personal note内検索 / 「内なる傷痕」で検索した結果

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  • フランス映画史の誘惑
    ...ヴァーグ 「内なる傷痕」1971/フィリップ・ガレル 「秘密の子供」1982/フィリプ・ガレル 「小さな赤いビー玉」1975/ジャック・ドワイヨン ●BBCにつづく世代 「ショコラ」1987/クレール・ドニ 「哀しみのスパイ」/エリック・ロシャン 「エスター・カーン めざめの時」2000/アルノー・デプレシャン 2003-05-03/k.m コメントをぜひ k.m ノブ・NAKADAさんの書評2003-05-09 (金) 21 15 29 k.m ジャン・ユスターシュの「わるい仲間」を見た。ほんとうは「ママと娼婦」が見たかったのだけど、なにせ長い作品だし、ちょっと体力に自信のない気分だったので、これを。実際は「サンタクロースの目は青い」との2作がはいっていた...
  • 2003年ベスト
    ...ま山荘事件 内なる傷痕 猟奇的な彼女 狼たちの午後 2003年読んでノートした書物リスト 「愛国」問答 「小さな家」の気づき 80年代建築/可能性としてのポストモダン この先の建築 さようなら、ギャングたち インフォアーツ論 カンバセイション・ピース シンセミア フランス映画史の誘惑 ペンギン村に陽は落ちて レイアウトの法則 阿修羅ガール 煙か土か食い物 何がどうして 家族を容れるハコ家族を超えるハコ 軽いめまい 倦怠 建築における「日本的なもの」 個人的な体験 広告都市・東京 罪と罰 趣都の誕生-萌える都市アキハバラ 蹴りたい背中 笑う住宅 ...
  • HERO
    HERO 監・案・製・脚:チャン・イーモウ 案・脚:リー・フェンほか 出:ジェット・リー トニー・レオン マギー・チャン チャン・ツィイー 2002中/ワーナー/99分 マトリックスのスタッフが参加しているらしく、ワイヤーアクションがふんだんに使用されていた。だがこのことは、伝統的なカンフーアクションをずいぶんと陳腐なものへしているように見えた。ワイヤーアクションは、スローモーションを持続させ、極小の時間へ幾つもの動きを落とし込む装置として、斬新なアクションシーンを生んで来た。しかしあくまでもリアルと感じられる範囲で時間の引き延ばしが行われ、それは重力の存在をギリギリまで感じさせ、身体の動きの延長として見えることでもあった。 けれどこの映画ではまったく重力は無視されて、妖精のように浮き上がることを可能とし、人間わざ...
  • 煙か土か食い物
    煙か土か食い物 舞城王太郎著 ノベルス 講談社、2001.3 ¥1,000 正直、舞城王太郎はこれで4つ目なのだけど、単行本1冊とあとは文芸誌に載っていたやつ2作だし、まだよく分からない作家だった。唯一まとまったもの「阿修羅ガール」はかなり不可解な小説だし、賛否両論大きいし、感覚的にもかなり無理して読みきった。その後の「我が家のトトロ」や、「ドリル・ホール・イン・マイ・ブレイン」はそれなりに読めたが、まだ「分かろう」という思いが先行して、「楽しみ半分」という気分でもあった。 そんな訳でもう一歩入り込めない作家だが、その割りに評判がいいのだからやっかいだ。別に己の感覚に合わないものは放っておけばいいじゃないかと思うのだが、何か自分の知らないところで重要な楽しさを逃してはいないかとの貧乏性に突き動かされた。どうやら面白いと話題...
  • 幸せになるためのイタリア語講座
    幸せになるためのイタリア語講座 はじめデンマーク語というのが聞き慣れないせいか、てっきりフランス映画だと思いました。。けれど北欧と知って、確かに地中海イタリアへの思いは強いと聞くし、まるで南国への期待感が恋愛へのそれと重なるようにただよっていました。。素朴な描きが、かえって切なさをそそる。というか。2006-09-19/k.m コメントをぜひ 名前 コメント ...
  • eanak
    I think and walk, therefor I am. identity office worker in Tokyo now occuppied changing my job!! こちらのページの目次です。 こちらのページの目次です。 [#n8b15cb1] 発言ページのリストです。 [#db1b2358] 対話 [#h6151729] 英語、ボケ、そしてお笑い [#fd9210b6] 読書談義 [#l4e32058] 漱石とか。 [#k18e3eda] 漱石など。 [#v23e0c37] 漱石デビュー。 [#b3e01d18] ちょっと宣伝。 [#o8f5b102] ご無沙汰です。 [#t9a3c5b6] 発言ページ...
  • FormattingRules
    #nofollow #norelated テキスト整形のルール 通常は入力した文章がそのまま出力されます。 HTMLのタグは効果がありません。書かれた文章はそのまま(「 font color="red" text /font 」といった形のまま)表示されます 段落と段落の区切りには空行をはさんで下さい。空行をはさまず、連続している複数の行は同じ段落と解釈されます (連結して表示されます) これに加えて、特定のルールによるテキスト整形を行うことができます。以下では、プラグインについてはよく使われるものだけを簡略に説明しています。プラグインのオプションなど詳細な説明については PukiWiki/1.4/Manual/Plugin を参照してください。 テキスト整形のルール [#oca54177] ...
