亀虫
- 監督:冨永昌敬
- 撮影:月永雄太
- 音響:山本タカアキ
- 音楽:ノーシーズ
- 制作:OPALUC
- 配給:.ロサ映画社/OPALUC
- 2002-2003/1h01m
- 11/15(土)トーク
- ゲスト:青山真治氏X冨永監督
- 「亀虫の兄弟」
- 「亀虫の嫁」
- 「亀虫の妹」
- 「亀虫の性」
- 「台なし物語」
話題の亀虫シリーズを見に行った(いや、話題なんですよ)。池袋のダークサイドを抜けたあたりにある映画館シネマロサ。事前に混雑状況を確認したところ「一度も満席になったことはございません」と、聞いたコチラが申し訳ない思いをしてしまう返答。しかし今日は上映後に富永監督と青山真治のトークショーがあるからか「ほぼ」満席となった。
短編連作という感じの5本上映。合計1時間強。
いきなりバックミラーに映る男の顔。その独り言が延々と続き小説的な独白は重なり、畳みかけるように語り出すテンポ。ちょっとただ者ではない。先に音がはじまり次に映像という絶妙な間のあり方から、亀虫という非日常的な展開と生活感あふれるべったり度が混ざり合う調子など、うならせる数々。
えーこんな面白い人いるんだぁ。と素直に関心のもてる作品で、まだ見ぬ多くの才能とその一端をかじったような満足感。5作は話的に連続しているのだが、作品としておのおの自立もしていて小説的妄想感覚を映画にしたらこんな感じ?。それもやや古典的な綴りで乾いた現代をナナメに切り込むような緊張感。
笑えるのにどれもスタイリッシュであり、それは初期の矢口監督作品のようでもあった。違った部分も際立っていて、特に終わり方がかっこよく、ちょっと「そこ」にこだわりすぎかも知れないというほどにキマっていた。他の作品も見てみたい。
ところで上映後のトークショーは毎度のことながら期待を裏切るグダグダな展開。監督さんは話しベタなんだから司会立てないと話しがすすまないんだから・・。沈黙の間が出来ること数回。観客を違う意味で緊張させてどうする。青山さんは昨日今日と行った武道館のニールヤングの話しばかり。二人はビールを飲みつつ居酒屋のごとくオチのつかない話しばかり。もうちょっと楽しませてくれ。2003-11-15/k.m
nobodyでのインタビュー
以下、興味のあった箇所をピックアップ。
──ナレーションは、どの段階で決めるんですか?
冨永 撮影の後ですね。撮り終わって、ラッシュ見るじゃないですか。そこで、これはたぶんこういう話として見せることができそうだなって先に見当つけてから、そこに導くための言葉を補うことを考えて、こういう台詞を喋らせるから、それを入れるためのスペースを編集で作るという順番です。
──そういう即興性が面白いよね。あの猫はすごい。やろうと思ってできないし。あと、『亀虫の妹』は、ずっと抑えた色で統一してあって、最後だけ絵画的にレタッチした感じになるよね。
冨永 あれは最初から決めてたんですよ。(中略)ただ、普通に撮ったらどうしても普通の目白通りにしか見えなかったから、思いっきり飛ばして色変えようって。だから絞りをいっぱいに開けて、撮影のときはカメラ見ても何にも映ってなかったんですよ、真っ白で。あの女の子が洗濯物を持っていたから、その洗濯物の色でかろうじてどこにいるか分かるぐらいで。後でパソコンで絞ってようやく形が出てきて、強引に色も出して。(中略)
最終更新:2010年04月07日 14:20