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なぜ、植物図鑑か


  • 中平卓馬映像論集


先日アラン・ロブ=グリエの訃報があった時、昔途中で挫折した『迷路のなかで』を探して再度パラパラと読み、ちょっと面白そうだと思いつつ、結局またなげてしまった。無言の映像が流れているように独特な展開なのだけれど・・。

中平卓馬は冒頭の「なぜ、植物図鑑か」で、アラン・ロブ=グリエをたくさん引用している。「客観的な事物描写の徹底」などで知られる彼の小説だけではなく、ヌーヴォー・ロマンが行っていた伝統的小説の否定、作者の世界観を読者に「押しつける」ことの危険性になぞらえて、写真表現からの恣意性排除を叫んでいる。

写真はその現実を写し取ったかのようなリアリティーから、「世界を説明すること」を担わされてきた。ただしキャプションなどによって、いかようにも受け取る印象を左右できる「政治的な手段」となっていることも一方で僕らは知っている。

中平は真の意味で世界と向き合おうとし、そのために自らの作家的なる「私性」をも、事物を特権化してしまう「権力」とみなし消去しようとする・・。そんな態度へ70年・闘争時代の空気を感じると言ってしまえばそれまでなんだろうけど、この痛いほど真摯に世界と向き合う誠実さへは、今読んでも圧倒されるばかりだ。2008-03-23/k.m

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