  • イージー★ライダー
    イージー★ライダー 1969年 アメリカ 脚本:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー 、 テリー サザーン 監督:デニス・ホッパー 出演者:ピーター・フォンダ 、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン 60年代アメリカ。マリファナを密輸して、大金を得たキャプテン・アメリカとビリー。大型改造バイクを買ってロスから南へ旅に出る。目指すは自由の国、真のアメリカ。2人の若者を通して、人種問題、反体制運動の激化など、当時のアメリカの不安定な側面をロックナンバーにのせて投影。 この作品から「ロードムービー」は始まったといわれている。 個人的には、「パリ、テキサス」こそ、「ロードムービー」の最高峰と思っていたが、修正が必要となった。そのヴェンダースに影響を与えたのがこの作品という事だけでなく、この作品が莫大な資金のもとで...
  • ビッグ・リバー
    ビッグ・リバー 出演 オダギリジョー, カヴィ・ラズ, クロエ・スナイダー 監督 船橋淳 車と人があればロードムービーになる。そんな単純なことからはじまる映画ほど素晴らしかったりする。映像が与えてくれる時間感覚の中で、最もリラクゼーションに近いからだろうか。 かといって環境ビデオでは得られないドラマがある。出会いと別れが生み出す感情の起伏がそこにはあって、遠く見えなくなるまで追い続けるカメラの視線が緩やかに増幅させてくれる。 女性一人に男性二人というトリオ構成も、黄金比に近い。この映画には、用意周到なロードムービー魂を感じる。人が人に惹かれあう時、目の前に広大な荒野しかないなんて。2007-01-26k.m コメントなど ...
  • エロ事師たち
    一番スゴイのがスブやんの死にざま 新潮文庫 野坂昭如著 \438 これが70年代の「ベストセラー作家」だったというのをインターネットで調べて驚く(ちなみにこちらもカッコイイ!)。まったく痛々しいほどの描写が続き戸惑うかと思えば、何時しか「ぐいぐい」と引き込まれていた。もともとこのような過激な文学に「憧れと興味」は持っていたつもりだったが、これほど「衝撃」的な作家だとは思っても見なかった。かといって暗く重い雰囲気はなくって、むしろポップで「突き抜けた」面白さだ。中原昌也はセリーヌなのかと思ったら、むしろこちらの影響のほうが大きいのだろうか。とにかく考えられる卑劣、苛烈、妖艶、猥雑このうえない、いやとても考えの及ばない所にまで話しは進む。 「エロ事師」というまず聞き慣れない名前。ようするに「あらゆる享楽の手管を提供する」不法なエロ商売...
  • の・ようなもの
    の・ようなもの 1981年 企画:製作鈴木光 企画・脚本・監督:森田芳光 出演:秋吉久美子/伊藤克信/尾藤イサオ/でんでん/小林まさひろ/大野貴保 落語家・志ん魚(伊藤克信)は、風俗嬢・エリザベス(秋吉久美子)と女子校生・由美のふたりと付き合いながら日々修行に励むが、エリザベスはある日、遠くに引越すことになる。先輩も真打に昇進し、ひとりとり残されたように感じる志ん魚だが・・・。 i.m 若者のとりとめのない日常がよく描かれている。落語家になるという共通の夢をもちながら、スタイルの異なる仲間と日常を送る主人公。 風俗嬢と付き合いながらも、彼のコーチしている女子校の落研の女子校生とも付き合う。 その様な関係は風俗嬢の「バレなければいいじゃん」という言葉にのせられてのもの。主人公は良い事ではないと思いつつも、流される。女子校生の家で、彼女の父親に見せた落語が「面...
  • 存在の耐えられない軽さ
    存在の耐えられない軽さ ミラン・クンデラ (著), 千野 栄一 (翻訳) 集英社文庫 われわれの人生の一瞬一瞬が限りなく繰り返されるのであれば、われわれは十字架の上のキリストのように永遠というものに釘づけにされていることになる。 ニーチェの永劫回帰について考察をはじめる冒頭からちょっと変わった小説という印象。物語の全貌を前段で明かし、振り返るように進む。まるで芝居のような構成に惹きつけられた。 作者は登場人物たちを人間とは考えていないようだ。SFが思考実験であるように、小説の世界を動く人物はあくまでもキーワード、そこから広がる物語は思索の場でしかない、そう言っているかのよう。 内面を深く描写していくドラマでなく人物を「感情モデル」で動かし、それを見て思考を広げるキャッチボールのようだ。 主眼はどこか。「存在の軽さ・重さ」であったり、「俗...
  • スティル・ライフ
    スティル・ライフ 中公文庫 池澤 夏樹 (著) なるべくものを考えない。意味を追ってはいけない。山の形には何の意味もない。意味のない単なる形だから、ぼくはこういう写真を見るんだ。意味ではなく、形だけ。 この部分、とても写真を見る姿勢として共感した。その後も写真談義がちょっとつづくのだけど、とても興味深いし参考になった。 さらりとして、それでいてとても広い。まるで主人公が希薄で拡大された存在として佐々井を感じたように、この小説にも不思議な広がりを覚えた。 希薄さとは気配が薄れていくことでその人の印象がなくなってしまうのではなく、無限に広がって行き空気のようにそこかしこを占めていくもののようだ。 語り手が「言葉そのもの」となって、意識の奥に浸透されていくようなものだろうか。ロードムービーの過ぎ去るカットみないな...
