クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2007.04.28

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kuriari

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クリフトとアリーナの想いはPart7
298 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/28(土) 22:39:40 ID:u4Jg5ekS0

一羽の小鳥が、強固な鳥篭の中で窮屈そうに飛び回る。
鮮やかな緋色の翼をなびかせ、外の世界を瞳に焼き付けていた。
元気溢れる小鳥にとって、そこは自分を縛り付ける退屈な牢獄でしかない。

やがて成長した小鳥は、鳥篭の扉をこじ開ける知恵を身につけた。
待ち望んだ巣立ちの瞬間を想像し、期待に胸を膨らますことだろう。
狭苦しい篭から勢いよく飛び出すのも、もはや時間の問題かもしれない。

誰よりも自由を求め、秘めた力を持て余す小鳥よ。
翼を広げて飛び立つのならば、私は風となって何処までも寄り添おう。

あなたの心が喜びに満たされた時は、勢いをつける追い風として。
あなたが怒りで我を忘れた時は、御身を諌める向かい風として。
あなたが悲しみに打ちひしがれた時は、優しく包み込むそよ風として。

振り返ると、いつの間にか鳥篭はもぬけの殻となっていた。
主なき篭には、隙間風が小さな音を立てて吹き抜けるだけ。
頬にかかる風の息が、旅立ちを躊躇う私の背中を後押しする。

次の風に我が身を任せ、私も新たな一歩を踏み出した。
薫風にさゆらぐ新緑と、新調した深緑の衣を纏う私の姿が、
穏やかな木漏れ日の中で溶けるように混じり合う。

束縛などものともしない、勇ましくも可憐な小鳥よ。
今こそ思うがままに、広い世界を縦横無尽に飛び回れ。
おそらくこれきりであろう、手にした自由を精一杯謳歌するのだ。

そして傷つき疲れた時には、私の側でそっと羽を休めてほしい。
私は何時でも、あなたに休息と安寧をもたらす静寂の凪となろう。
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