4ヶ月、3週と2日



  • 監督:クリスチャン・ムンギウ
  • 出演:アナマリア・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ


冒頭、ある狭い部屋に2人の女性はいて、落ち着きがなく神経質的な言動は何か予定の行動が先へ進んでいかないもどかしさとして伝わってくる。一人はしきりと館内を歩きまわり、それが寮の内部だと分かるが飾り気のない暗い廊下は刑務所のようでもある。しかし部屋の中では女性たちが元気よく何かを売買していて、歩き回る女性はケントが欲しいようだけど、その銘柄は寮内で販売している同じ学生とおぼしき部屋にはなく、やがてホテルにいた闇商売人から手に入れる。

女性は自分の代理人がホテルを予約していたとフロントに伝えるが部屋は取られていなく、その一向に前向きでない対応に辟易しながら別のホテルを当たりなんとか確保することが出来た。予定の金額をオーバーしたことをもう一人の女性になじられながら、ある約束の場所へ出向きそこでオジサンと会う。男性は約束の女性ではなく代理人が訪れたことへ不信がるが、なんとかホテルへ連れて行きそこで中絶依頼者である女性、連れてきた寮の友人、そして違法中絶を行うオジサンの3人が出そろった。

ここまで何の説明もなく、オジサンから「中絶」という言葉が発せられるまで一体どんな話なのかもよく分からなかった。けれどそれまでの過程で閉鎖的な社会構造である共産主義、独裁政権時代のルーマニアの空気が痛いほど伝わっていたので、彼女たちを襲っている事の大きさを充分に感じられることが出来る。その後は実に悲惨な状況が続き最後まで閉塞感の中を彷徨うのだけど、ラスト近くの女性2人が食事をするシーンはどことなく安堵感が漂っていて、人間どんな状況でもそのようにメリハリを感じさせながら生きているのだと妙に了解した。2008-11-05/k.m
最終更新:2009年02月01日 23:38