  • マタドール
    マタドール imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 〜炎のレクイエム〜 監督:ペドロ・アルモドバル 出演:アントニオ・バンデラス, その他 闘牛という華麗に儀式化された「牛殺し」の背後。そこには多くの芸術家・作家・思想家といった人々が、人間の「生と死」に凝縮されたドラマの祖型や、それと意識されず身体に刻み付けられている死生観などを見出している。 闘牛士は栄光や富を求める燃えるような野心のうちに、直面する死から恐怖や孤独を消失させているのに対して、そこからはなれた主人公にとって死とは、観念的なものとなる。 人間だけが死への感覚、死への意識を持ち、それが聖なるものの感覚というすぐれて人間的な可能性への超出なのだという、「死とエロ...
  • ネオリベラリズムの精神分析
    ネオリベラリズムの精神分析 なぜ伝統や文化が求められるのか 光文社新書 樫村 愛子 (著) 僕らは自分の生きている時代や世界を理解したいと常に思っていて、その欲求は今の時代に文学やら映画などを造る、創造的な動機付けの意味を了解したいことと同義のように思える。 かつて、安定した世界像=「大文字のA」のあった時代には、その対象へ向って書くことの出来た非公開の日記も、現代の細分化され共有の困難な、その場限りの世界像=「小文字のa」に対しては特定の「コメント」や「足跡」のように承認行為を得られるネットの公開日記は必然の道具でもある。 この時、重要なキーワードがジャック・ラカン(精神分析家)の提示した「現実」という概念で、それは決して見ることの不可能な世界を意味し、このことは同時に僕らが目の前の「世界」を見るとき、自己の幻想(勝手な解釈)を通じてしかそれに触れる...
  • 写真新世紀-2008
    写真新世紀-1 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 日時 :2008年11月8日(土)~11月30日(日)10 00~18 00 会場 :東京都写真美術館 地下1F 展示室 審査員 :荒木経惟(写真家)、飯沢耕太郎(写真評論家)、南條史生(森美術館館長)、榎本了壱(アートディレクター)、大森克己(写真家)、野口里佳(写真作家) 関連イベント・出展者トークショー 2008年度(第31回公募)優秀賞受賞者 菅井健也、秦雅則、元木みゆき 2007年度(第30回公募)準グランプリ受賞者 詫間のり子、中島大輔 今年も写真新世紀の季節が来た。・・て、言える程見ているかな。たぶん3、4回目か。今回は初めて「出展者トークショー」なるものにも参加した。何時も思うのは、まわりでも写真を撮るのが好...
  • :近況-2003-7
    近況-2003-7 2003-07-31 8月か。はや。●クリニックはもうじき出来上がる。暑さが戻り湿気も厳しい現場で3時間半も打ち合わせ。先生はホントにねばり強い。たいがい打ち合わせは10時とか11時過ぎたりするのだけどまったくひかない・・。結局今からまた穴開け・・汗。●ホールも上棟間近で緊迫状態。●改修がはじまりこちらも盆無し。●マンションもマキはいってきたなぁ。●オープンデスクさん今日は遅くまで頑張っていた。 2003-07-30 なんでこんなものをつくってしまったのか●そんな空間に住みたい。創作の意図が自分でも分からなくなってしまうような空間。かろうじて住まいであることを示すものが、滑稽で仕方がないような空間。恐らくこう使ったら明日から違う生活になってしまう、そんなことを毎晩考えてしまうような空間。ドアを開けた瞬間、昨日までの自分をそこに確認できないような不安をもってし...
  • アメリカの夜
    アメリカの夜 阿部和重 講談社文庫 この小説が僕に訴えてくるモノは意外と大きかった。 一つには自意識過剰なこの主人公にたいする感情移入だった。コンプレックスのかたまりの中から日常をいかにくぐり抜け、あたかも自分はそのようなしがらみからは自由な存在であると振る舞い、どこか涼しげな顔をして、けれどもつらいものはツライ、がむしゃらなことは素直に顔に出す、そんな人を見て、それが意外とうまくいっている光景を目の当たりにするほどに、一体自分のコンプレックスほど不毛なことなどないではないか、と不自由な存在でしかない姿を思い浮かべることも頻繁にあることを意識させられるのだった。 それが過剰に表現されるほどに、あるいはそう感じながらこの小説を読むことで、なおいっそう現実の滑稽さを認識する手助けになる、とても「実用的」な物語であること、それを...
  • BIMについて・その1
    BIMについて・その1 こんな時期に設備投資は無理だと思うけれど、以前からBIMなるものを取り入れろと言われていて、特に勉強していなかったので、先日あるメーカーのセミナーへ行ってみた。 BIMのメインストリームは意匠と設備、構造の3Dデータ共有化にあるのかと思っていたら、まずは建築設計内部の効率化がメインだった。確かに、アメリカでオー○デスクがどんなにBIMを推し進めようと、日本の設計事情はまず3DCADの普及からだろう。 実体として自分をはじめまわりの事務所からも属性付きの3次元データを基本にドラフトしているなんて聞かない。もっともそういった情報交換の機会も恐ろしく少ないけれど。 一部のゼネコンや組織事務所では10年前くらいから取り入れはじめているようだ。確かにこのシステムが当たり前になれば、随分と生産性も上がるだろう。 セミナーでは...
  • 家族を容れるハコ家族を超えるハコ
    家族を容れるハコ家族を超えるハコ 上野千鶴子著 \2,200 平凡社 東雲キャナルコート あまり関係ないけど模型による住宅のスタディーなども。 この本を読んでいると、住宅を考えるときの問題点が、もはや弱者(育児・介護など)を取り入れたときのそれに集約されているのだということに気がつく。それ以外の家族形態については、どのような家にだって生活は可能であり、それについて深く思考することを必要としていないようだ。建築家の作る住宅と言うのは、後者のケースがほとんどで、言い換えれば、どの様な家にだって住める人達のための建築ということになる。 確かにそのような前提があってこそ、純粋に建築としてのたち現れ方、行為という細分化された空間単位に連続性をもってデザインすることの条件が整っているかのようにも見える。社会学的な視点を...
