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クリフトのアリーナへの想いはPart5 169 :【ザラキの理由】1/2 ◆dVT/uH21fA :2006/05/08(月) 07:53:43 ID:CPFmS3Fl0 「やっぱり故郷はいいわね。」  日常の中では、自分を縛りつけるものにしか見えなかった故郷の城門。しかし、長旅 から帰った身には、それは砂漠の中のオアシスのように見える。 「そうですね。姫様を無事お守りすることができて、私も肩の荷が下りました。」  あたしの何気ない言葉に、クリフトは、晴れやかな笑顔で答えた。それが昨日。  それなのに。  今、ベッドで寝ているクリフトは、ぴくりともうごかない。せめてもの幸いは、その 死に顔が安らかなこと。  今朝、待ち合わせの時間に現われなかったのを不審に思った神官長が、部屋の扉をこ じあけ、息をひきとっているクリフトを発見した。荷物を床に置いたなり力尽きた、 という感じだったそうだ。  長旅に出るにしても片づきすぎている部屋から見つかったのは、大量の医学書。それは、 全て、ある特異体質についてのものだった。  その特異体質、いや、先天性疾患の持ち主は、高い魔力を持つが、魔法を使う度に身 体が蝕まれる。高度な魔法を数多く使うほど、その余命は短くなる……。  そうだったんだ。  城付きの神官になったのは、魔法を使う機会をできるだけ減らすため。  ミントスで倒れたのは、病気が末期に入ったしるしの発作。  ザラキしか唱えなかったのは、あたしがここに帰ることができるまでの間、なんとか 命を保つため。  クリフトは、実は強い人だって思っていた。でも、  「こんな強さだったら、いらなかったのに。」  涙さえ出すことができずに、あたしは、心の中で何度もつぶやいた。
クリフトのアリーナへの想いはPart5 169 :【ザラキの理由】1/2 ◆dVT/uH21fA :2006/05/08(月) 07:53:43 ID:CPFmS3Fl0 「やっぱり故郷はいいわね。」  日常の中では、自分を縛りつけるものにしか見えなかった故郷の城門。しかし、長旅 から帰った身には、それは砂漠の中のオアシスのように見える。 「そうですね。姫様を無事お守りすることができて、私も肩の荷が下りました。」  あたしの何気ない言葉に、クリフトは、晴れやかな笑顔で答えた。それが昨日。  それなのに。  今、ベッドで寝ているクリフトは、ぴくりともうごかない。せめてもの幸いは、その 死に顔が安らかなこと。  今朝、待ち合わせの時間に現われなかったのを不審に思った神官長が、部屋の扉をこ じあけ、息をひきとっているクリフトを発見した。荷物を床に置いたなり力尽きた、 という感じだったそうだ。  長旅に出るにしても片づきすぎている部屋から見つかったのは、大量の医学書。それは、 全て、ある特異体質についてのものだった。  その特異体質、いや、先天性疾患の持ち主は、高い魔力を持つが、魔法を使う度に身 体が蝕まれる。高度な魔法を数多く使うほど、その余命は短くなる……。  そうだったんだ。  城付きの神官になったのは、魔法を使う機会をできるだけ減らすため。  ミントスで倒れたのは、病気が末期に入ったしるしの発作。  ザラキしか唱えなかったのは、あたしがここに帰ることができるまでの間、なんとか 命を保つため。  クリフトは、実は強い人だって思っていた。でも、  「こんな強さだったら、いらなかったのに。」  涙さえ出すことができずに、あたしは、心の中で何度もつぶやいた。

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