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飽きる力



  • 生活人新書
  • 河本 英夫 (著)



河本英夫さんはオートポイエーシス論で有名な方。その魅力的な響きへ惹き込まれ何度かチェレンジするものの、未だ難しくて理解できないオートポイエーシス。けれどこの新書を通じて少しだけ分かってきたような気がします。

これは悩ましい大人たちへの指南書なんだと思った。禅の思想にも近いような。難しい理論を展開する人が時々新書を通じて平明な言葉で、けれど決して要約するのではなく視点を少し変えて説明してくれる、そんな良書です。

無理な頑張りは続かない、努力したのに自分が疲弊してしまって、結果が出ない場合は責任まで取るはめにも、、。渦中にいない時だからこういった危険性に納得できる。一方で渦中に自覚してこそ効果大なのが「飽きる力」。難しいな。

「飽きるとは、次への選択のための隙間を拓き、異なる努力モードに気づくこと。」がむしゃらに向かっていく時期も必要なんだと思います。けれど、ある程度経験を重ねて行く内に訪れるスランプの中で、「焦らず」一旦保留してながめる態度なのでしょう。

もう一つ、日常生活や仕事だけでなくトレーニングやリハビリテーションにおいても、ついル―ティンワークを心地よく反復していることに疑問を持たなくなってしまうこと。 合理性や効率性を重視して単なる自己満足や自己陶酔に陥りがちなとき、飽きることが必要だと。

前者は「頑張ったのだから」という思考停止、後者は毎日しっかりと続けていた反復の先に訪れる思考停止、どちらも本人は良かれと思った先へ、結果的に考えなくなってしまう姿勢を指摘しています。

オートポイエーシスとは自己組織化していく理論。つまりは意識せずとも陥る一連の「流れ」は、自ずと組織していく神経系に起因している。繰り返す時点でその「システム」の外へ行けないのだから、そもそもの地点まで戻ることが必要。

同じ失敗は何度でもする可能性はあるのに、同じやり方で何度も成功しないのは、こんな理由からも明らかだ。自分の行動を客観的に改める態度とは、自分でつくってきたシステムを振り出しからやり直すこと。「飽きる」という言葉には、奥深い理論が隠れている。

しっかし、こんなに複雑な概念的発想を科学的に裏付けようとするオートポイエーシス論はなんてスゴイんだろう。2011.06.20k.m

カテゴリー-新書建築