  • コミュニケーション
    コミュニケーション 新建築の連載対談。大江さんとマイクロソフト社の社長が対談。話題はもちろんコンピューター関係。 マイクロソフト社の社長いわく、コンピューターの急激な普及により、都市や建築の印象が稀薄になってきている。(メールや、テレ会議を頻繁に使用することにより、今どこにいるのかが、あまり意識にあがらないといった感じ。) 一方、大江さんの大学での講義で発見した事に興味を感じた。デジタル時代の中学校を 検討して行く中で、教室を必要としない教科はほとんど考えられるが、休み時間だけは、みな学校に集まりたい、という意見だったそうだ。 確かに、コンピューターの普及に伴い最近よく聞かれる、「わざわざ出向かなくてもよくなる時代」という言葉には疑問を感じていた。 実際設計においても、協力事務所との打ち合わせは以前より減ってきている。初回に顔合わせをして...
  • コンペ
    コンペ 入社して3-4年は、毎年2つくらい公開コンペをやっていた。コンペはたとえどこにも引っかからなくとも、ときには実施以上に詰めた案をつくるし、また実務以上に建築にたいしてより素直な考えを探れる機会を与えてくれる。ここ2年近く公開コンペには参加していない。公開コンペ自体が、さっぱりなくなってしまっている状況だ。コンペアンドコンテストも終わってしまった。 作業へ見合った業務報酬を獲得出来ていない設計事務所は、生き残りも厳しく直接仕事へ結びつく可能性が少ないコンペから遠のきがちだ。一方で公共事業からもコンペが減り、巨匠クラスへの指名が集中する悪循環。組織事務所では指名コンペスタッフを確保し、常にコンペばかりしている先輩の話を聞いたこともある。行政に対して断れないシステムなのだ。 民間による事業コンペは幾つか経験した。短期間の勝負であるが、かえってムダにデザ...
  • かもめの日
    かもめの日 黒川 創 (著) キレイ(センチ?)に描かれている部分は読んでいて恥ずかしくなる。自分は屈折しているのかと思わせるその反動。連作短編のようにつながっていく群像劇だけど登場人物が結構多いせいか、一気に読まないと読後感に差が出そうだ(実際読んだり、読まなかったりした)。 ラジオの関係者が多く結構中心にあって、その古臭い懐かしいイメージと、昨今のメディア不況などが合わさって、ノスタルジックにも感じた。 村上春樹の『アフターダーク』では、主人公の若い男は「タカハシ」という3人称で描写され、代わりに「私たち」という「カメラアイ」としての1人称が使われていた。この小説も近い構成ではないか。 それは描かれている出来事が全て人づてに聞いたエピソードのように、どこか要点を得ず、それでいて無理やり落ちがついているような気分にもなるせいで、軽やかさを増...
  • 亀は意外と速く泳ぐ
    亀は意外と速く泳ぐ 監督・脚本: 三木聡 出演:上野樹里 、蒼井優、岩松了、ふせえり、松重豊、村松利史 平凡な日常を送り続けることへ不安を抱く主婦が、「今日からあなたはスパイです」と指令を受けて、昨日までの平凡さを「演じる」。なにも変わっていないそれがフィクションであると意識することで、急に刺激を生み出す。 なるべく目立たないように生きることを意識的に行う時、それはとてもセンスの要る仕事となる。まるで日本人として生きていること自体をアイロニカルに曝け出されているようで面白い。 映画「イン・ザ・プール」や、ドラマ「時効警察」なんかを手がけた三木聡。この映画でも細かいネタが几帳面に面白い。原色(特に緑)を使った画面はコミカルさを増す以上にとても映画的だと思った。2006-04-30/k.m コメントをぜひ haru-chon 観たばかりです。三木聡のゆるゆるセ...
  • ポーラX
    ポーラX 監督:レオス・カラックス 出演:ギョーム・ドパルデュー/カテリーナ・ゴルベワ/カトリーヌ・ドヌーヴ 脚本:ハーマン・メルヴィル/レオス・カラックス/ジャン=ポル・ファルゴー/ロ ーラン・セドフスキー 1999年/フランス・ドイツ・スイス・日本/2時間14分 カラックスの新作。 ピエール・ヴァロンブルーズというノルマンディの城館にすむ御曹司が主役。 ストーリーは先日観た、ルイマルの恋人たちとも、どことなくかさなる。ブルジョアの苦悩。 アラジンという名前で書いた小説の大ヒット。婚約者リュシーと愛し合う日々。すべてが順調のピエール。だが夢の中へ出てくる、長い黒髪の女が忘れられない。ある日その女が彼の前に現れ、私はあなたの姉だと告白する。本当かどうかもわからないその言葉を信じたピエールは全てを捨て、彼女と生きる決心をする...
  • インタビュー術!
