personal note内検索 / 「ジョエル・コーエン」で検索した結果

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  • ノーカントリー
    ノーカントリー 監督・脚本: ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 出演: トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウッディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド 陰影が強くて色彩の弱い冒頭の荒涼としたテキサス絵だけでかなり良かった。肝心なところを省略したようなカット(編集)で、どうなったんだろう思う箇所が多い。組織の構造も、殺し屋の背景もあまり描いていない、というか状況だけが続いて、それを俯瞰した視点がない。投影する対象を、追われている主人公だとすると、拍子抜けしてしまう。殺し屋のほうへ向き直ってみれば、なにやら内面が浮かんできそうだったが、すでにエンディング近くって戸惑った。といっても、面白いのは確かで、統一的な話の筋がないようなのは映画として逆に素直だと思った。2008-08-17/k.m
  • バーバー
    ... 監督・脚本:ジョエル・コーエン 製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー 製作・脚本:イーサン・コーエン 撮影:ロジャー・ディーキンズ 音楽:カーター・バーウェル 出演:ビリー・ボブ・ソーントン/フランシス・マクドーマンド/ジェームズ・ガンドルフィーニ/アダム・アレクシ=モール/マイケル・バダルコ/キャサリン・ボロウイッツ/リチャード・ジェンキンス 全体にとても抑えられたリズムと主人公の淡々とした人生とがとてもシンクロしている。なぜ床屋なのかと思うようなストーリーだが、なぜ床屋ではだめなのかを無効にしてしまう内容でもある。 義兄の経営する理髪店で働く床屋。彼が感じている空虚さはとても深いようで、その無口で思考停止された生活は虚しさをひた隠しにするためのささやかな抵抗か。妻との出会いや、子供のいないことや、...
  • ダンサー・イン・ザ・ダーク
    ダンサー・イン・ザ・ダーク 2000年・デンマーク・松竹=アスミック・エス 監督; ラース・フォン・トリアー 出演; ビョーク,カトリーヌ・ドヌーヴ,デヴィッド・モース,ピーター・ストーメア,ジャン=マルク・バール,ジョエル・グレイ 2時間20分 今年の初映画には、ダンサー・イン・ザ・ダークを見に行ってきました。 2000年カンヌ国際映画祭でパルムドール賞と主演女優賞を獲得した話題作です。 ラース・フォン・トリアー監督の「奇跡の海」も静かで感動的な作品でした。 デジタルビデオカメラで撮影されたという映像は、手ぶれが多く、ちょっと見るのに疲れることもありました。けれども、やがて映画へ入り込んでいくうちに、気にならなくなっていきましたが。 チェコからの移民で、ある資産家夫婦の庭に建つコンテナハウスを借り...
  • マトリックス レボリューションズ
    マトリックス レボリューションズ [監][総][脚]ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー [製]ジョエル・シルバー [出]キアヌ・リーブス ローレンス・フィッシュバーン キャリー=アン・モス [制作データ] 2003米/ワーナー [上映時間] 129分 ついに見た。だが、3週目とはいえけっこう空いていた。ミラノ座の巨大な空間は埋まらず、今時この大きさがつらいのが目立っていた。僕も1,2作と先行ロードショーを見ていたのに、今回はそれがなかったのもあり、やや熱の冷めた状態でのぞんだ。 案の定、この終わりへと向かった展開はどうにもパワーダウンという感じで、「終わらせる」ことの難しさをみたような気がした。 そもそもマトリックスの魅力は、人間味のない演出で、あのパーティーにでも行くような「おめ...
  • ダニエル・リベスキンド展
    ダニエル・リベスキンド展 −存在の6つの段階のための4つのユートピア− 建築が「場」に与える影響について思いがめぐる。ここしばらくの間、建築とは内部空間のことであるようにも考えてた。空間とはやはり内部であって、殻の内側を構想していく中で外部も出来上がっていくのが自然かと思っていた。 そしてクールハースが言っていたと思うが、「大きな建物はインテリアとエクステリアが別プロジェクトである」にも思考が開かれているような開放感があった。現代の東京がインテリア化されていくのを日々目撃していると、なおさらすべてが内部に思えてくる。 けれど今日オペラシティーで再び対峙したのは、建築が生み出すその外部空間だった。展示模型は、あたかも巨大な彫刻を思わせるような圧倒さでもってその場に存在していた。鑑賞者は模型と展示空間の隙間をぬって歩かねばならない。すれ違えないほど...
  • スペイン-ポルトガルを探る場所-映画編
    imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 まだ行ったことのない国を旅行する際、いきなりガイドブックのたぐいを見てしまうと、細かく配置されたイメージの洪水へお腹いっぱいになってしまう。自分はむしろ活字から入ることで、記憶に残っているイメージを頼りに膨らませていくほうが自然なようだ。 映画はイメージの洪水にはならない。スペイン、ポルトガルには素晴らしい映画がたくさんある。けれどまとめて見るにはそれなりのテンションを必要とするものばかりだ。映画や文学はラテンアメリカのそれと切り離せないのも特徴だ。そこには両者の関係の複雑さが象徴されている。 もっとも、まず現地へ行き興味を持つことで、その後調べたりする。何度も気軽に行ける生活を手に入れていればそれでもよいのだけど・・。そんな貧乏根性...
