インランド・エンパイア


  • 監督: デヴィッド・リンチ
  • 製作: デヴィッド・リンチ、メアリー・スウィーニー
  • 脚本: デヴィッド・リンチ
  • 出演: ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン


とにかく、こんなに無謀で実験的な映像が3時間もあって見事に成立していることに驚き。人間の頭の中は統一的な見方をいつでも追いかけてしまうけれど、それを何度も何度も裏切られて、けれど微妙に配置された前後の辻褄にまどわされてやはり統一させようともがく。その繰り返しで後半は見続けるのもシンドかった。

けれどラストの抜けるようなダンスシーンで、救われはしないけれどヤラレタ感はつよく、なんともカッコよい映画だと悔しさがつのった。デジタルビデオカメラのチープな映像で、しかも徹底的に常識的なアングルを回避したカットは、一方で素人の自分をウソでも励ましてくれたw。

統一的な見方をすれば、出てくる女性たちがみんなローラ・ダーンであって、時間ばかりでなく姿も超越した同一人物だと考えるほうが素直に思えた。いや、結局そんな見方も意味はなくって、ただこの混乱した映像をコンランしたままに受け止めていた、まさに見ている時間の中へ存在していた感覚を喜んでいればよいのだろう。2008-04-30/k.m
最終更新:2008年06月23日 00:34