    インタビュー術! 講談社現代新書 永江朗 著 \700 カテゴリー-エッセイ 関連リンク #related 対話について興味がある。以前設計という作業がすべて対話を通じて成立しているものだと言うようなメモを書いた。エスキースは自分との対話であるとか。それはコミュニケーションとも言い換えられる。頭の中だけでつくられるモノなどなく、すべて出されたモノとの対話によって生まれていくのだと思う。モノをつくる楽しみとは、そのような対話の楽しみとも言えるのではないか。 「つくる」という言葉自体にはそんなゼロからカタチへの「経過」を見落としてしまいそうな雰囲気がある。そもそも「つくる」という行為の魅力はまさに「つくっている」最中に存在する。出来上がった達成感と引き替えに、最大の楽しみも終了してい...
  • 僕の小規模な生活
    僕の小規模な生活 僕の小規模な生活-1 福満 しげゆき (著) 描かれていたのはまったく地味な話で、タイトル通り小規模な生活のエピソードがささやかに展開していくものだった。活字になっている吹き出しの他にも手書きの小さなものがたくさん書かれていてそれが面白く、そうやって主人公の内面が執拗に描かれ、まるで日記を読んでいるようでもあった。 しかしながら、この漫画は妻に不評だったことを見ても、女性にはあまりウケないのではないか。 さて、何年も前からそうであったように、ネットで公開されているばかりでなく自分でもこうして日記なるものを書いているのだから、(たとえそれがフィクションであったとしても)ある意味でお互い見慣れた光景をなぞるようでもあり、その既視感からくるリアルを狙っているのかとも思いつつ、そこには書かれていないもっとリアルな部分をどこかで想像させるものがある。 ...
  • エリ・エリ・レマ・サバクタニ
    エリ・エリ・レマ・サバクタニ 監督:青山真治 出演:浅野忠信 、宮崎あおい 、中原昌也 、筒井康隆 オープニングから「かっこいい」という印象が続き、ビクトル・エリセの映画を思い出すような画面構成、固定カメラ、引きのアングル、そして音楽や役者オーラなど、一流映画としての貫禄を感じた。 けれど、だからこそ内容はつまらないと思った。これだけお膳立てがそろっているのに着眼点がイマイチだ。青山真治はどうしてこのような空振りを続けるのだろう。本人はかなり成功していると思っているのだろうか。けれど興行を無視しては単なる自主制作映画と変わらない。 レミング病だとかの設定も、チープな近未来SF映画のようだ。チープなりに救いのない深刻さがあればまだメリハリがあるのだけど、そのような切迫感もない。ノイズについても、音と画の構成上必要な組み合わせ...
  • エヴァンゲリオン
    エヴァンゲリオン TVシリーズ全26話 劇場版「RIVAIVAL OF EVANGELION 01」EVANGELION:DEATH(TRUE)2 「RIVAIVAL OF EVANGELION 02」Air/まごころを君に 使徒>見終わる前の話題 ちゃーりー 「近況」を読んで、使徒の形の思い出そうとしたのですが駄目でした。確かに記憶に残りにくいデザインでしたね。あれはウルトラセブンに出てくる異次元怪獣(?)がモデルになっているはずです。k.mさんはどこまで観られたのでしょうか。劇場版2作も忘れずに観て、感想を書いてください……。余談ですが、「使徒」は英語版だと“Angel”になってしまいます。(2003-08-18 (月) 00 21 16) 321 折しもうちの研究室には今エヴァ全回分DVDと劇場版2作がありま...
  • ナイン・ソウルズ
    ナイン・ソウルズ 2003日本/東北新社=リトル・モア 監督・脚本:豊田利晃 製作:竹井正和/瀬崎巌/石川富康/菊地美世志/小西啓介 撮影:藤澤順一 音楽:dip 出演:松田龍平/原田芳雄/千原浩史/鬼丸/板尾創路/KEE/マメ山田 個人的に現在日本の若手で一番期待している映画監督の一人である豊田利晃さん最新作。公開2日目。混雑を予想して午前中の回へ行く。会場は日曜日だが半分も埋まっていなかった・・・。 刑務所の中はどうも共同体的なぬるい空気なものか、殺伐としたいじめのそれか、どちらも門切り型でありきたりに感じてしまうのだが、この映画は前者のタイプだった。けれどほんの数分後には脱走のシーンとなり、得意の大音量バックのスローモーションという阪本順治監督ゆずりなオープニングにはやくも鳥肌。ああ、またこの...
  • 空中庭園
    空中庭園 角田光代 文芸春秋 1,600円 父と母、祖母、姉と弟という構成の家族と、父親の愛人で弟の家庭教師でもある女性の関係を軸に描かれた家族小説。これまで描かれてきた擬似家族的な作品とはちょっと違う。本当の家族のお話。けれど「本当の家族」なんて擬似家族より関係としてはシブイのだ。そんなニヒリズムがただよう。 連作長編で、章ごとに語り手の変わる構成。最近だと吉田修一の「パレード」とかに近い。この構成の面白いところは、「どう見られているか」と「どう見ているか」という人の視点と自意識の表れをとても如実に感じられることだ。そして両者を一人の作家が演じられるように、他者とは自分のなかに存在するのだという紛れもない事実を見ることだ。 もちろんここにはエンターテイメント性が意識されていて、意外性のある視点とか、何を考えているのか表面からじゃ分からない腹黒さを過剰に演出し...
  • 暗殺の森
    暗殺の森 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 製作国:イタリア・ドイツ・フランス/1970年 監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ 原作:アルベルト・モラビア 撮影:ヴィットリオ・ストラーロ 音楽:ジョルジュ・ドルリュー 出演:ジャン・ルイ・トランティニヤン/ステファニア・サンドレッソ/ドミニク・サンダ カテゴリー映画 スパイ活動をしていたある日、目の前で暗殺の現場を目撃した主人公。哲学講師だった彼は、少年期のトラウマから逃げ込むようにファシストへと傾倒した。やがてパリに亡命している恩師を調べる指令をうけ、教授夫婦へ近づく。 ここではファシストという過激な組織へと入るまで追いつめられた困難と、実際...
