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劇中劇のような小説



  • 本谷有希子/著


ああ、人間はこうやって自ら追い込まれていく悪循環を自覚しつつ抜け出せない関係に対して、溺れそうになりながらもしがみついて生きていくことに甘んじるのかなぁ。

それは向き合う相手の先に見える「自身の背中」を追いかけているだけで、本当の意味で相手と向き合えない困難さへ「気付かないフリ」をすることでもあって、ねじれていることが正解みたいなことか。

女性は淀みなくあふれてくる感情に自ら翻弄され、男性はかすんだ風景としての存在感を示すだけに留まる。登場人物たちはみな内面を饒舌に語り、「心理戦」から逃れられない日常を演じている風だ。

シーンの区切が鮮明に浮かぶようで、劇中劇のような小説。ちょっと過剰な感じでおなか一杯だけれど、演劇から小説へ、そして映画化(冨永昌敬!)と変化していく表現を確認してみたい。 2008-05-31/k.m

カテゴリー-小説