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トラ★トラ-1-」(2007/01/29 (月) 22:44:39) の最新版変更点

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<p><font size="1">第一章 「大沢銀矢」<br> <br> <br> 「どうせ母さんなんて、本当の母さんじゃないんだ・・・キライだっ、何もかもっ!父さんもっ!全部!」<br> そう言って、数分後、俺は家を飛び出したんだ。<br> 全財産と、必要な物を持って。<br> ・・・「家出」というヤツである。</font></p> <p><font size= "1">母さんは水商売人のモテモテ野郎で、父さんは生まれながらのギャンブラー。<br> そして両方共、飲んだくれ。<br> 今まで何とか耐えてきたけど・・・もう、こんな生活はいやだっ!<br> そう思ったら、躯が勝手に行動を始めていた。</font></p> <p><font size= "1">さて・・・考えもせずに出てきたけど、どこへ行こう?<br> 財布の中身を確かめる。・・・お金は沢山入っていた。<br> そういえば、いつか家出してやろうと思って、密かに貯めていたんだっけ。<br> まさか、本当にこんな日が来るなんて思ってなかったな。</font></p> <p><font size= "1">・・・そうだ。あの人の所へ行こう!</font></p> <p><font size= "1">「あの人」とは、俺のメル友の事である。しかも、ケータイで知り合った。</font></p> <p><font size= "1">「あの人」、つまり「彼女」は新潟に住んでいる。<br> 何故「彼女」と言ったのかは、他でもなく、「彼女」が「ヒメ」と名乗っていたからである。<br> 「ヒメ」とは、ここ二、三年前に知り合った子だ。しかも突然。<br> 突然、というのにもちゃんとした訳がある。<br> ・・・俺の、メールアドレスの打ち間違いだ。何て情けないミス。</font></p> <p><font size= "1">相手からメールが返ってきたものだから、更に焦った。<br> もちろん、自分から謝罪のメールも出した。<br> そして返ってきたメールには、こう書いてあった訳だ。</font></p> <p><font size= "1">『もし、よければメル友になりませんか?』</font></p> <p><font size= "1">幸い、俺も「ヒメ」もパソコンを持っている。<br> 俺も興味本位で、オッケーの返事を出し。そしてパソコンでのメールのやりとりがスタートした訳である。<br> ・・・ちなみに言うと、俺の偽名・・・じゃなかった、HNは「シルバ」。<br> 名前の・・・「銀」から取ってみた。少し、気に入ってる。</font></p> <p><br> <font size= "1">あ、そうそう、すっかり自己紹介を忘れていたよ。<br> 俺の名前は大沢銀矢。<br> ・・・周りからは、「シル坊」って、呼ばれて子供扱いされてる。<br> まぁ、俺の名前を直訳すると「銀=英読みでシルバー」「矢=英読みでボウ」だからな。<br> 略して「シル坊」。何だそりゃ。<br> そして・・・趣味はケータイをいじくり回すこと。<br> ・・・笑うなそこ、ほっとけ。</font></p> <p><br> <font size="1">さて、話を戻そう。<br> 一年以上もメールし合っていれば、相手のコトもだんだん見えてくる。<br> 早い話が、年賀状を書き合おうと言うことで、住所の教え合いをしたんだ。<br> そして。俺は、「ヒメ」が新潟に住んでいることを知った・・・。</font></p> <p><font size= "1">さぁ。俺はこれからどうなるんだろうか・・・。<br> 妙な期待を胸に抱きつつ、<br> 俺は新潟行きの新幹線に乗り込んだ・・・。</font></p> <p><font size= "1">   *   *   *   *   * </font></p> <p><font size= "1">すっかり、日が暮れてしまった。もう、夜の九時だよ。<br> ふぅ。以外と新幹線代もバカにならないので、<br> とりあえず俺は急いで降りると、彼女の家への道を急いだ・・・。</font></p> <p><font size= "1">黙々と歩きつつ、地図とメモを見つめる俺。<br> 「住所では・・・この辺・・・だよなぁ・・・」<br> きょろきょろとあたりを見渡しつつ歩いていく。<br> 「あ、この角を曲がって・・・」<br> そう呟いた瞬間。<br> いきなり自転車が飛び出してきた!<br> 「キャァ!」「うおぉっ!?」</font></p> <p><font size= "1">どがっしゃ~んっ。見事に接触、ていうか、激突。<br> 「痛~~~・・・」<br> 「いっててて・・・」<br> 俺の手からひらっ、とメモが滑り落ちる。<br> 俺に自転車ごと激突した女性は、急いで身を起こすと<br> 「ごめんなさい、つい急いでいて―――――」<br> 彼女の目がメモに留まる。</font></p> <p><font size= "1">「―――!? これ、うちの住所じゃない!・・・ちょっと、貴方、一体何なの?」</font></p> <p><font size="1">いきなり早口で迫られる。<br> 「いっ、いや別におれ別に怪しいモンじゃないっスよ、それに」<br> そこまで言いかけると。</font></p> <p><font size= "1">「じゃあ一体誰なのよ!大体ねぇ、『何なの?』って聞いてるのに『怪しいモンじゃない』って<br> 答えるなんて怪しさ大爆発よっ!・・・あ、まさか私を襲いに・・・?!いやぁー!交番行かなきゃぁー!」<br> 女性の方はもう既に自転車に乗ってしまっている。<br> 早く誤解を解かないと俺がストーカー扱いされてしまう!それだけはカンベンしてくれっ!<br> 焦りに焦った俺は、つい言ってしまった。