  • バトル・ロワイアル
    バトル・ロワイアル 監督:深作欣ニ 原作:高見広春 製作:「バトル・ロワイアル」制作委員会 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、安藤政信、ビートたけし ほか 新世紀のはじめ、アジアにあるひとつの大国が壊れた。不登校児童・生徒数 80万人、校内暴力による教職員の殉教1200件。自信を失った大人たちは子供を恐れ、やがて、ひとつの法案が国会で可決された。新世紀教育改革法(通称  BR法)施行。とかいった出だし。 TUTAYAで借りました。 なんだろう。残虐な映画は嫌いじゃない。どちらかと言えば好きな方だ。 けれどスプラッターが好きなのではない。緊張感にはまるのだ。 人間が追いつめられ、後戻り出来ない状態になる。その時映画の持つ空間へ惹かれる。 でもこの映画には緊張感をあまり感じなかった。いきなり殺してしま...
  • 1Q84
    1Q84 村上春樹/著 新潮社 2009/5/29 まとまりなく、感想。当然ネタバレとなっていますw。 登場人物達はみな生い立ちに強烈なトラウマを抱えコミュニケーションの齟齬をきたし生きにくさに繋がっている。思春期を宗教集団の厳しい規律の中で育ち、そこから抜け出し精神の解放を望みながらも、身体に埋め込まれた生き方が消えない青豆。父親の養育に不条理さを覚え、記憶の中だけの倒錯した母親像に救いを求める天吾。カルト教団のリーダーを親に持ち、10歳でそこを抜け出し、彼女の語った不思議な体験記が出版されベストセラーとなる深田絵里子。 連合赤軍以降、タブー視される政治思想の中でかえって先鋭化してく日本的な背景とともに、そもそも思想自体が内面化されやすいコミュニケーションの構造を持っていて、分散型ネットワークとなって1990年代から急速に進化した情報技術革新...
  • 阿修羅ガール
    阿修羅ガール 舞城王太郎 \1,400 新潮社 2003.1 これはある女子高生の悟りを描いたドラマのようだ。 出た。これが同情心と面倒臭いの綱引きだ。つーか私の同情心は弱すぎる。好きな男の子に対しても、面倒臭いが圧勝しそうになる。 この瞬間を自ら実況中継するし。 なんか心に穴開いた奴らがあ〜やべ〜何かに夢中んなりて〜ってきょろきょろまわり見て、何かよくわかんないけど一生懸命空やら十字架やら偶像やら拝んでる奴らを見つけて、あれ、なんか良さげ〜とか思って真似すんのが結局宗教の根本。 世の中を分かったように批判精神をぶつけるそんな自分をさらに批判的に見るし。 でもその手を動かしたのはコアな部分の私ではなくて私の中の私でない別の人格のような気がするし、逆にコアの私のやっ...
  • きょうのできごと
    きょうのできごと 河出文庫 柴崎友香 とても「なごんだ」。この感じは「癒し系」と言ってしまうほど簡単なものではないようだ。保坂和志の解説を読んでそんな気がした。けれど「なごみ」に向かわせる構造がどうのと分析できるほど小説を「分かって」いないし、むしろ「単純な感激」をもうちょっと「複雑な関心」にさせられる程度だった。 保坂さんの小説が「どう良いか」を説明する困難さにも通じていて、「そんな意味で」同列の作家ともなるのだろうか。だから解説している、とも納得できるし。「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」を読んだときの感想を見直してみると、やはり「どう良いか」を迷っている。 自分の中に幾つも響くシーンがあって、それら記憶の網を「ある組み合わせ」でもって引っぱり出してくれる作用を小説が持っているからではないか そんな風に...
  • 「伊東 豊雄」メモ書き
    「伊東 豊雄」メモ書き 伊東さんは、僕の学生時代で一番気になる建築家でした。 分厚い著作集の「風の変様体」を、なんだかよく分からないまま読んでいたのを思い出します。 ある一人の建築家へのこだわりは、逆に色んな人達をも教えられました。富永譲さんや、長谷川逸子さんなどの菊竹さん門下生達を知ったのも伊東さんからです。 90年頃ですから、ちょうど公共的な仕事へシフトしてきた頃です。それまで初期の作品など、なにか内向的な空間表現も伺えていましたが、なにより伊東さんが、学生の僕にうったえかけていたのは、その軽やかさでしょうか。 風の様に漂う建築、シュミレーション的、浮遊する建築。光と風の視覚化。なにか建築の存在そのものを否定するかの様なコンセプトをなげかけられ、それらは僕らの存在そのものを解放系へとさそう魅力にも感じられました。 小さい作品から、突然大きな...
  • 笹本晃「ストレンジ・アトラクターズ」
    笹本晃「ストレンジ・アトラクターズ」 Take Ninagawaにて 2010年12月18日より2011年1月29日まで 週末、東京タワー近くでパフォーマンス・インスタレーションを見てきた。笹本晃 「ストレンジ・アトラクターズ」 http //tinyurl.com/4kjfgg6 30㎡くらいの狭いスペースへ所せましと30人くらい入り、センターで自由に動き回るアーティスト。ぶつからないよう移動するギャラリー。 「はい、このドーナッツ食べて、真中からね」と実際にギャラリーへ食べさせる、「人間の99.9パーセントは凡人だ」などと話しながら壁に円を描き、ダンボールのドラムカンへ入り込む。そんな感じで40分程度。意味不明な行動と空間の過密さでなんとも言えない緊張感に満たされる。 机を転がす。全員で大移動。吊ってあるオブジェを解く。さらに移動、、。凡人の話は社会問題...
