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本当はクリアリが好き 523 mirin :02/11/02 08:58 ID:??? とたとたとたとた……こんこんこんっ。 だんだんと近づいてきた足音の後ドアをリズミカルにノックする音が響く。 ―――それが誰のものであるかは予想はついているのだけれど…。 本を閉じ椅子から立ち上がりドアノブを捻った。 「クリフトっ」 ドアを開けると、その声とともに視界の下半分が緋色に染め上げられる。 いつものごとく赤くなった顔を背けながら顔を背中に回された腕を解き、椅子をすすめる。 「今日はどうされたのですか?」 そしていつもの様に紅茶を入れ、お菓子を出し用件を聞く。 「聞いてよ。ブライったらね…――――」 待ってましたとばかりに話し始めるのもいつものことで、いつまで続くのかは分からないけれどクリフトはこの日常がこの上なく幸せだと感じていた。 「っていうわけでね、本当に疲れたわ」 話し疲れて睡魔がやってきたらしく、大口を開けてあくびをし、ぐーっと背中を伸ばしているアリーナの姿が目に映る。 何度言っても直らないアリーナの作法に苦笑する。 「昼寝でもなさったらいかがですか?」 「そうね。そうするわ」 アリーナをいつものとおり部屋まで送っていこうと、クリフトは腰を上げ、扉のほうへと向かおうとした。 しかし当の本人は、まったく動き出そうとしない。 そのうえクリフトを、はやく、早く♪っと楽しそうに呼んでいる。 不吉な、それもかなり困ったことになりそうな予感がする。 そんなクリフトの直感は、こういうときに限ってよく当たるのだった。 クリフトのベットの上に乗ったアリーナは身体を脇へとずらし、ぽふぽふっと自らの隣の空間を軽く叩いてクリフトを呼んでいる。 「それじゃあ、いっしょに寝よ♪」 なかば予想していたその言葉に、溜息をつく。 「駄目です」 アリーナは暫くむくれて下を向いていたが、突然悪戯を思いついた子供のような表情をして顔を上げた。 先ほどよりもさらに嫌な予感がクリフトの背を駆け抜ける。 「姫様?何を考えておられ……わっ!?」 そのまま、アリーナは腕を回して、しっかりとクリフトに抱きつきベットの上に引きずり込んだ。 見た目だけだとクリフトがアリーナを押し倒しているようにも見えかねない体勢になった。 「な、何をなさるのですか、姫様!?」 こんなところを誰かに見られでもしたら極刑ものである。 しかしそれよりも思っていたよりも柔らかなアリーナの感触にうわずった抗議の声を上げる。 「クリフトの往生際が悪いからよ」 「そういう事を聞いているのではありませ……」 「それにこのほうが暖かいし♪」 クリフトの言葉をさえぎってアリーナが言葉をつむぐ。 確かに最近雨が降ると冷え込みますけどね……ってそういうことではなくて――― アリーナの突然の行動にクリフトはすっかり調子を狂わされているようだった。 深呼吸をして自分をどうにか落ち着かせる。 「姫様、私は抱き枕ではありませんよ」 一瞬後、クリフトは自分の言葉に、まだ自分は落ち着きを取り戻しきれていないようだと気がつかされた。 混乱に拍車をかけるように、クリフトの唇に柔らかい指が押し付けられた。 「抱き枕は話したりしないわよ」 からかいの色に光る瞳、少しだけ拗ねたような声。 その、濡れた唇。 全てがクリフトを強烈に誘惑するのだと、知っているとしか思えないほどのさり気なさでアリーナはクリフトに微笑む。 実際はそんなことは欠片ほども気づいていないのだろうけど…。 「それにクリフトが抱き枕なんだったら、私だけの抱き枕でしょ?」 そういってぎゅっとクリフトを抱きしめる。 「っ!?」 声にならない悲鳴を上げて、クリフトはそのまま硬直した。再び、鼓動も乱れる。 「それじゃ、いっしょに寝よっ♪」 言葉を失ったクリフトにアリーナが追い討ちをかける。 かなわない、かなうはずもない。 今日も姫様に負けっぱなしの神官なのでした。 end
