カフカの「城」


  • Das Schloss 1997 
  • オーストリア / ドイツ
  • 監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ    
  • 原作 フランツ・カフカ
  • 出演 ウルリッヒ・ミューエ / スザンヌ・ロタール / フランク・ギーリング ほか


原作は昔半分くらいで読むのをやめてしまっていて、そもそもが未完の小説なのに・・。行政のシステムというか、関わっている本人たちも分からない部分で事実は湾曲していて、手続きのみが目的化されていき、本末転倒なことばかりなのに、役人たちは一向にかまわない感じで。

現実を色濃く反映させた寓話のように、冷たい表情が恐ろしくリアルに迫ってくるという意味では、他のハネケ作品にも通じる面白さだ。

わずかなセットと、何度も歩く吹雪のシーン。映像には引いたカットが少なく、周辺が見渡せない閉塞感は、迷宮っぽさをとても表現していた。見えない外部の大きさをいかに感じさせるかのように。

中でも「双子の助手」は原作の雰囲気に近かったように思う。というか、あのフテブテしさや、ウダツの上がらない感じ、時にキレて襲い掛かってきそうでそうはならない。このキャラクターはまさにハネケ作品には多く、カフカとだぶるってくる場所なのかも知れない。2008-02-03/k.m
最終更新:2008年04月12日 17:36