めがね


  • 監督・脚本 : 荻上直子
  • 出演 : 小林聡美 、 市川実日子 、 加瀬亮 、 光石研 、 もたいまさこ


その島に訪れた客が2人だったことは、オープニングに示唆されていたけれど、まるで時差を経た同一人物を描いているかのように、似ていた。

カキ氷を断る出会いから、自転車に二人乗りする中盤、そして赤いマフラーをしてくるエンディングまで、似ている二人の絡みが映画の中心にあって、それはこの島を訪れる人の心の経過を伝える合わせ鏡のようでとても興味深かった。

一つのエピソードに対してカット数は出来るだけ絞られていて、固定されたカメラアングルの中でゆっくり動く人物像は、まるで写真(水平の広がり)と映画(時間的な広がり)の曖昧な領域を見続けているような気分にもなった。

効果的だったのは、声だけが連続していてカットが細かくつながれる海辺で語る加瀬亮のシーンで、その時間が無限に続いていくような刹那と、語りが終わると同時に全てが閉じてしまうような郷愁とが感じられた。 2008-04-07/k.m
最終更新:2008年06月23日 00:29