映画の中で中国は年間に100万人の児童が貧困で退学し、その15%は周囲の協力で復学出来るのだと言う。この物語はそんな生徒と先生を描いている。
先生も貧困なら生徒も貧しく、村全体の問題として住む者達全ての現状でもあった。これは一見すると貧困の差が見えない状況でもあり、生徒が出稼ぎに都会へ行くことによって相対的に浮かび上がってもくるのだった。同じ国とは思えない状況の一断面を明らかにさせ、広大な国がかかえる避けることの出来ない問題を訴えているかのようだ。
美しい自然の中で伸びやかに生きる子供達は、そんな貧困を悲劇的に自覚するでもなく、賃金目当てに先生を引き受けた女の子との出会いを無邪気に楽しむ。やがて一人の生徒が出稼ぎに行き、行方不明になり、その子を探しに街へ行くためのバス代を生徒達全員から集めること、街へ行き探し回る中でぎりぎりの助けを受けること、せわしく動き回る都会の中でただ二人が再会できることのみを丹念に描くこと、女の子が頬を真っ赤にして一生懸命訴える姿。それらをただ見つめるような映像。
最後も思わぬ展開からハッピーエンドに終わるのだが、どこまでがフィクションなのか分からなくもあり、極小なものを描く物語でもあり、どこか故郷を懐かしむ感情を抱いたりもするドラマ。2003.07.27/k.m
カテゴリー-映画
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