  • 見えない嘘
    見えない嘘 本年度カンヌ映画祭コンペ部門出品作 2002年/125分(フランス公開:02年8月21日) 監督:ニコール・ガルシア 出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラルディン・ペリャス、エマニュエル・ドゥヴォス ニコール・ガルシアという女性監督の作品。実話を題材にした原作を映画化。18年に渡り、自分は医師であると友人や家族を欺き、嘘を積み重ね、その発覚を怖れて両親、妻、子供二人までの殺した男。そんなちょっと信じられない話。 映画は18年間嘘をついて来た男の殺害に至る最後の数年を描いている。なぜ18年も騙せたのだろうか、いくら何でも無理がある。劇中その男は朝子供を送って、WHOという偽った仕事場へとりあえず足を運び、ただホールで新聞を読んだり、公開会議を傍聴したり時間を潰す。そして夕方自宅へ帰り、疲れたふりをしつつも家族をいたわる。そこには優しくて芯の強い一人の...
  • 建築
    今までに取り上げた建築リスト 3.11以降 BIMについて・その1 BIMについて・その2 NYC旅行+写真 U-35のポテンシャル 「せんだい」 「プログレス」 「伊東 豊雄」メモ書き 「小さな家」の気づき この先の建築 つくることの楽しさ、またその思考 にほんの建築家伊東豊雄・観察記 イタリア旅行記 イタリア旅行記/2000年12月23日 イタリア旅行記/2000年12月24日 イタリア旅行記/2000年12月25日 イタリア旅行記/2000年12月26日 イタリア旅行記/2000年12月27日 イタリア旅行記/2000年12月28日 オランダ建築 カオスな東京 クリエイターズ グルーヴィジョンズ特集 ケ・ブランリー美術館 コミュニケーション コンペ コールハースは語る ジャン・ヌーベル展 スティーヴン・ホール展 スペイン-ポルトガルを探る場所-書物編 セキュリティ社会...
  • 最近のノート
    random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 今までに取り上げた建築リスト 3.11以降 BIMについて・その1 BIMについて・その2 NYC旅行+写真 U-35のポテンシャル 「せんだい」 「プログレス」 「伊東 豊雄」メモ書き 「小さな家」の気づき この先の建築 つくることの楽しさ、またその思考 にほんの建築家伊東豊雄・観察記 イタリア旅行記 イタリア旅行記/2000年12月23日 イタリア旅行記/2000年12月24日 イタリア旅行記/2000年12月25日 イタリア旅行記/2000年12月26日 イタリア旅行記/2000年12月27日 イタリア旅行記/2000年12月28日 オランダ建築 カオスな東京 クリエイターズ グルーヴィジョンズ特集 ケ・ブランリー美術館 コミュニケーション...
  • キル・ビル
    キル・ビル 製作・監督・脚本:クエンティン・タランティーノ 製作:ローレンス・ベンダー アクション・コーディネーター:ユエン・ウーピン「マトリックス」 美術:種田陽平「スワロウテイル」 アニメーション:プロダクションIG「攻殻機動隊」 撮影監督:ロバート・リチャードソン 出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、デビッド・キャラダイン、千葉真一、栗山千明 制作データ:2003米/ギャガ=ヒューマックス 上映時間:113分・R-15 「刀は疲れ知らず。あんたも少し力が残っているといいけどね」(ルーシー・リュー) いやー。またすごい映画を。タランティーノ監督はやってくれた。正直あまり期待せずにいたのだけど(その割には公開日初日に見ることは決めていた)、かえってそれが...
  • 家路
    家路 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演者:ミシェル・ピコリ 、カトリーヌ・ドヌーヴ 、ジョン・マルコビッチ 冒頭、劇中演じる主人公の芝居のシーンが20分くらい続く。ただすでに違うドラマがはじまっていることを匂わせている。画面が捉えている「絵」とは違うところで進んでいくシーンの多い映画だ。靴を映しながら主人公とその友人が語り続けたり、芝居を見つめる監督の姿を映しながら、背景でセリフが続いたり。 今起こっている出来事を、同時に一歩手前で客観的に見ることを強いる画面。映画という時点で既に客観的でもあるのだろうが、見ている側は入り込んでしまうために、それがフィクションであることを意識の奥へ追いやってしまう。 けれど、結果的に違う絵を写し出されてしまったため、正面を向いている以上に気にな...
  • ボウリング・フォー・コロンバイン
    ボウリング・フォー・コロンバイン 2002カナダ 監督・脚本・出演:マイケル・ムーア 製作:ウォルフラム・ティッチー 製作:チャールズ・ビショップ/ジム・チャルネッキ/マイケル・ドノバン/キャサリン・グリン 出演:マリリン・マンソン/チャールトン・ヘストン/マット・ストーン/ジョージ・W・ブッシュ 全米を震撼させたというコロンバイン高校銃乱射事件。その1時間前にアメリカはコソボへの大爆撃を行った。9・11後、国内の社会問題はほとんどがうやむやのまま軍事費増大の右傾化へ向かう。アメリカのこの状況に疑問や危機感を抱く世界中の声があふれている。 この映画の登場はタイミング的にもすばらしかった。マイケル・ムーアはアメリカ銃社会を皮肉に、そして批判的に、時に大爆笑させるギャグとして描く。大笑いしたあと、心のスキマにグ...
  • カフカの「城」
    カフカの「城」 Das Schloss 1997  オーストリア / ドイツ 監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ     原作 フランツ・カフカ 出演 ウルリッヒ・ミューエ / スザンヌ・ロタール / フランク・ギーリング ほか 原作は昔半分くらいで読むのをやめてしまっていて、そもそもが未完の小説なのに・・。行政のシステムというか、関わっている本人たちも分からない部分で事実は湾曲していて、手続きのみが目的化されていき、本末転倒なことばかりなのに、役人たちは一向にかまわない感じで。 現実を色濃く反映させた寓話のように、冷たい表情が恐ろしくリアルに迫ってくるという意味では、他のハネケ作品にも通じる面白さだ。 わずかなセットと、何度も歩く吹雪のシーン。映像には引いたカットが少なく、周辺が見渡せない閉塞感は、迷宮っぽさをとても表現していた。見えない外部の大きさ...
