3.11以降



3.11以降、発売された書籍(とそこから派生した書籍)を読んで思ったことについてまとめたページ。東日本大震災と福島第1原発事故発生以降、様々な分野で価値観の転倒が置き、それはリアルタイムで続き日々大きな動きとなっていくようです。

天災をきっかけに人災が加わり、取り返しのつかないレベルまで広がったこと、今まで日本が変革すべき時期を先送りし続けたツケガ全て露呈したこと、それらは政策レベルから日常のディテールに至るまで大きく波及しています。

今すべきこと、将来へ向かっての展望、どちらもが同時で等価に議論されなくては。そんな切迫感を覚えつつも、いったい何が起きているのだろうという疑問も日々生まれ続けています。5月頃から初期の混乱が落ち着き、改めて現状を分析し将来を展望した書籍が大量に出回ってきました。

言論や思想や社会学や建築学、様々な分野が今を捉えようと必死になっています。そのエネルギーを感じることは、得体の知れない切迫感と表裏の関係にあるかも知れません。少しでも情報を整理し分析へ触れることで、落ち着いた考えに至るのであれば、サプリメント以上の効果はあるのかもw。

とりあえず今、何が起きているかを知るために。

2011.08.19k.m



■現代思想2011年5月号 特集=東日本大震災 危機を生きる思想


様々な研究者、評論家、活動家などが震災に直面した瞬間を描写しています。前後の時系列分析、初期の混乱から自主避難への決断など、とても精緻に書かれていながら、大きな動揺を隠せないといった感じで。

■3・11後 日本経済はこうなる!


とにかく原発反対、放射能こわい、といった震災報道ヒステリーという状態を相対的にするためにも、こちらの論考も読むべきだと思います。リスク社会はこうして歩んできたのですから、合理的判断に戻れないとまずいとも思います。池田さんのブログもチェックするようになりました。

■今こそ、エネルギーシフト――原発と自然エネルギーと私達の暮らし

鎌仲ひとみさんと、飯田哲也さんの対談、面白いです。

■原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて

怒りと希望と感動などが混ざって動揺、、。

■節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う!
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なんだか当たり障りのないお役所的な文章で繰り返され、今ひとつでした、、、。

■思想地図β-vol.2
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3.11以降の本を5・6冊読んでみたけれど、結局『思想地図β』vol.2が一番面白いのは、価値観や問題意識に連続性が感じられ、かつその先を見せる驚きがたくさんあるからか。

■imago-東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ
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マゾヒズム的幻想における快楽として消費していたハリウッド映像などが、今回の震災映像体験で、現実のトラウマとなって襲いかかることも「被災」経験であるという、樫村愛子さんの指摘がすごいです。震災後の日本がなぜこんなに生き難さを増したのか、樫村さんの論考でよく分かります。

■日本の大転換
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原子力技術を一神教と重ねて論じている、スケールが他の本と全然違いますが、そうやって抽象化してよいものかと、、疑問を感じました。

■詩の邂逅
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役所の対応の遅さにもイライラしていた。でも、そんな気持ちでずっといたら心が貧しくなる。もう一回「ありがとう」という気持ちを取り戻そう、と。(詩の邂逅:対話・ある店主)

■世界リスク社会論―テロ、戦争、自然破壊
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世界が本来、生態系の危険にさらされていることを認識するためには、確かに誰もが自然科学的な概念で考えなくてはいけないでしよう。エコロジカルな日常意識というものは「自然」な意識とは反対のもので、科学の公式が日常の行為を決定するような高度に科学的な世界観なのです。(本分引用)

地球上の人類が平等に被害を受ける可能性をもつという点で、グローバルな危険は皮肉なことに民主的なのであるというウルリッヒ・ベックの世界リスク社会論。10年前の講演録ですがとてもタイムリーなんですね。


カテゴリー-小説建築社会思想
最終更新:2011年09月21日 01:31