ごめん、もう一回やり直そう』って・・・!もう、大嫌い!」<br />ダンッ。<br />気が付くと、恵理がテーブルを思い切り叩いてしまっていた。<br />それとは、数秒後に。<br />・・・ピチャン、と音がして、テーブルに水滴がはねた。<br />「恵理・・・」<br />「何?まさか、泣いてる、とか言うんじゃないでしょうね?私、泣いてないからね・・・」<br />感情の読みとれない視線を向けられて、恵理が訳の分からない言葉を言う。<br />ピチャン。また、滴が落ちて、はねた。<br />「じゃあ恵理。聞くけど・・・その目から流れてるのは、何かな?」<br />「違うっ!・・・違うもん、これは・・・これは・・・ぁっ!」<br />店には未だ誰も入って来ず、店内の席にはオレと恵理しかいない。そのせいもあるのか、彼女の声がそこら中に響き渡っている。<br />オレは、ポケットからハンカチを取り出すと、それで恵理の涙を拭ってやった。<br />「ごめん・・・ありがと、銀矢・・・。」<br />言いながら泣いてるから、彼女のメガネがぐしょぐしょに濡れてしまっている。<br />「メガネ、濡れてるよ?拭いたら?」<br />「あ、ホントだ」<br />言うなり彼女はメガネを取ると、テーブルの横に置かれていた紙でメガネを拭き始めた。<br />メガネの下の素顔はとても愛らしかった。それを見た、目の前に座るオレの心臓の鼓動が<br />まるで、飛び出すんじゃないかという位に、早まっていく。<br />・・・え?オレはまさか恵理にホの字(死語)なのか?<br />ええっ!?でも、そんな・・・うわぁ・・・まさかぁぁぁ!?うわぁぁ(赤面)</font></p> <p><font size="2">「どしたの銀矢?頭でも痛いの?」<br />その一言でオレは我に返った。いつのまにか頭抱えて、へたり込んでた。何てバカなオレ。</font></p> <p><font size="2">しばらくして、恵理がパフェを食べ終えたので、喫茶店を後にし、オレ達は<br />彼女のメル友が通う大学へ向かった。</font></p> <p><font size="2">歩きながらのおしゃべりは、楽しい。<br />「へー、恵理のメル友ってあの大学行ってるんだ。」<br />「そうなの!・・・ん。そーいや、私、もう一人メル友いたなー・・・福岡に住んでて、26歳なの。」<br />「マジかよ!しかもオレと同じ福岡か。」<br />「そうだねー」<br />「まて、そういえばオレにも、もう一人いたなー、メル友。」<br />そんなカンジで『メル友』の話をしていたら、いつのまにか大学の入り口門に着いた。</font></p> <p><font size="2">「あ、いたぁ!」<br />「おーい!」<br />恵理が声を発したのと同時に、相手らしき人の声が聞こえた。<br />目を凝らすと、確かに見えた。その人は、手を振って走ってきた。<br />「おー、かちゅ!迎えに来てくれたのか?何か嬉しいな」<br />その言葉に、オレははっとした。<br />さっき言った、もう一人のメル友の呼び名と同じだったからだ。<br />偶然かもしれない、でも、可能性は・・・。</font></p> <p><font size="2">「えへへ。コリー、ほら。この人だよー。同胞(笑)」<br />「おぅ。君が大沢銀矢君かい?初めまして、俺は月島大樹といいます。よろし!」<br />そう言うと、男性は軽く会釈した。オレもあわてて頭を下げる。<br />そして、おそるおそる聞いてみた。<br />「あの。『かちゅ』、って恵理のコト・・・ですか?」<br />すると不思議そうな顔で。<br />「そうなんだけど・・・どうかしたか?かちゅのこと、知ってるのか?」<br />構わず、今度は恵理に問いただした。<br />「ねぇ恵理、そのもう一人のメル友って、もしかして呼び名、『シルバ』、だったりする?」<br />・・・予想通りの言葉が返ってきた。<br />「ええっ!?何であたしのメル友のなま・・・―――まさか。銀矢・・・!シルバ!?」<br />やはり、大当たりだったらしい―――。<br />「そういえばここ最近メールが途絶えてたけど・・・本当に?」<br />「あぁ。何だったら、オレの携帯の履歴、見る?ちなみに26歳って、多分オレの入力ミスだと思う・・・。」</font></p> <p><font size="2">一瞬、3人共黙り込んで。<br />・・・ふいに。</font></p> <p><font size="2">「・・・ふふっ、あはははははっ」<br />笑い出す恵理。ついに3人共笑い出してしまった。<br />「まさか銀矢だったなんてね・・・!世間って狭いやっ!」<br /><br /><br /><br />第三章 END<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /></font></p>

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