  • 僕と未来とブエノスアイレス
    僕と未来とブエノスアイレス 監督:ダニエル・ブルマン 出演:ダニエル・エンドレール、アドリアーナ・アイゼンベルグ 2003年/アルゼンチン、フランス、イタリア、スペイン合作映画 移民の国アルゼンチン。日系人は2万人くらいいるようだ。首都ブエノスアイレスは、1914年で中心部の60%以上が外国人で占められたほどとか。南米のパリってのもよく聞く。いつか行ってみたい。そんな街が舞台。けれどこの映画ではヌーベルバーグのパリように、かなり断片的な映像でしか街は捉えられていなかった。 ガレリアという小さな商店街で繰り広げられる群像劇。ハンディカメラの手ぶれがとても気になる映像だけど、だんだん慣れる。ポール・ハギスの『クラッシュ』が多民族アメリカ社会の殺伐とした冷戦を描くヒステリー映画だったのに対して、こちらはとてもアットホームだ。 様々なエスニシティ間を素朴な付き合いが...
  • ゴーストワールド
    ゴーストワールド 監督:テリー・ツワイゴフ 脚色:ダニエル・クロウズ、テリー・ツワイゴフ 原作コミック:ダニエル・クロウズ(presspop gallery刊) 製作:ジョン・マルコヴィッチ、ラッセル・スミス、リアン・ハルフォン 出演:ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンスン、スティーヴ・ブシェミ、ブラッド・レンフロ、イリーナ・ダグラス他 2001年/アメリカ/1時間51分/配給:アスミック・エース このタイトルの意味がよく分からなかった。見終わって思うのは、「幽霊→存在しない世界」という、主人公の世の中を見る眼差しを表しているのかも知れないということ。 ビンセント・ギャロ監督の「バッファロー’66」という映画を思い出した。笑えるけど悲しい話だった。二つの映画に共通したものは「郊外」というイメージだ。この場...
  • ロンドン・パリ旅行記/2000年1月30日-ロンドン→パリ移動日
    2000年1月30日-ロンドン→パリ移動日 今日は移動日、そしてそれはロンドンで最後の目玉である、ウォータールー国際駅の見学でもある。空港に匹敵する程の規模を持ちながら、都心に位置する駅。ヨーロッパ随一の利用客をカバーする、ヴィクトリア時代の旧駅への増築であるこの建物。見所はまさに、ダイナミックな新旧の接点ではないだろうか。ユーロスター改札口に面したその空間は、保存すべき偉大な建築と、それに負けないアイデンティティを持って、過去から現代へと繋ぐ空間のコラボレーションを見るかのようで、とても感動的だった。 すばらしいガラスの上屋を持つ旧駅。雑誌でみた上空からのウォータールー国際駅は、その旧駅に追いやられているかのような、狭い敷地に見えた。しかし、アーチ状でながく敷地なりにうねったガラス屋根は、昨夜バスから見た夜景の迫力と共に今だに頭へ鮮明に残っている。30メートル以上...
  • 隠された記憶
    隠された記憶 監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ 監督のミヒャエル・ハネケは、1942年ドイツ、ミュンヘン生まれ。オーストリアのウィーン大学在学中には哲学、心理学、演劇を学ぶ。カンヌ国際映画祭にとても強い監督。『ベニーズ ビデオ』は衝撃だった。 オープニングもそうだけど、それが「監視された映像」だというのは、与えられた文脈であって、映像からはうかがえない。その事実を巧みに利用して見る側を惑わせる映画だ。 それは人物間の内面を繊細に描くとか、ストーリーの緻密さで惹きつけるとか、いわゆるサスペンス映画とは違った魅力だ。アルジェリアとフランス、中産階級と移民。パリ暴動など最近でも話題なだけに、この地域の抱える困難について、「監視された視線」はとても考えさせる映像だと思う。 映画...
  • 近況
    過去の近況 2003/6月 2003/7月 2003/8月 2003/9月 2003/10月 2003/12月 2003/11月 2004/1-3月 2004/4-6月 2004/7-12月 2005/2-1月 2006/4-7月 2006/8-1月 2008/3-12月 2016-01-05 久しぶりにログインした。実に3年近くも、、。 2013-07-23 平和憲法や慰安婦などのベーシックな問題点解説とか、政治家と政策の模式図を選挙期間だけでなく常に取り扱う、ちゃんと視聴率の取れる情報番組が欲しいなと。それにはネットとTVのさらなる戦略的な連携も必要で、政治を良くわからないブラックホールとしない...
  • アンダー・コンストラクション−アジア美術の新世代
    アンダー・コンストラクション−アジア美術の新世代 国際交流基金設立30周年記念事業 日本ASEAN交流年2003 オペラシティーのダニエル・リベスキンド展を見に行った「ついで」のつもりが、よっぽど興奮した。昨年の「JAM:Tokyo−London」展といい、NTT-ICCよりもコチラのギャラリーのほうが活気があるようだ。 アジア7ヶ国から参加した43組のアーティストのうち半数以上が来日し、夜遅くまで続く展示作業でギャラリー内は文字通り「アンダー・コンストラクション(工事中)」といった様子。 アンダー・コンストラクションというタイトルには色んな思いが詰まっていそうだが、建築的な響きなので勝手に共感。特に興味を惹いたものを箇条書きに・・。 小沢 剛/日本 各国で若い女性に「野菜の銃」を持った姿を撮影した後、それら...
