アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち

  • 国立新美術館
  • 2011年3月16日(水)~6月6日(月)



国立新美術館のアーティスト・ファイル2011がとても良かった。2週間ほど前、震災の影響でガラガラのため、いつもより落ち着いてみることが出来たからか、、。以下は気になった4人の作品について。

バードヘッドの写真が中国の現状を素直に現しているのだとすれば、驚くほど自由で活き活きとしたもので、そこには若者たちの今を写した正しさがあって、一方で捉えきれない部分もあるのだろうと思わせながらも、写真を楽しんでいるエネルギーが溢れていて、それだけで充分に見ごたえがあった。

プラスチック製のストローを用いたタラ・ドノヴァンの作品は雲のように掴みどころがなく、同時に物質感が強い。マイラー・テープを壁一面に繁殖させたような作品は普遍的なオーラさえまとい、インスタレーションという体験の刹那的翻弄を思う。

展示空間全体へ金属板が貼られシルバーの鈍い光に包まれ、視界を埋め尽くす大量のスカーフがまるで波のように「うねる」。鬼頭健吾のインスタレーションは、永遠に引き延ばされた刹那を生きているような、衝撃真っ只中での安らぎ、台風の目にいる感覚?。

アフォーダンスという考え方が世界の表面を「肌理のレイアウト」という情報群として捉えたように、松江泰治の写真には物の輪郭と言語によって区切り取られた世界などは存在しないことを感覚的に認識させられ、だからこそ感じされる美しさへ改めて出会う。

ついでに4つのギャラリーがオープンした六本木ピラミデについて。ワコウ・ワークスもゼンフォトも今まで廻るのが面倒ながら面白いギャラリーだったので、とても便利になった。余震を懸念して2つしか見られなかったけどリヒターのペイントが素晴らしかった。A3程度で価格は1500万、、。


ゼンフォトでは震災チャリティーとしてアーティストから提供された作品が5万円以下で販売されていた。かなりの作品が驚くほどの安さで、中平卓馬のたていち作品も2万5千円だった。買いたくなる作品は「予約済」ばかりだったけど。2011.03.30k.m

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最終更新:2011年04月20日 17:15