  • 欲望
    欲望 1967年度作品 112分 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 出演:バネッサ・レッドグレーブ なぜタイトルが「欲望」なのかよく分からない。BLOW-UPという原題は「写真の引き伸ばし」を意味するようだ。これだとすごく当たり前な気もする。とにかく独特なテンポと話の進み具合は興味深い。ロンドンのあの煉瓦づくしな風景は、目にいたいほどのコントラストでとらえられ、黄昏にただよう人気のない風景が多く、冒頭とラストに出てくる不可解なパントマイム集団によって、寂しさはますばかりだった。 欲望という言葉は主人公である写真家の「どん欲さ」に表れていて、その好奇心が物語の中心にある事件に巻き込まれる原因となる。ただその事件というのも、どこまでが現実だったのか、あるいはただの幻想なのかと思わせる不思議な結末へと導かれる。描かれた60年代のファッションは今見ると最前線の様にも写り、...
  • カミュなんて知らない
    カミュなんて知らない 監督 柳町光男 脚本 柳町光男 音楽 清水靖晃 出演 柏原収史、吉川ひなの、前田愛、中泉英雄 劇中劇というスタイルを使って、見る側へ映画というものを考えさせるという点で、高橋伴明監督の作品である『光の雨』を思い出した。 あちらが、立松和平の同名長編小説を映画化しようとする「今の時代」を生きる人々の物語であるのに対して、こちらは愛知県豊川市で実際に起きた老婆刺殺事件と、その犯人である男子高校生の証言を手がかりに、大学生たちが事件の映画化に取り組むというドラマ。 連合赤軍事件と、不条理殺人。どちらも若者の起こした事件が、大きな社会問題となったもの。それを若者が映画化し、その過程で苦悩したり、ぶつかったりする様をドキュメンタリーのように映し出す。どちらも似たような構成ではないか。 「...
  • プレーンソング
    プレーンソング 中央文庫 保坂和志 世の中には二通りの人間がいる。イヌ好きとネコ好き。もちろんどちらも好きな人、どちらも嫌いな人、いろいろ居ると思う。でも潜在的にどちらかに分けられる様な気もする。 僕はイヌ好きだ。だけど家で飼うイヌは好きではない。イヌは外に居る方がよい。たくましくて、毛足の短い日本犬がいい。柴犬とか。イヌとは、さっぱりとしたつき合いがよい。散歩以外はとくに可愛がったりもしない。けれど目が合えばいつもイヌのほうはシッポを振ってくれる。いじらしい。そこが好きだ。 ネコはあまり好きではない。眼がタテになるのが恐い。どう接して良いか分からない。おもむろに触れようとして、ひっかかれたときもある。気持ちが通じない。 この著者はネコ好きらしい。小説にネコが出てきた時点で、ちょっと引き気味になった。別にネコ好きな...
  • フィラメント
    フィラメント 2002日本 原案・監督・脚本・音 楽:辻仁成 出演:大沢たかお/井川遥/村上淳/森村泰昌/不二子/銀粉蝶/重松豊 すぐに見境のつかなくなるため「切れやすい電球」と呼ばれている主人公の今日太(大沢たかお)と、写真館を営み女装癖のある父親(森村泰昌)、ヤクザと離婚したバツイチで夢遊病癖の妹(井川遥)。今日太の母親はパチンコ屋で知り合った若い 男と駆け落ちしてもう十年になる。不良仲間とオヤジ狩りを続けていた今日太だが、最近は興味を失い、まともに働くよう心掛けてた。しかし、持ち前の切れやすい性格が災いし、何をやっても長続きがしない。 そんな今日太に次々と事件が襲いかかる。ヤクザから拳銃を奪い、酔っ払いのオヤジを射殺してしまった不良仲間の死。駆け落ちした男に棄てられ突然家に帰ってきた母親とそれを寛大に迎える篤次郎。そ...
  • プロトタイプ
    プロトタイプ imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 「設計思想の一貫性を支える条件」/奥山 信一さんの文章を読んで、思ったこと。 抽象的な議論から建築へアプローチするときに、敷地との折り合いの付け方をいったん保留にして、プログラムそのものへの、問題意識を探る事がある。常に与件からスタートする設計において、回答はすでに決まってしまったかの様な錯覚に陥ってしまう時もあるので。 だが抽象的な議論から、具体的なシーンを抽出する事は難しい。いつもその矛盾と飛躍とを不思議に思い、ふたつの距離感が気になる。抽象さのなかには、個別の建築を、都市計画まで拡張してしまう危険性がある。人の動きを、ゲームの駒の様に扱い、あたかも動線をぶつけ合う事が、新たな発見を促す最前の手段であるかの様な...