  • トーク・トゥー・ハー
    トーク・トゥー・ハー 監督:ペドロ・アルモドバル 出演:レオノール・ワトリング/ハビエル・カマラ/ジェラルディン・チャップリン/パス・ベガ、ピナ・バウシュ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ 『オール・アバウト・マイ・マザー』もよかったが、こちらもシブくてクールな作品。 この映画に流れているエッセンスは、どこか仏教的なもののようでもある。それは、固定した実体ではないというあの「空」を思わせる。すべての事物や現象は、ほかの事物や現象が原因となって、そこに何らかの条件が働いた結果として成立しているのであって、決してそのものだけで独立しているのではない。相対的な存在として世界を認識していく方法だ。 それは宗教の世界だけでなく、普通に生活を送っていく上でベースになっているような考えでもある。前半部分ではむ...
  • 東京・ドバイ・ラゴス
    東京・ドバイ・ラゴス Inter Communication 2007年summer 東京スキャニング 「今、東京は浮き足立っている」という言葉からはじまる特集。先日ドイツへ行き、ベルリンは浮ついていると思っていた矢先に足元をすくわれた感じ。建築家が都市を語らない、語れなくなって数十年。現在、東京を語ることは都市を語ることになるのだろうか。 意外と売れている『東京から考える』からそうだけど、東浩紀はいわゆるファスト風土として批判されている部分に目を向けている。もちろん、下北沢や吉祥寺の古きよき部分を取り上げて東京を語るだけではもう限界だ。タワーマンションの乱立する巨大都市を今、ある環境として正面にとらえていく視点には共感。 対談以降の紙面で続く特集はどれも高度というかよく分からないシステムのお話で、最近...
  • 展示
    今までに取り上げた展示リスト 「サウンディング・スペース─9つの音響空間」 「ワラッテイイトモ、」 「冒険王・横尾忠則」展 「屋上庭園」展 おたく:人格=空間=都市 アンダー・コンストラクション−アジア美術の新世代 アンリ・カルティエ=ブレッソン アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち アート・リテラシー入門 ガール!ガール!ガール! ゲルハルト・リヒター展 サイト・グラフィックス展 サイレント・ボイス シルバーウィークにアレコレ・感想4つ シンガポールビエンナーレ2011 ジャン・ヌーベル展 スーパーフラット ダイアログ・イン・ザ・ダーク ダニエル・リベスキンド展 テクノ・ランドスケープ テレビ朝日を見学 トレース・エレメンツ ノマディック美術館 パワー・オブ・シティ展 ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー マリオ・ジャコメッリ展 ルノワール+ルノワール ヴェル...
  • ポルトについて
    ポルトについて-2006 起伏の多いこじんまりとした街だった。河と海に向かって傾斜している。一見するとどちらも眺めの良い風景なんだけど、川沿いは貧困層、海沿いは裕福層といった住み分けがあるようだ。 ホテルで朝食をとった後、川沿いまで歩いて見たが確かに水へ近づくほど落書きやら廃墟が増えていた。そんな街に住むアルヴァロ・シザの作品群は、ヴァナキュラーというか土地の文脈にしたがった心地よい建築ばかりだった。 一方レム・コールハースのカサ・ダ・ムジカは異彩を放った建ち方という予想だったが、実際に行って見ればそれほど唐突感はなかった。ランドスケープへまったく植栽を入れていない。 それは隣のロトンダ・ダ・ボアヴィスタという由緒ある公園とひと続きにすることで違和感もない。大きなベースを確保したため、隕石のよう(と一般に言われている)に転がっている姿も...
  • デカメロン
    デカメロン 監督・脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 原作:ジョヴァンニ・ボッカチオ 出演:フランコ・チッティ、ニネット・ダヴォリ、アンジェラ・ルーチェ 1970年/イタリア映画 ドストエフスキー以後、文学者がキリストに向かうにはドスト氏を避けて通れないという意味では、確かにパゾリーニの作品にはドスト氏の影響は大きく深いものがあると思います。が、わたしは、ドストエフスキー文学のもうひとつの特徴である「青年の問題」、すなわち、若い世代が混乱の同時代に深くコミットして悲劇的な物語を辿る、そのモチーフもパゾリーニ作品に色濃いような気もしています。(リンク元) デカメロンをみる。 中世の作家ボッカッチョの有名な小説を原作にした7つの物語に、パゾリーニ自身が出演するエピソードを含む2つのオリジナルの挿話を加えた、9つの話...
  • ピアニスト
    ピアニスト 仏=オーストリア/ヘラルド 監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ 製作:ミヒャエル・カッツ/イヴォン・クレン 原作:エルフリーデ・イェリネク 撮影:クリスティアン・ベアガー 出演:イザベル・ユペール/ブノワ・マジメル/アニー・ジラルド/アンナ・ジーガレヴィッチ/スザンネ・ローター/ウド・ザーメル 昨年のカンヌでグランプリと主演女優・男優賞を獲得した注目作。中年に差し掛かった今も母親に束縛されるピアノ教授のエリカが主人公。ピアノ演奏が流れる中、屈折した主人公の変質的な愛を痛切に描いています。 前回「ぴあ」のPFFで観た「ベニーズ ビデオ 」はインパクトがあった。ただ、物語の内容というよりも、主人公の行動から見えてくる監督の「人間」に対する冷徹な眼差しに衝撃的なものを感じた。黒沢清の作品に出...
