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第5回 恵比寿映像祭





  • ラウンジトーク:野口久美子+平川紀道+森浩一郎
3人は、月の満ち欠けによる潮位の変化をコンピューターで計算し、実際の水とポンプを用いて「変化」を再現し、その水が鉄を錆びらせる状況をブラックボックスの中で行い、その像を高解像度スキャンによってモニターを通して映す、という共同作品を展示している。

まわりくどい状況と、シンプルな構成とはいえ一見してその意図が伝わりにく展示で、ラウンジトークを聞かないと何が面白いのかも微妙な作品だけど、そこがまた分かりやすければ面白いという訳でもないメディアアートらしいと思った。

自然現象をコンピューターによって計測することは科学的な行為なのだろうけど、ある限定した視点に立った分析を行うことでしか意味をなさない科学に対し、計測そのものに内在する思考を視覚化させることで、客観的に見えてくる面白さがある。たぶんそこにアートがある。

たとえば満潮は日に2回あって月と一番近づいた側は月の引力によって水面が引っ張られ、同時刻に地球の反対側では月の引力が弱いために太陽の引力が最大となって水面が上がっている。それを画面では視覚的に表している。

また、森浩一郎さんが面白いことを言っていて、プログラムとはなにか暗号のようなものではなく、普通に話す言語に近いことを積み上げていく行為だと、つまり言葉を積み上げていった先にあるシュミレーションとは不思議なもので、どこまでが自分の言語で、どこからがシュミレーションなのかと。さらに、どこまでがシュミレーションで、どこまでが自然なのかと。近づけば近づくほどその境界はあいまいではないかと。

これを聞いて思ったのは、自然現象をシュミレーションするという行為は、結局そのプログラムを作った人間の言葉に「出来うる限り」において、限定的にしか認識されないことで、言語化され得ない現象は認識すら出来ていないのではないかと。

電気的な ON と OFF(電圧の高低)を、数値の「0」と「1」に対応させた2進数表記である古典コンピュータ(平川さんはそう言っていた)では計算できない宇宙は、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現する次世代のコンピュータである、量子コンピュータによって恐らくシュミレーションできるのだろうと。その時、宇宙=量子コンピュータなんじゃないかと。

もうこのあたり、知識が追い付かないので良くわからないですがw、そういった思考の可能性として聞いているだけでも十分興奮する内容であって、アートによってその興奮を伝えることのリアルを感じたようでもあり、、3人の活動をまた追いたいと思いました。2013-02-12/k.m


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