  • ツィゴイネルワイゼン
    ツィゴイネルワイゼン 監督:鈴木清順 プロデューサー:荒戸源次郎 脚本:田中陽造 撮影:永塚一栄 出演:原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、樹木希林 1980年に公開された鈴木清順監督作品。 ツィゴイネルワイゼンってこんな映画だったっけ?。ほとんど覚えていないことへ愕然としながら、昔見た時は単に前衛的な!、という括りでしたが、今見てみればとっても良く出来た作品なんだと。そして、なんて奇妙な映画なんだろうという興味は尽きなくって。とりあえず気になった所をメモ。 大谷直子がちぎるこんにゃくがあんなに量がおおかったこと、大楠道代はいつも何かを食べているシーンばかりで、最初に登場する藤田敏八との食事シーンでは、何を食べているのかよくわからないけれど、お椀のような食器がすごくたくさん並んでいること、そのあとの腐った桃を食べるシーンがなんともエロティックで...
  • 「空の穴」
    「空の穴」 2001年/35mm/カラー/127分 第10回PFFスカラシップ作品 第51回ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式招待 第30回ロッテルダム国際映画祭コンペティション部門正式招待 国際批評家連盟賞スペシャルメンション授与 監督/熊切和嘉 脚本/熊切和嘉、穐月彦 撮影/橋本清明 出演/寺島進、菊地百合子、澤田俊輔、権藤俊輔、外波山文明 心の交通? 寺島進演じる主人公は、恐らく一度も家を出たことが無く、閉じた狭い輪の中で生きてきたのだろう。それはいわゆる「ひきこもり」とは違って社会へ適応出来ていない訳ではなく、交通(他者との関わり合いをそう呼ぶとすると)を持とうとしていないだけだ。そしてそのような孤独感だけを見れば、世の中にはそれに共感出来る人がたくさんいるのかも知れない。ただそれでは物語としてありきたりなだけだ。この作品の面白い所は、誰しもが持つであ...
  • 無間道
    無間道 星野智幸・著 集英社刊 星野智幸の小説は一見すると近未来SFのような見え方をするけれど、読み終わるといつも僕らの現在を写した鏡を見るようで苦しい気分になる。 それは毎日のように報道されるあらゆる不祥事へ、まるで他人事のように腹を立てるよりも、今、自分は鏡を見ているのだと思って戦慄すべきである。そう言われているようで辛い。 以前文芸誌で読んだものを含む3つの中編だけれど、最初の「無間道」を読んだだけでかなり重い気分だ。2008-07-21/k.m
  • 俘虜記
    「なぜ自分は米兵を殺さなかったか」 大岡昇平 新潮文庫 629円 思えば「戦争小説」というものをほとんど読んだことはなかった。それは余り興味がなかったのと同時に、戦争という極限状態に参加し、その最前線で描かれるドラマへ、なにも共感を得られないだろうと諦めに近い感情をもってしまうからだった。空襲が背景にあった小説は幾つか読んだし、爆撃に打ちのめされて行き、街にうごめく人間の退廃的な姿への描写へは、深く心を奪われて来た。俘虜記がどうやら「いちれん」の戦争小説とは違うらしい、と言う読書人ならみんな知っているような批評を目にして、読んでみることにした。 冒頭の「捉まるまで」を読み、その余りにも緻密で分析的な文体へ、まったく新鮮な感覚を覚えた(どうやらこれも発売当時からの評判らしいが)。今までに読んだ小説とは明らかに違った文体で、どちらかと...
  • k.m
    サイトの管理人です 建築の設計をしています。色んなことへ目を向けていくうちにこんなサイトになりました。 日々思いついたことをウェブ上にノートしていくための場所です(パーソナルノートと名づけました)。なんだかんだと、個人サイトをはじめてもう10年になりますが、2008年より@Wiki(あっとうぃき)へ引越しました。2008-04-12/k.m メニューの「カテゴリー」からは、映画 、小説 、展示などの項目別にたどれます。 近況は、日記のようなものです。 最近Youtubeへの投稿もはじめました。お遊び映像ですが、ご覧ください。 ブログや日記って、皆さん後から読み直したりするのでしょうか!?。ちょっとした覚書や深く思うこと、レビュー的な長文やコメントのやり取りなど、いろんな位置づけがあると思います。ネット上のサーバーへ記録されたものなので、いつでも引き出して振り返...
  • 飽きる力
    飽きる力 生活人新書 河本 英夫 (著) 河本英夫さんはオートポイエーシス論で有名な方。その魅力的な響きへ惹き込まれ何度かチェレンジするものの、未だ難しくて理解できないオートポイエーシス。けれどこの新書を通じて少しだけ分かってきたような気がします。 これは悩ましい大人たちへの指南書なんだと思った。禅の思想にも近いような。難しい理論を展開する人が時々新書を通じて平明な言葉で、けれど決して要約するのではなく視点を少し変えて説明してくれる、そんな良書です。 無理な頑張りは続かない、努力したのに自分が疲弊してしまって、結果が出ない場合は責任まで取るはめにも、、。渦中にいない時だからこういった危険性に納得できる。一方で渦中に自覚してこそ効果大なのが「飽きる力」。難しいな。 「飽きるとは、次への選択のための隙間を拓き、異なる努力モードに気づくこと。」がむしゃら...
  • その街の今は
    その街の今は 柴崎友香 (著) 保坂和志がほめるから気になるけど、本当に近づいていく感じがする。けれど短いせいか「読んでいる時間のなかへ」存在する小説的なものが少ない。まだ『きょうのできごと』のほうが感じられたような。けれど今回は「都市の記憶」というか、環境あるいは物理的な街へ定着していった人々の行為やしぐさの断片とその集積。そんなことに力が入っていて、風景描写について注目させられた。最近の風景「写真」へ感じるリアリティと結びつくような、ないような。2006-11-07/k.m コメントをぜひ 名前 コメント ...
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