  • ディパーテッド
    ディパーテッド 監督 マーティン・スコセッシ 出演者 レオナルド・ディカプリオ 、 マット・デイモン 、 ジャック・ニコルソン リメイクだけど紛れもないアメリカ映画という感じでよかった。スコセッシはここ数年あまりぱっとしない作品が多かったように思うけどこれは傑作では。 見ているこちら側は2人の「ネズミ」へ同時に感情移入する。正義とか地位とか、すがるものをウリにして身を削り、「裏切り」を武器にしながら同時にそれへ襲われる2人はまるで鏡のようだ。 工作員がミッションを終えても懐疑心から普通の生活に後戻りできないように、はじめからハッピーエンドが約束されていない任務には宿命へ翻弄されるドラマがある。どのように崩壊していくかを描くことは、マーティン・スコセッシの得意部分かと思った。2007-07-01/k.m コメントを...
  • ベニーズ ビデオ
    ベニーズ ビデオ 監督:ミヒャエル・ハネケ 1992年/オーストリア/35ミリ/105分/カラー 監督のミヒャエル・ハネケは、1942年ドイツ、ミュンヘン生まれ。オーストリアのウィーン大学在学中には哲学、心理学、演劇を学ぶ。卒業後はドイツのテレビ局で脚本家として活躍。1970年にテレビドラマを初監督、同時に舞台監督としても多くの作品を演出。最新作『ピアニスト』は今年のカンヌ国際映画祭で、グランプリはじめ3賞を受賞。ウィーン在住の巨匠。 東京フォーラムでの上映。ここで映画を観るのは初めて。ストーリーだけ言うと、とても衝撃的である。惨殺映像に惹かれる少年が実際に知り合った少女を殺してしまう。これだけでも十分に怖い。ありそうだというリアリティーが余計に恐怖をさそう。この作品は10年くらいまえのものだ。当時のオーストリアの状況は分からないが...
  • あの子を探して
    あの子を探して 監 督:チャン・イーモウ 撮 影:ホウ・ヨン 美 術:ツァオ・ジュウピン 脚 本:シー・シアンション CAST:ウェイ・ミンジ、チャン・ホエクー、チャン・ジェンダ、カオ・エンマン 映画の中で中国は年間に100万人の児童が貧困で退学し、その15%は周囲の協力で復学出来るのだと言う。この物語はそんな生徒と先生を描いている。 先生も貧困なら生徒も貧しく、村全体の問題として住む者達全ての現状でもあった。これは一見すると貧困の差が見えない状況でもあり、生徒が出稼ぎに都会へ行くことによって相対的に浮かび上がってもくるのだった。同じ国とは思えない状況の一断面を明らかにさせ、広大な国がかかえる避けることの出来ない問題を訴えているかのようだ。 美しい自然の中で伸びやかに生きる子供達は、そんな貧困を悲劇...
  • ブロンド少女は過激に美しく
    ブロンド少女は過激に美しく 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 原作:エサ・デ・ケイロス『ブロンド少女の異様さ』 出演:リカルド・トレパ、カタリナ・ヴァレンシュタイン ポルトガル・フランス・スペイン映画 64分 なんでしょう、この見終わって心がざわざわする感じ、映画館を出て、空調で冷えたからだへなまぬるい風が心地よく当たり、節電で暗いビルの谷間へスターバックスが見えて、誰かとこの映画について語り合いたいような人恋しい気分になりつつ。 1時間ちょっとの短い作品。冒頭の電車の中で切符を切るシーンでいきなり5分くらい?の長回し。見ているこちらがハラハラしちゃうような時間の使い方、100歳超えの監督にはコワイものありません的なオーラで。 リスボンから郊外へ向かう列車。男は隣席に座った見ず知らずの女性へ身の上話を始める。伯父の店の2階で働いていた男は、道を挟んだ...
  • 映画
    今までに取り上げた映画リスト EUREKA HERO LOFTロフト Laundry M-I-2 ONEPIECE秋コレクション TOKYOEYES Vフォー・ヴェンデッタ WALKABOUT美しき冒険旅行 「π」 「空の穴」 「鏡」アンドレイ・タルコフスキー映画祭 あの子を探して ある子供 ある朝スウプは いたいふたり うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー きょうのできごと(映画) こわれゆく女 たみおのしあわせ どんてん生活 の・ようなもの ひかりのまち ぼくを葬る まぼろし めぐりあう時間たち ゆれる アイズ・ワイド・シャット アカルイミライ アダプテーション アフタースクール アメリカ、家族のいる風景 アメリカの影 アモーレスペロス アレックス イノセンス インサイドマン インテリア イヴォンヌの香り イーオン・フラックス イージー★ライダー ウルトラヴァイオレ...
  • シルバーウィークにアレコレ・感想4つ
    シルバーウィークにアレコレ・感想4つ 1■「環境展 -絶景-」 アーティスト:大巻伸嗣 会場:トーキョーワンダーサイト・渋谷 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ここは良く行くギャラリーで、いつも面白い展示をしていますが、今回はかなり驚きました。「ゴミとは何か?」をテーマに約1年間ゴミに関するリサーチを重ねてきたアーティストの大巻伸嗣さんが、ゴミを燃やした後に残る人工物「スラグ」を用いた巨大インスタレーションを行っています。明らかに場違いなというか、ここにあってはいけないモノとしての異物感がスゴイです。中2階へのせたスラグの量(恐らく見えない部分はスチロールだと思いますが)も迫力ありますが、水を張った展示もインパクトあります。この異物感は、環境を破壊させてい...
