写真展と写真集メモ




恵比寿にて、G/P galleryの小山泰介展 「SANDWICH Textures」。ここ数年目の離せない写真家。しかも名和晃平さんとのコラボレーション作品。名和さんと小山さんへ感じるのは強烈なまでの同時代性で、今でないと生まれなかった作品に思えます。

森山大道さんも街をスキャンするように撮影していますが、小山さんの写真には物質が光に反応する様を取り出すスキャナーとしての視点と、それを形づける「写真家=編集者」としての見せ方が鋭いのだと思います。

G/P galleryには本屋があって、、というか書店・ナディッフへ3つのギャラリーと喫茶&スナックが複合したアートスペースがNADiff A/P/A/R/Tで、2か月に1回くらいは通っているお気に入りな場所なのですが、写真集を主にチェックしたり。

今回気になったのは、朝海陽子『sihgt』。「sight」は、被写体となる人物が自ら映画を選び、自宅でリラックスしながら映画を見始め、映画に没頭して無防備な状態になったころ、写真家がそっと撮影したシリーズ。写真美術館で見たような気が。

この写真集がショッキングだったのは、取り憑かれたような、放心状態にも見える「無防備さ」で、みながTV画面を見ていることで、同時にそれは自分もきっとそうやってTVを見ているのだという、何か大事な部分を暴かれてしまったような恥ずかしさを覚えたこと。

まるで岩場でうらぶれているトドのように、雑魚寝する家族3人が放心した先にいったい何があるのだろうか。ベッドに肘をつきながらフローリングの床へ座り込み弛緩した表情でみつめる女性の先には何があるのだろうか。


画面を「見ること」、同時にその行為をこちら側から「見られること」、そして実はこの関係自体を傍観している自分を客観的に「見ること」。そんな何重にも折り重なった構造がそこには存在しているようで、ただただ惹き込まれてしまう。写真へ「自己を投影する」無限のサイクルに入ってしまったような。2011-07-02/k.m


カテゴリー-展示写真
最終更新:2011年07月04日 15:45