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全然大丈夫と「システム=社会」




  • 監督・脚本 藤田容介
  • 出演 荒川良々、木村佳乃、岡田義徳、田中直樹


広義のワーキングプアでもある僕らは、ふと我に返ればその意味さえ問えないほど毎日繰り返すヘビーな仕事に囲まれて、そこから抜け出せないという見せ掛けの現実と暗に戦いながら、目の前にいる他者とさえ向き合えずに携帯やネットを通じて交わされる確認作業から何かを了解する。そんな殺伐とした「システム=社会」へ順応出来ない部分を補うものに文学や芸術があるとすれば、まさにこの映画は心の故郷のようではないか。

荒川良々の「安心感」はどこから来るのだろう。それは木村佳乃の対人恐怖症や、田中直樹の優しさを演じるよりも自然でありオーラである。 システムを「抜け出せない概念」として思い浮かべるとき、そこへメタ・俯瞰的な視点が存在する。けれど目の前の出来事だけに右往左往する荒川良々の姿を見て癒されることを考えれば、システム「内に存在する」といった俯瞰的な認識自体、僕らには負荷が大きすぎるのだと思う。 つまり、個々の役割によって共同体が存続しうるという考え方自体に限界があるのだと。

大勢の生活を円滑に運用するサービスとして捉えた場合の社会が、あるシステムとして今後も続いていくのならば、個人で負担しきれない(または個人の良識に頼った)「メタな概念」を代理的に運用するサービスとしてもっと効率的に構築すべきではないか。それが国家だとかナショナリズムだとか、政治意識の低下なのだと言って倫理観と結び付けているばかりでは、もう今の時代どうしようもないのだし。2008-08-31/k.m