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欲望


  • 1967年度作品
  • 112分
  • 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
  • 出演:バネッサ・レッドグレーブ


なぜタイトルが「欲望」なのかよく分からない。BLOW-UPという原題は「写真の引き伸ばし」を意味するようだ。これだとすごく当たり前な気もする。とにかく独特なテンポと話の進み具合は興味深い。ロンドンのあの煉瓦づくしな風景は、目にいたいほどのコントラストでとらえられ、黄昏にただよう人気のない風景が多く、冒頭とラストに出てくる不可解なパントマイム集団によって、寂しさはますばかりだった。

欲望という言葉は主人公である写真家の「どん欲さ」に表れていて、その好奇心が物語の中心にある事件に巻き込まれる原因となる。ただその事件というのも、どこまでが現実だったのか、あるいはただの幻想なのかと思わせる不思議な結末へと導かれる。描かれた60年代のファッションは今見ると最前線の様にも写り、時代の繰り返しを思わせる。「オースティン・パワーズ」なんてこれと一緒ではないか。モデルに取り囲まれ、売れっ子の写真家。二人の少女が押し掛け、彼と裸になってはしゃぐシーンなどは、「時計仕掛けのオレンジ」で繰り返されている様にも思えた。

死体を発見する公園は、風の吹き抜ける都会の空洞のようだ。その大きさを把握できないから大きいのかと思えば、遠くにビルの看板が写り、そう広くもないようだ。ただ最初に出てきた時と、最後に出てきた時の両方とも風の音がとても気になる風景で、写真で繰り返し登場する度にも、その風を思い出すような絵になっている。モデルを撮ってばかりか、むしろ何でもない風景や、人物のドキュメントなショットを売り込んでいる写真家。被写体を狙う「どん欲」な精神は、冒頭のモデルをとらえるシーンにあふれ出ていたが、その後は街をさまようわがままな少年のように描かれている。ロンドンの街はそんなさまよいを増幅させる空虚さがあり、この映画で一番印象深い風景でもある。2002.04.21k.m


カテゴリー-映画