本当はクリアリが好き 523 mirin :02/11/02 08:58 ID:??? とたとたとたとた……こんこんこんっ。 だんだんと近づいてきた足音の後ドアをリズミカルにノックする音が響く。 ―――それが誰のものであるかは予想はついているのだけれど…。 本を閉じ椅子から立ち上がりドアノブを捻った。 「クリフトっ」 ドアを開けると、その声とともに視界の下半分が緋色に染め上げられる。 いつものごとく赤くなった顔を背けながら顔を背中に回された腕を解き、椅子をすすめる。 「今日はどうされたのですか?」 そしていつもの様に紅茶を入れ、お菓子を出し用件を聞く。 「聞いてよ。ブライったらね…――――」 待ってましたとばかりに話し始めるのもいつものことで、いつまで続くのかは分からないけれどクリフトはこの日常がこの上なく幸せだと感じていた。 「っていうわけでね、本当に疲れたわ」 話し疲れて睡魔がやってきたらしく、大口を開けてあくびをし、ぐーっと背中を伸ばしているアリーナの姿が目に映る。 何度言っても直らないアリーナの作法に苦笑する。 「昼寝でもなさったらいかがですか?」 「そうね。そうするわ」 アリーナをいつものとおり部屋まで送っていこうと、クリフトは腰を上げ、扉のほうへと向かおうとした。 しかし当の本人は、まったく動き出そうとしない。 そのうえクリフトを、はやく、早く♪っと楽しそうに呼んでいる。 不吉な、それもかなり困ったことになりそうな予感がする。 そんなクリフトの直感は、こういうときに限ってよく当たるのだった。 クリフトのベットの上に乗ったアリーナは身体を脇へとずらし、ぽふぽふっと自らの隣の空間を軽く叩いてクリフトを呼んでいる。 「それじゃあ、いっしょに寝よ♪」 なかば予想していたその言葉に、溜息をつく。 「駄目です」 アリーナは暫くむくれて下を向いていたが、突然悪戯を思いついた子供のような表情をして顔を上げた。 先ほどよりもさらに嫌な予感がクリフトの背を駆け抜ける。 「姫様?何を考えておられ……わっ!?」 そのまま、アリーナは腕を回して、しっかりとクリフトに抱きつきベットの上に引きずり込んだ。 見た目だけだとクリフトがアリーナを押し倒しているようにも見えかねない体勢になった。 「な、何をなさるのですか、姫様!?」 こんなところを誰かに見られでもしたら極刑ものである。 しかしそれよりも思っていたよりも柔らかなアリーナの感触にうわずった抗議の声を上げる。 「クリフトの往生際が悪いからよ」 「そういう事を聞いているのではありませ……」 「それにこのほうが暖かいし♪」 クリフトの言葉をさえぎってアリーナが言葉をつむぐ。 確かに最近雨が降ると冷え込みますけどね……ってそういうことではなくて――― アリーナの突然の行動にクリフトはすっかり調子を狂わされているようだった。 深呼吸をして自分をどうにか落ち着かせる。 「姫様、私は抱き枕ではありませんよ」 一瞬後、クリフトは自分の言葉に、まだ自分は落ち着きを取り戻しきれていないようだと気がつかされた。 混乱に拍車をかけるように、クリフトの唇に柔らかい指が押し付けられた。 「抱き枕は話したりしないわよ」 からかいの色に光る瞳、少しだけ拗ねたような声。 その、濡れた唇。 全てがクリフトを強烈に誘惑するのだと、知っているとしか思えないほどのさり気なさでアリーナはクリフトに微笑む。 実際はそんなことは欠片ほども気づいていないのだろうけど…。 「それにクリフトが抱き枕なんだったら、私だけの抱き枕でしょ?」 そういってぎゅっとクリフトを抱きしめる。 「っ!?」 声にならない悲鳴を上げて、クリフトはそのまま硬直した。再び、鼓動も乱れる。 「それじゃ、いっしょに寝よっ♪」 言葉を失ったクリフトにアリーナが追い討ちをかける。 かなわない、かなうはずもない。 今日も姫様に負けっぱなしの神官なのでした。 end

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