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Idea

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Dogma/Idea


――世界は常に対極だ。だが両極ではない。どれだけ光り輝く世界にも悲しみに嘆く者がおり、どれだけ惨憺とした世界でも温かく微笑む者がいる

現実、幻想――日常と怪奇は常に寄り添っている。

――この意味が分かるかい?

どれだけ平凡な人生にさえも、幻想は侵食する。

――私達が生きているこの世界というのは、いつまでもどっちつかずだ

世界の境界線はどこまでも脆弱であり、曖昧だ。

――だから現実に幻想は熔け込み、幻想に現実は足を踏み入れてしまう

彼の者はただ、一つの例外を認めることもなく、知らない歌を口ずさむように怪奇を切り裂く。

其れは現実と幻想の熔け合う刹那の物語――




Synopsis

葉月火熾名義では一作目。
構想自体は比較的初期の頃から存在していましたが、公開したのはこれが初めてとなります。
プロットを作った時点での葉月火熾が中学二年生だったため、内容は中二病が暴走しまくった無知にして無恥な作品。しかしながら、若干手を加えただけで、全体の構想は変えていません。
ある意味、それはこの作品に愛着があるからです。少しばかり恥ずかしいという気持ちはありますが、かつての自分が書いたキャラクターがそれ以上に愛おしく、改竄することを躊躇われました。こんな私を許して下さい。
とは言っても、書いているのは現在の葉月火熾。あの頃の自分では思いつけなかった手法で、この物語を表現していこうと思っております。

この物語は徹頭徹尾ファンタジーです。
どんなに日常があろうと、それはいずれ来る怪奇のための前置きでしかありません。この物語は、どこまでもフィクションで、現実には程遠いもの。日常の描写がどんなにリアルだったとしても、それは覆せない摂理です。
それでも、その両者は欠かせない。
現実とは幻想があるからこその現実であり、
幻想とは現実があるからこその幻想です。
もし我々の世界が今の私にとっての怪奇に満ちていたのなら、それは日常と化してしまう。
得てして、現実とは飽和であり、幻想とは刺激です。
生涯を寄り添う現実に飽きた人間だからこそ、束の間フィクションの世界の幻想に浸ることによって快楽する。
いつだって経験のない体験は精神を刺激するもの。
だからこそ、この作品では、飽和の現実と刺激の幻想を損なわずに描写したいと考えています。
何の起伏もないありふれた現実も、見飽きたやりとりも、省くことなく描写していき、その退屈さにリアルを感じてほしい。その上で、侵食する怪奇の刺激を味わっていただきたい。
対比する二つの物語が絡み合う螺旋を、どうぞお楽しみください。



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石田智章
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