  • スクール・オブ・ロック
    スクール・オブ・ロック 監督:リチャード・リンクレイター 製作:スティーヴ・ニコライデス/スコット・アヴァーサノ 製作:スコット・ルーディン 出演:ジャック・ブラック/ジョーン・キューザック/サラ・シルヴァーマン/ジョーイ・ゲイドス・ジュニア/ケヴィン・クラーク/ロバート・ツァイ 2003米/UIP SPA!の映画評で中原昌也がいつになく自虐ネタも入れずに褒めちぎっていた作品だったので、ずっと気になっていた。なんとか新宿武蔵野館にて見ることが出来た。予想以上に素晴らしい作品だった。はじめから終わりまで笑いっぱなしで、最後には泣けてしまう。まさにこれぞエンターテイメントだ。素晴らしい。 リチャード・リンクレイターの作品はまだ3つしか見ていないがどれも面白かった。その緻密な演出力は初のメジャー作品においても確実...
  • ミツバチのささやき
    ミツバチのささやき 監督:ビクトル・エリセ 脚本:アンヘル・フェルナンデス & ビクトル・エリセ 出演:アナ・トレント イサベル・テリェリアフェルナンド・フェルナン・ゴメス テレサ・ギンペラ スペインの監督、ビクトル・エリセの長編第1作。 繊細で神秘的な映像美で描かれた、幼くてまだ空想と現実の区別が付かない少女の世界。 その評価はとても高く、映画関連の本でもよく名前は聞いていた作品。 評論家・蓮實重彦によると、1950年代は映画が崩壊の兆しを見せ始めた時代であった。そして1973年は映画の崩壊を当然のこととして受け止めていた中から、なお映画を作ろうとする意志を自分へ課した人たちが、世界の各地へ現れてきた時代。 73年という年は、この映画が出来た年だ。蓮實さんは『ミツバチのささやき』を、まさに73年という表現の、象徴的な存在...
  • LOFTロフト
    LOFT ロフト 監督 : 黒沢清 出演 : 中谷美紀 豊川悦司 西島秀俊 安達祐実 鈴木砂羽 加藤晴彦 大杉漣 久しぶりの黒沢映画。しかも劇場で見る。そんな場面でメガネを忘れた。最近多いこの忘れ物。仕方なく一番前で見た。確かにプロジェクターを上回るにはこの手段が一番わかりやすい。新宿テアトルはそれほど首いたくならなかったし。 最終の7時スタート。半分も埋まっていない。都内2箇所くらい。これが黒沢評価だ。きっと勤め先で名前上げても何人も反応しないだろう。感想も言い合えないむなしい関係。阿部も中原も保坂も知らない(小説だけど)。そんな中で「何か映画みました?」、って聞かれても・・。 観終わって。確かにメジャー作品にはなれないなぁ。素直に「面白い」って言いにくいし。『カリスマ』以降、その継続るす思い切りの良さはスゴイの...
  • ヴァージン・スーサイズ
    コミュニケーションの断絶と監禁された女の子 監督・脚本:ソフィア・コッポラ 製作:フランシス・フォード・コッポラ、ジュリー・コスタンゾ、ダン・ハルステッド、クリス・ハンレイ 出演:キルステン・ダンスト、ハンナ・ハル、チェルシュ・スウェイン、A・J・クック、レスリー・ヘイマン、ジョシュ・ハートネット、ジェームズ・ウッズ、キャサリン・ターナー、ダニー・デビート、スコット・グレン、マイケル・パレ 99年アメリカ作品1時間38分 昨日見た「ロスト・イン・トランスレーション」が気になった。なのでソフィア・コッポラのデビュー作を見ることにした。5人姉妹が皆自殺してしまうという凄まじい話。結構話題になっていたような。「ロスト・・」と同様に女の子が(半ば監禁された)部屋の中から外を眺めているシーンが多い。 ソフィア・コッポラは2作において...
  • ブギーナイツ
    ブギーナイツ 監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン 製作:ロイド・レビン、ジョン・ライアンズ、ポール・トーマス・アンダーソン、ジョアン・セラー 製作総指揮:ローレンス・ゴードン 撮影:ロバート・エルスウィット 美術:ボブ・ジンビッキ 衣装:マーク・ブリッジズ 音楽:マイケル・ペン 音楽監修:カリン・ラットマン 出演:マーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、ウィリアム・H・メイシー、ジョン・C・ライリー、フィリップ・シーモア・ホフマン PTA監督作品の面白さは、格好良い笑い。これはスタイリッシュであることが、そのまま笑いにつながっていくという、緊張感を伴う完成度を示す。冒頭の曲の入り方や、長回しのカメラが追うシークエンスはどれもキマっていて、ちょうどそれは...
  • スリ
    スリ 監督:ロベール・ブレッソン 出演:マルタン・ラサール、マリカ・グリーン、ピエール・レーマリー 1959年/74分/35mm/白黒 ストイックなスタイル、装飾を排したフォルマリズムとして認識されているロベール・ベッソンの作品。今回はじめて見た。さらに要素を切り詰めた作家としてジャン=ストローブとその妻ダニエル・ユイレの作品も上がるが、こちらも未見。タイトルもシンプルなら演出も素っ気無い。 どこかで聞いたことある話だと思えば「罪と罰」だった。そう見れば途端にチープにも感じてしまう。なぜならプロットだけ抽出したようにも見えてしまうから。映画を活劇として見るか、芸術として見るか好みの問題はあるけど、前者を省いて後者はありえないと思う。だとすればやはりこの映画での見所はスリの場面に凝縮されているのではないか。 主人公の...
