原作の雰囲気はとても好きだった。ゆるやかな時間とそれが永遠に続いていくような幸福感と。終わらないという安心感はなによりも増して落ち着きを促してくれた。
映画はどうだろうか。この話はすべてが「繋がっている」ということで安心感を与えてくれた。それは原作になかったことではない。むしろ映像化するにあたり、得意とする範囲によって原作のもっている部分をのばしたように思う。
いくつかのエピソードが加わった。それによって「時間」が生まれた。映像において避けられない時間感覚をうまく表現していた。監督はきっとこの時間を表現したかったのではないか。
前後に連続している感覚を切り取って写す。連続しているという表現がけっして押し付けがましくもなく、そこにはじめからあった出来事をただ写しているに過ぎない。そんなことへ安心してしまうのだ。2004-09-19/k.m
カテゴリー-映画