クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.11.24

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart6
569 :【知られざる伝説】1/4:2006/11/24(金) 16:01:11 ID:ZkMr3qc50

「こ、これは・・・・・・!? トルネコ、来てくれっ」
ソロの切迫した声に、トルネコは息を弾ませながら走り寄る。
「どうしたのですか?」
荒い息を整えながら問うと、ソロは無言で足元を指し示した。
いつにない緊張した面持ちのソロに気圧されつつ、その視線の先にあるものを目にしたトルネコは思わず息を呑んだ。
「こ、これはっ」
彼らの足元に存在するのは、かなり古ぼけた宝箱。そしてその中身は・・・・・・。

「トルネコ、早く鑑定してみてくれ」
「は、はい」
ソロの厳しい声に、即座にその場にしゃがみこむとトルネコは宝箱に手を伸ばした。そしてその中身を取り出そうとして、己の手が震えている事に気づいた。
(これは、まさか・・・・・・伝説の?)
額にうっすらと滲む汗。
緊張のあまり気が遠くなりそうな己を叱咤し、トルネコは一度大きく深呼吸をした。

宝箱の中には数点の防具が納められていた。
それらを広げた布の上にそっと並べ、トルネコは慎重に鑑定を繰り返す。

「まだ、か?」
片膝をついて鑑定を見守っていたソロが緊張で掠れた声で、低く呻くように訊ねる。
その真剣な眼差しに、トルネコはひとつ頷くとおもむろに口を開いた。
「わかりました」
額に滲む汗をぬぐうと、トルネコは商人の顔でソロをまっすぐ見据える。
「これは・・・・・・女性専用の装備です。まとめて身につけると特殊効果が期待できます」
「それで?」
誰が装備できるんだ?
先を急かすソロに、トルネコは重々しく告げた。
「アリーナさん、です」
刹那、ソロが勢いよく立ち上がった。
「なんだと?」
そんな馬鹿な!!
そう叫ぶソロにトルネコは落ち着くように促すと、ひとつひとつ丁寧に説明を始めた。

「これは、うさ耳バンド。装備できるものは、マーニャさん、ミネアさん、アリーナさん。
そしてこれはシルバートレイ、同じく装備者はマーニャさん、ミネアさん、アリーナさん」
トルネコの穏やかでありながらまじめな話し振りに、徐々に落ち着きを取り戻してきたソロが、黒く柔らかな物体を見つめながら口を挟んだ。
「これは?網タイツだろ?これもあいつら全員装備できるじゃん」
ソロの言葉にトルネコは深々と頷くと、最後の一点を指し示した。
「えぇ、それらは御三方全員が装備できます。しかし、この最後の一点・・・・・・バニースーツはサイズがですね、少し小さめなんですよ」
多分、以前これをお召しになっていた方が小柄だったのでしょうね。
トルネコがそう締めくくると、ソロが悔しげに唇を噛んだ。
「でもさ、それ以外はマーニャとミネアでもいけるんだろ?」
ソロの呟きに、トルネコは頭を振った。
「先程もいいましたが、これらはまとめて身に付けてこそ、最大限の力を発揮するのです。
ですから・・・・・・」
「アリーナ、ということか」
「はい」

長い沈黙がふたりの間を支配した。
やがて、ソロは深い溜息をひとつ吐くと、片手で額を押さえた。
「俺は、装備者がアリーナでも構わないんだが、な」
その言葉の先に何があるのか気づいたトルネコも神妙な面持ちで相槌を打つ。
「ですね。でも、アリーナさんがこれを纏うと、彼が・・・・・・」
「使い物にならなくなるだろうな」
「えぇ」
ふたりは顔を見合すと、再度溜息をついた。
「危険だな」
「危険ですね」
「仕方ないな」
「仕方ないですね」

この日、世紀の発見であった、とあるシロモノが、勇者とそれを支える商人によって人知
れず、再び厳重に封印された。
                                         (終)
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