欲々しい

「OJO(オッホ)!」での最後の公演。 作・演出:黒川麻衣


仕事納めと連日の飲み会で疲弊しきった体を起こし、久々の観劇に行ってきた。新宿のTHEATER/TOPSへ。

「空間はイベントによって生じる」なんてことを演劇を見るたびに実感するけれど、今回もまさにその構造が様々なところにあって面白かった。一見殺風景な舞台にやがて手前、中、奥と3つのゾーニングを認識し、瞬時に時間と空間を移動していく、この感じ。

日常生活やTV画面などを見ている状況では余り使われない、役者の演技によってのみ時間と空間を生成させていく能動的な過程。そんな(一種の)思考作業があって、それは演劇を見ていると実感出来る楽しさの一つなのかもしれない。

結果的にTV画面というハコの中で見せている「ドラマ」と似たような展開を伝えてもいるのだけど、見ている側の能動的な作業の大きさから、共同作業となってそれは生まれているのだと了解し、大きな臨場感へと繋がる。プロセスの差がこんなに違った効果を与えるのかと驚く。

役柄=キャラクター=欲望という図式で単純化された演出ながらも、編集された映像のように場面が迅速に入れ替わることで、かえって深みのあるドラマとなってストーリー自体へも能動的な過程を与えるような。とても演劇的だけど新鮮な作品だった。2007-12-29k.m


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最終更新:2008年04月19日 14:17