「トウガラシと豆腐を食べると毛が生える!?」聞いてビックリだが、しっかりと科学的根拠のある話だ。
 トウガラシの辛み成分カプサイシン、そして大豆に含まれる成分イソフラボン。2つを同時に摂取することで毛髪の成長が促進されると、名古屋市立大・岡嶋研二教授、原田直明助手らの研究から判明した。

 まず、臨床試験の結果を紹介しよう。薄毛や脱毛に悩む男女に、毎日6ミリグラムのカプサイシンおよび75ミリグラムのイソフラボンを5カ月間にわたって投与。すると、薄毛に対しては84%、全頭脱毛でさえ38%という高率の改善が見られた。黒々とした毛髪が再生し、見た目に明らかな変化が現れた人も多かった。有効な治療法が少ない円形脱毛症が顕著に改善し、ヘアピースが不要になった人もいるという。
 では、その育毛効果のメカニズムとは? 鍵となるのが、毛乳頭細胞で作られる「IGF‐1」(インスリン様成長因子)という物質。髪の元になる毛母細胞の成長を促したり、毛髪の成長期間を延長したりする物質だ。
 この「IGF‐1」が正常に働くためには、頭皮の知覚神経から放出されるCCRP(カルトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が必要。カプサイシンは知覚神経を刺激して、CCRPの放出を活性化させる。一方、イソフラボンは知覚神経内にCCRPをどんどん作り出させる。この相互作用によって、育毛の直接部隊である「IGF‐1」が活発に毛根で働き、育毛効果を生み出すというわけだ。試験では、イソフラボンとカプサイシンの摂取によって、「IGF‐1」の血中濃度が上昇していたことも確認された。
 「体の内部から発毛や育毛に作用するため、原因や性別を問わず、さまざまなタイプの薄毛、脱毛に効果が期待できる。実際に、男性壮年期に見られる男性型脱毛、更年期の影響による女性の脱毛、ストレスやウイルス性の脱毛症のいずれにも改善効果が見られた」と岡嶋教授は語る。
 なお、試験ではサプリメントが用いられたが、一日に一味トウガラシを茶さじ2杯、豆腐を半丁ほど食べれば、同程度のカプサイシンとイソフラボンが摂取できる。
 豆腐のみそ汁や冷ややっこに、一味トウガラシをかけて食べてもおいしい。髪の悩みを抱える人、トウガラシ豆腐を試してみてはいかが
最終更新:2006年12月09日 12:14