クリフトとアリーナの想いは @ wiki

2006.10.27

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kuriari

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クリフトのアリーナへの想いはPart6
430 :【未来予想図】1/2 ◆cbox66Yxk6 :2006/10/27(金) 17:19:26 ID:mX4bSbbK0

「さ、行くわよ。何ぐずぐずしてるのよ」
「わ、待ってください。姫様」
「早く!ほらっ」
「そ、そんなに強く引っ張ったら・・・・・・うわぁっ」
鈍い音が響き、クリフトが蹲った。
どうやら腕を脱臼したらしい。

その光景をバルコニーから見下ろしていたサントハイム王は満足げに頷いた。
「ふん、いい気味じゃわい」
その子供じみた声色にブライは頭痛を覚える。
女が男を振り回す。このこと自体は珍しいことではない。だが、アリーナとクリフトは何かが違う。決定的に何かが違うのだ。
それは10年以上も前の出来事に起因する。

「のう、アリーナ。どうしてそんなに強くなりたいのじゃ?」
毎日武道の稽古ばかりする幼い娘にサントハイム王は訊ねた。するとアリーナはうれしそうにこう言った。
「えー、だって、お母様の遺言だから」
「遺言?」
「うん。お母様がね、『アリーナ、男の人を振り回せるくらいいい女になりなさい』っておっしゃったの。
男の人を振り回すにはかなり力が要るでしょ?だから」
傍らで聞いていたブライは思わず吹き出しかけた。
「それは……」
意味が違いますぞ。
そう言い募ろうとした矢先、ブライの傍らでサントハイム王が目に涙をためて叫んだ。
「えらい!父が認めよう。さ、どんどん稽古をするんじゃ」

そして今に至る。
サントハイム王の意図どおりたくましく育ったアリーナは、愛すべき伴侶を見つけた今、その力を遺憾なく発揮している。

アリーナの馬鹿力、そしてそれに纏わるすべての事象。
それは可愛い娘を奪う誰かに贈られたアリーナパパからのささやかな嫌がらせであった。
                                       (終)
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