ケンチクスタディー-02


リビング不要論

家族の団らんてなんでしょう?

お父さんは新聞を見て、息子はTVゲーム、娘は雑誌を見て、母はアイロンをかける。

お互いを意識せず、しかも近く離れずといった空間の心地よさを成立させているのはリビングなんだと思います。

そこへ、「家族の団らん」とか「みんなの絆」とかいう定義を持ち込んでしまうのでウソっぽくなってしまいます。

そこまでいくと幻想じみた思考になり、必要以上に言葉がしばりつけてきます。そんな幻想がかなわなかったりすると、イエで無理ならば会社でと、共同体に馴れ合いを持ち込んでしまう原因にもつながります。

リビングはいわば、個人と社会との関係を表しているのだと思います。

曖昧な関係へ、定義してしまうことによって、自ら空間を締め付ける原因をつくっているのです。

そんな訳で、曖昧なリビングの提案です。

無駄な幻想は捨て、曖昧なままの心地よさを、実感しましょう。

2000-04-28/k.m
最終更新:2009年02月26日 01:25