  • ベルリンを舞台にした映画
    ベルリンを舞台にした映画 ベルリン、僕らの革命 監督: ハンス・ワインガルトナー 出演: ダニエル・ブリュール, ジュリア・ジェンチ レボリューション 6 監督: グレゴー・シュニッツラー 出演: ティル・シュヴァイガー, セバスチャン・ブロムベルグ ベルリンを舞台にした映画をさがして2本見た。どちらも以前借りようと思いつつ見送っていたものだった。偶然なのか2本とも同じような内容で、ここから現代のドイツが抱えている問題なんかも見てしまってよいのだろうか。 「贅沢は敵だ」と、資本主義やグローバリゼーションを批判する若者達の青春ドラマ。そのテイストでどちらもまとめられている。青春映画だから清々しさとほろ苦さが中心にあるのだけど、消費社会批判も真面目に構築されている。...
  • ロスト・イン・トランスレーション
    執拗に描きだすソフィア・コッポラ [2003米/東北新社] [監督][製作][脚本]ソフィア・コッポラ [製作]フランシス・フォード・コッポラ/フレッド・ロス [製作]ロス・カッツ [撮影]ランス・アコード [出演]ビル・マーレイ/スカーレット・ヨハンソン/ジョバンニ・リビシ/アンナ・ファリス/林文浩 もう来週で終わる時期なのに、新宿武蔵野館は満席だった。 ソフィア・コッポラの作品をはじめて観た。とても好みな作品だった。あらかじめ阿部和重の「映画覚書」で彼の批評を読んでしまったのでかなりの部分で見方が出来上がってしまったが、それはかえってよかった。阿部はソフィア・コッポラの映画的主題としてデビュー作同様に、一種の「引きこもり状況を描いている」ことを上げていた。 自分のなかでスカーレット・ヨハンソンの...
  • アメリカ、家族のいる風景
    アメリカ、家族のいる風景 監督・原案:ヴィム・ヴェンダース 脚本・原案:サム・シェパード 出演:サム・シェパード、ジェシカ・ラング、ティム・ロス、ガブリエル・マン、サラ・ポーリー 人間は大地の上をひたすら車で走っていて、荒野の中へ小さくある賑わいが街で、何かへ動かされるままに失踪したり再開したり、そしてぶつかり合ったりするのがまた人間なんだということ。 この映画に描かれている全てへ「ロードムービー」はみなぎっていて、それは人生を旅にたとえるとか移動の中へ心の葛藤を見るとかの「抽象さ」ではなくって、動くもの、あるいは「動かなさ」の視覚的な確認であり、フレームへ納まったままのアメリカを受け入れる行為なんだということ。 そんなニュアンスを見終わってから感じた。つまりストーリーとか物語などの前に、全体として心を動かされる映...
  • :近況-2006-4-2006-7
    2006-07-22 下北沢で久しぶりに飲んだ。いつ来ても和める街だ。渋谷のようにオジサンがいないからだろうか。自分はオジサンにはならないという変な自信があるのだけど、そういう私を若い人はオジサンだと思うかもしれない。下北沢は、そんな気分だけの自称を問わない若者ばかりが集まっている街だと思う。2件目のバーは狭くてものがぎっしり詰まった「らしい」場所。80年代のミュージック・ビデオをノンストップで流していた。 2006-07-21 某・デザイン業務コンペの2時審査。正直こんな規模のがきたらどの様に動かしていくのか不安。もはや広告代理店のような役目であって、建築家のする仕事なのだろうかとも疑問。けれどモノをコツコツ作っていくことだけが建築的な思考でなくなっていることは、自分の仕事暦を見てもあきらか。そこを立脚点とすることが生き残っていく術でもあるのだろう。その話になると建築家という存...
  • 海を飛ぶ夢
    海を飛ぶ夢 監督: アレハンドロ・アメナーバル 出演: ハビエル・バルデム, ベレン・ルエダ ここ数年日本を支配している「泣き」・「感動」ストーリーものとして括ってしまう映画なのだろうか。そうでないとすれば、どこが違うのだろうか。初めから死を予告された話であることは多くのブーム映画と同じだ。けれど尊厳死というテーマを扱っていることから明確なように、死にたいして「泣き」や「感動」でもって了解することをむしろ拒むような映画だ。 人が一人死んで行くことへ感情移入して泣くことはとても簡単なことに思える。けれどそこだけに映画の表現すべてが入ってしまったような消化のされかたでは、余りにも安易だ。自殺にたいして付きまとう宗教観や、尊厳死というテーマについて考えなければならない問題へ向き合うキッカケとしてこの映画は存在してもいる。 そう考...
  • バベル
    バベル 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ 出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、 ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子 モロッコの場面、冒頭から何か息苦しさがあり銃を受け渡されてそれをもてあそぶ兄弟の危なっかしさ。彼らにはどこか殺伐とした空気があって、それは思春期特有のものかも知れないが、銃を持っているせいか断絶感が漂っていた。 一方でブラッド・ピットら演じるアメリカ人夫婦は行き詰っていて、旅行中なのにくつろぐ気配もない。さらに舞台が日本へうつり菊地凛子演じる女子高生(無理あり)で息苦しさは頂点に達しそうだった。心に響く切ない音楽、広大で荒涼とした大地。コミュニケーション不全に溺れる夫婦、そして女子高生。 不全と息苦しさはこの後も続き、様々な場面で展開される。そして不法労働者の乳児が子供を連...
  • アモーレスペロス
    アモーレスペロス 監督・製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:エミリオ・エチェバリア/ガエル・ガルシア・ベルナル/ゴヤ・トレド/アルバロ・ゲレロ 脚本:ギジェルモ・アリアガ・ホルダン 音楽:グスターボ・サンタオラヤ 3つの話が巧みに交錯し循環していた。マケドニアとロンドンを移動しながら3つの物語が連続した「ビフォア・ザ・レイン」を思い出した。あの映画も素晴らしい!。 メキシコシティーの映像にはなぜか哀愁が満ちていた。音楽と映像との絶妙な融合といい、テンポといい、これがデビュー作だなんて、なんともすごい監督だと思った。 めぐっていく話はどれも切ない。そして人間の野蛮さ残酷さ、どん欲なまでの生きる力とが合わさった、壮大な映画だった。壮大というのは「長い」ということでもある。物語のボ...