</font></p> <p><font size= "1">「待って下さいよっ!俺はシルバですっ、ストーカーでも何でもねぇぇぇぇぇーっ!」<br> しまった。『うちの住所』なんて言ってるから、つい勢いで口走ってしまった・・・。</font></p> <p><font size="1">ぴた。彼女の動きが止まる。<br> そして彼女は、錆び付いて全く動かなくなったロボットの様にぎぎぎぃっ、と首をゆっくりとこちらに向けると。<br> 「あ・・・貴方・・・今、何て」<br> こ、この反応は・・・もしかして・・・(汗)<br> 「『俺はシルバだ』、って言いました。はい。」<br> とりあえず、丁寧にお辞儀をする。<br> 「そう、なんだ・・・」<br> かちゃんっ。彼女は自転車から降りると、深々と頭を下げながら言った。<br> 「ごめんなさい・・・勘違いして・・・私が『ヒメ』です・・・。」</font></p> <p><font size="1">端から見れば、何とも滑稽な感じだろう。<br> ・・・街灯が、ちかちかと音を立ててちらついた。</font></p> <p><font size= "1">     *   *   *   *   *</font></p> <p><font size="1">からんからん。・・・かちゃん。<br> 「おまたせ。」<br> 彼女はTシャツにジーンズ、というかなりラフな格好で部屋に現れた。<br> おそらく、これが彼女の普段着なのだろう。<br> しっかし、女にしては、随分とサッパリした部屋だなぁ・・・。</font></p> <p><font size= "1">――――ちなみに今、俺は彼女の部屋にいる。<br> 礼をしたあの後、俺は、彼女の家に二人で向かいながら、彼女に全てを話したのだが、<br> 断られることなくあっさりと、俺が居候することを許してくれたのである。<br> ・・・ヒメってば、自分が女だってわかってんのかなぁ?(笑)<br> ・・・それとも、俺を男扱いしてないのかなぁ?(笑)<br> どちらにせよ、自分のあの忌まわしい家に帰らずに済んだのはよかった。<br> ・・・そうだな・・・もう、家に帰ることはないだろうから、この携帯も捨ててしまおうか?</font></p> <p><font size="1">そんな事をおぼろげに考えていると。<br> 「・・・で、何て呼べばいい?」<br> 「へっ?何が?」<br> 彼女は俺を指さして、<br> 「だからぁ。今晩から一緒に住むんだから、シルバのことなんて呼べばいい?、って。」<br> そんなこと、考えてなかった。どうしようか。<br> 「ん、どっちでも良いよ。その時の気分によって変える、とか。」<br> 「わかった。じゃーそーさせてもらうわ、シルバ。」<br> 「はいはいー」<br> 「それじゃあ、私のことは本名で呼んでよ!<br> 『本宮美亜』だから・・・美亜。『みあ』って呼んでね!」<br> 「えーそれ『みや』って発音しそうだよ。それに、女を本名で呼ぶなんて、何か恥ずかしいよ。」<br> 「ちょっと何それー!キャハハ!」<br> 笑われた。、・・・何でだよ。(涙。)<br> 「男がそれくらいのコトで恥ずかしがってどーすんのよー!(笑)<br> 仕方ないわね、『みや』でいいわよ、『みや』で。」<br> 「あー・・・うん・・・。」</font></p> <p><font size= "1">美亜って、ちょっぴりギャル入ってるなー・・・しかも微妙に気が強いし・・・、<br> 俺、シリに敷かれそう・・・。</font></p> <p><font size="1">「んー何か言ったー?」<br> ぎくり。<br> 「あっ、いやっ、別に何でもないよーぉっ。あっははは。」<br> 慌てて誤魔化す俺。セーフ。<br> 「ならいいけど。・・・シルバー、こっちこっち」<br> 手招きされて、慌てて、された方に行くと。<br> 美亜が何かの部屋のドアを開けるところだった。<br> 「そーいう訳でー、ここがシルバの部屋になるからー。ここで寝るよーにね!」<br> 「あ、わかったー。ありがとー。」<br> そして、俺に背を向けると。<br> 「んじゃ。あたしも寝るわ。おやすみー☆」<br> バタン、と音を立てて美亜は隣の部屋に入っていった。<br> 「さて、と―――」<br> ガチャッ<br> 「あっそーそーシルバー?」<br> 「うおぉっ!?何だぁ・・・ビックリしたぁ・・・。何?」<br> 「えっとね、その部屋、ベットあるんだけど、いくら自分の部屋になるからって、<br> ヤバいモンはベットの下に置くなよー?怪しいビデオとか本とか」<br> 「誰が置くか!!!!」</font></p> <p><font size="1">あははははははは。<br> 互いに笑い合って。</font></p> <p><font size="1">「んじゃ、今度こそおやすみー」<br> バタン。</font></p> <p><font size= "1">早速部屋に入ってみる。そして中をぐるっと見渡した。<br> ・・・部屋は、割とこじんまりしていてキレイだった。<br> ビデオデッキ付きのテレビ、ラジオ、小さなテーブルとイス、そしてベット。</font></p> <p><font size= "1">・・・まるで、以前この部屋に誰かが寝泊まりしていたかの様に―――――。</font></p> <p><font size="1">「ふあぁぁぁぁ・・・。」<br> 大きな欠伸が口から出た。<br> 疲れていたので、着替えもせずに俺はそのままベットにダイブした。<br> 「・・・おやすみ、なさい。」</font></p> <p><font size="1">深夜、十二時。<br> (『メル友』、という関係からいきなり『同棲?』という怪しい関係になってしまった・・・―――)<br> そんな事を考えつつ、俺は眠りについた。</font></p> <p><font size="1">第一章 END</font><br></p>

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