  • カルチュラル・スタディーズ
    カルチュラル・スタディーズ カルチュラル・スタディーズ入門 ちくま新書 261 上野俊哉・毛利嘉孝著 740円 2000.9 実践カルチュラル・スタディーズ ちくま新書 345 上野俊哉・毛利嘉孝著 740円 2002.5 ナショナリズムを考えるとき、それが遠い世界の話として身近に感じられないもどかしさがある。以前読んだ「アメリカ政治の現場から」(渡辺将人)では、移民社会での政治状況がいかにアクチュアルにそれらの問題と対峙させられているかを物語っていた。黙っていれば特にマジョリティーの立場を脅かされない日本人である自分が、積極的に介入させられる時代が何れ訪れるのかの脅威すらない。 そんな中この著者は・・「何か楽しいことや面白いことをだらだらやっていくなかで、苦し...
  • グルーヴィジョンズ特集
    グルーヴィジョンズ特集 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (01.JPG) 広告批評 281号 グルーヴィジョンズ・インタビュー ベスト・オブ・GRVナンバー 108 グルーヴィジョンズのお仕事 52 いかにサバイブするかが僕らのテーマ 村上隆×伊藤弘 あふれる情報の渦に泣き出したくなった 小西康陽 メカフォリカル・ポップの誘惑 斎藤環 広告批評の特集。 グルビはもう長いこと「チャッピー」をプロデュースしているけど、あまり詳しいことは知らない。そんな自分にむかって発売されたような特集なので読んでおく。 メンバーの個人名を全く知らなかった。伊藤弘という名前はとりあえず頭にはいったが、なによりインパクトが大きかったのはミルクマン...
  • スパイダー
    スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする 監督:デイヴィッド・クローネンバ−グ 出演:レイフ・ファインズ/ミランダ・リチャードソン/ガブリエル・バーン 原作・脚本:パトリック・マグラア(ハヤカワepi文庫) 提供:メディア・スーツ/ビッグショット 2002年/フランス+カナダ+イギリス映画/98分 クローネンバーグと言えば、グロテスクな世界観とカリスマ的な人気を思い浮かべる。その程度にしか分かっていなくて、「クラッシュ」は痛々しさと緊張感のある映像美だとか、「裸のランチ」はあのタイプライターと大きな昆虫みたいなのがとにかくグロかったとか、「スキャナーズ」は破裂する頭とやはり重々しい空気など。結構「飛んだ」話なのに重量感もあるという2面性だろうか。 この映画は見終わって、しばらくよく分からなかった。ただ、出だしの色...
  • まぼろし
    まぼろし 監督・脚本:フランソワ・オゾン 共同脚本:エマニュエル・バーンハイム/マリナ・ドゥ・ヴァン/マルシア・ロマーノ 出演:シャーロット・ランプリング/ブリュノ・クレメール/ジャック・ノロ 2001年/フランス/95分/原題:Sous le sable 配給:ユーロスペース 死とは、その不在を受け入れることなのかもしれない。しかしこの映画では、まずその不在があって、後に死の知らせがくる。ながい不在だけの期間が、死を受け入れることを拒む妻をつくっていた。まぼろしという幻影を見続けながら、妻は夫の不在をやり過ごしていた。やがて訪れるだろう死をまちながら。 ここであらためて死とな何なのかと問われているような気がした。不在は既に始まっていて、死はそれを永遠のものとして告知されたに過ぎない。戻ってくるかの希望を断...
  • マグノリア
    マグノリア 99年アメリカ作品3時間7分/ 監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン 製作:ジョアン・セラー 出演:ジェレミー・ブ ラックマン、トム・クルーズ、メリンダ・ディロン、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・シーモア・ホフマン、リッキー・ジェイウィリアム・ H・メイシー、アルフレッド・モリーナ え?いつ落ちるの?で、これが? やっぱり映画の魅力は一筋縄でないかないなーなんて思う。出だしの引用からしてなにかを誘うつかみがある。そして音楽にのせてドラマのはじまりを演出するのですけど、これがまた長い。普通の長さを越えて、このまま続くのかと思わせておいてそうでもない。いくつものストーリーが交錯し、どこかで繋がって行くようで、そうでもない。けれどもそれぞれの調子が妙に共時的で面白い。小さな山場を迎えていくと次...
  • シティ・オブ・ゴッド
    シティ・オブ・ゴッド 2002ブラジル/アスミック・エース 監督 フェルナンド・メイレレス 製作 ヴァルテル・サレス/ドナルド・K・ランヴァウド 製作 アルドレア・バラタ・ヒベイロ/マウリツィオ・アンドラーデ・ラモス 原作 パウロ・リンス 脚本 ブラウリオ・マントヴァーニ 撮影 セザール・シャローン 音楽 アントニオ・ピント/エヂ・コルチス 出演 アレシャンドレ・ロドリゲス/レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ/ドグラス・シルヴァ/マテウス・ナッチェルガリ/フィリピ・ハーゲンセン/セウ・ジョルジ/ジョナタン・ハーゲンセン 度肝を抜かれるという感情は、決して大げさではなくこの映画にあてはまった!。 衝撃は連続して続くあまり、何とも言えない疲労感を覚えるのだった。ハリウッドのアクション映画で...
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